第91話 4階層ボス戦2
次の瞬間ゴブリンの背後にいたミネが杖を上へと向けた。どうやら詠唱が終わったみたいだ。ということはつまり…
「やっば…健太今すぐここから退避だ!!」
「は、いったいなに…」
「バカあれを見ろって!」
「……んなっ!」
まだ俺達がそこにいるのにミネは問答無用で杖を振り下ろした。きっと位置が悪くて俺達が見えていないんだと思う。
「フレイム!!」
突然ゴブリンの周辺にものすごい炎が発生した。俺と健太はぎりぎり範囲外へ逃げることが出来たのだが、健太のリュックの上部が少しこげ、中からマントがふわりと飛び出していきそうになり慌てて捕まえていた。そして仕方がないので健太はマントを装備する。
その間もゴブリンがいたところはゴウゴウと大きな炎が上がっており、時折中から動く影が見えていた。炎の音がすごくゴブリンの声はまったく聞こえないが、この光景と匂いは強く記憶に残ることになるだろう。
「うへぇ…酷い惨状だな」
炎が治まるとそこにいたはずのゴブリン…いやゴブリンナイトか、はすでにいなくなっていた。それを確認した俺達はみんなその場に座り込んで乱れた息を整えている。
「ミネの魔法すげーな…」
「あったりまえでしょうっ?私魔法しか使えないのにこれで役に立てなかったら何も出来ないじゃない!!」
そうかミネは完全な魔法型だったのか。流石にそれは初めて知った。この間森であったときに魔法を使っていたのをチラリと見ただけだったので、双子の戦闘をまともに見るのは今回が初めてなんだな。そしてリノは俺と同じように杖を振り回していたがどんなタイプなのかよくわからないな。
「リラクゼーション…」
リノのことを考えていたら本人が立ち上がり魔法を唱えた。その魔法は俺達全員の周りにキラキラとした光りを降らせあっという間に消えた。その光りの効果なのか疲れていた体も精神も落ち着いてきた。リノはなんだかんだで器用なんだな。前に出て杖振り回すはこういった魔法使えるわ俺なんかより全然強そうだ。
「それにしても今回は一緒に入って正解だったな…」
「ほんとね、私達3にんじゃとてもじゃないけど無理だった」
「それはこっちも同じ…2人じゃ時間稼げない、から、ミネの魔法無理だし」
つまりは5人で来て正解だったということなんだな。ただ、今回健太がまったくの役立たずだったことはみんな気がついているみたいだけど、俺も黙っていた。本人もそれほど気にしていないみたいだしみんな無事だったんだからまあよしとしよう。
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