第88話 休憩という名の食事
今までの流れからするとその階層で出てきた魔物の大型か、そのマップに関わるものがボスとして出てきていた。この4階層のボスもきっとそのどちらかには違いないだろうが、もしそうだとすると、ゴブリン、ババントのどちらかもしくは両方。マップからは洞窟系なので岩っぽいのとか土っぽいのが出そうな気はする。どれが出てきても厳しそうなあたりが困るので、俺達は扉の前で開けるのをためらったまま、立ち尽くしていた。
「ねぇ…こうしていても仕方ないし、休憩にしない?」
「そうだな、そうするか」
ファーナさんの提案で俺達はその場に座り込み軽く食事をすることにした。俺と健太はリュックから、ファーナさんはマジックバックからそれぞれ食べる予定だったものを取り出す。健太が持ってきたのはコンビニで売っている惣菜パンが2つと菓子パンが1つ。オレは家で握ってきたおにぎりだ。そしてファーナさんのなんだが…
「ファーナさんそれ何…」
ファーナさんが手に持っているのは布に包まれた黒っぽいものが2種類。一方は丸っこい形でもう一方は平たくてそれぞれが乱雑な形をしていた。
「これ?まあ携帯食だからあまり美味しくないけど、こっちが黒パンで、こっちが干し肉ね」
「干し肉!」
「健太干し肉が欲しいのか…じゃあ変わりに何出すんだ?」
1階層で離したとおり俺達はそれぞれ交換しあいお互いの世界の食べ物を食べて見ることにした。
健太がファーナさんから干し肉を貰い、代わりに惣菜パンを1つ差し出した。そうなると俺は黒パンと交換になるんだが…どうみても硬そうで交換を渋る。するとファーナさんが「これならどうですか?」と鞄のなかから別のものを出してくれたのでそれと俺のおにぎりを交換することにした。それ見た目はマンゴーに似ていて、でも色はそれ以上に真っ赤でつやつやしている。一応果物らしいが…
「んじゃ早速いただきまーすっん~~やべぇーかなりしょっぱくて硬いな!!」
そりゃそうだろう保存食だっていってたんだからそれなりの加工はされているだろう。俺も早速ファーナさんと交換した果物を食べてみる。一応『ウォーター』で洗ってからな。
「…ん?」
「どうですかっ甘くて美味しいでしょう?」
「ああ…うんまあ…」
確かに甘いんだが…これ果物じゃない。完熟トマトだよ!!
そしてファーナさんは俺と交換したおにぎりをパクリ。ノリの香りとご飯の甘さにとてもいい笑顔で食べていた…が、具が気に入らなかったようで少し渋い顔をした。まあ中身が梅干だったからだがな。おかかもあったんだがファーナさんがそっちもっていったんだからしかたないし。
で、健太と交換した惣菜パンはいわゆるハンバーガーという形状のもので間に肉ではなくコロッケが挟まっているコロッケパンというやつ。リュックで運ばれていたからちょっと潰れていたが、ファーナさんは慣れた手つきで袋を開け美味しそうに食べていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます