第108話 用意したロープ
朝家で健太と合流してプレハブの前に行くと建物の前にすごく邪魔なサイズのものが転がっていた。それを見た俺は眉をひそめチラリと健太を見る。
「ああ、それか。あれだ昨日言っていたロープだ」
再び視線をその物に向けるといわれてみればロープを輪状に束ねたものに見えないこともない…ないのだが、そもそもサイズがおかしい。普通車のタイヤくらいの大きさなんだが…
「健太、これ何メートルのロープなんだよ」
「んーと…あーここに書いてあるな。200mかな」
「…は?」
いやまあ、深さわかんないしさらに中で歩くって言うから長い分にはいいんだろうが、流石に長すぎないか??
「っていうかどこでこんなもん手に入れた!」
「どこって決まっているだろ?」
ああそうか、次の日の朝までに手に入れたいとなるとネット通販しかないか。しかもこの速さだと『アマヤ』に違いない。前日の夕方までに注文すると次の日の朝には届くという謎仕様。ほんとなんていうか配達する人ありがとうございますって感じだ。
「…それは納得した。でもこれどうやって運んできたんだよ」
「そりゃこうやって…」
実際に健太が運ぶところを見るとわかりやすかった。もうなんていうかそのまま転がすだけ。でもプレハブの中へ入れるのは大丈夫だが階段はどうするつもりなんだ?そのまま転がり落としたら壁にあるパネルとか壊れてしまうかもしれない。
「で、地下へはどうやって運び入れるんだよ」
「…支えてかな?」
「そうかガンバレ」
それから健太が地下までロープを運び込むのに30分ほどかかった。ロープを運んでくるだけで健太はへとへとである。
「ちょ…ちょと、休憩…」
「中はいってからでもいいだろう。どうせリノが水中探索中は俺達その場で待ってるし」
「…それもそうだな」
タッチパネルを操作し、ロープを転がしながら中に入るとミネにぶつかった。
「わぎゃっ??」
「な…なんですかこれっ」
「健太が用意したロープ。アホなサイズだよな?」
チラリとファーナさんは健太のほうを見てから視線をロープに戻す。
「巻いてあるんですよね…どんな長さなんですか」
「んー…こっちの長さの単位知らないから説明出来ないけど」
「あ、そっか。まあとにかく長いのね」
「そういうこと」
疲れている健太は頷くだけでまったく喋らずついてきている。長いロープを欲しがっていたリノは満足そうな顔をした。
「早速5階層、いくわよ」
俺達5人はそのでかいロープを持って5階層へと向かうことにした。これで足りなかったら次は一体どんな長さがいることになるのか不安はあるがまあ何とかなることを祈っておこう。
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