第89話 ボス部屋へ
「どっちも驚きました。こうやって中に何か入っているっていうのが不思議ですね」
「んでどうだったんだ?まだ菓子のほうがいいなら同じようなのしかもう持ってこれないんだが…」
「そんなこと気にしてたんですか?今まででも結構種類もらったし、同じものでも気にしませんっ」
どうやら健太の考えすぎだったみたいだ。そりゃ~毎日同じお菓子だったら文句も出るだろうが、そうじゃないんだから気にすることは初めからなかったということだ。
「でも…たまにはこうやっていつもと違う食事とかもいいねっ」
「んじゃまた今度前日までに決めて違う食べ物交換しようぜー」
「はい、ぜひっ」
交換とか別にいいのだが…健太が食べた干し肉って何の肉だったんだろうな~とか俺は怖くて聞けない。この間の魔物の肉とかだったら俺は遠慮したいところだ。
休憩を終えた俺達は再び扉を向き合う。いい加減後は入るしかない。
「あっ!」
「あら…」
健太が扉に手をかけようとしたところで右のほうから声がした。まあ、誰かは確認するまでもないがあの双子だ。
「あんたたちも今からボス??」
「そうだが何か?」
「ふぅ~ん…ねえねえ、どうせなら一緒に狩らない?」
「一緒に?」
ミネが一緒にボスを狩ろうと提案してきた。それって出来るのか俺は知らないのでファーナさんのほうをチラリと見る。今日はファーナさんは双子の会話から逃げようとはしていないみたいだ。少しだけなにやら考え込んでいるみたいだけども。
「人数いたほうが楽には違いないですよね…ヨシオ、ケンタは一緒でもいいですか?」
「それは別に行けどさ、宝とかどうなるんだ?」
「ちゃんと参加者分が出るはずです。ただ、何もしない人の分は出ませんけども」
なるほど、1回でも攻撃を与えれば問題ないってことか。それなら何も問題はなさそうだな。
「それなら俺もいいぞ」
もめる要素がないなら後々困ることもないだろう。俺達5人はボス部屋を開け中へと入っていった。
そこは1階層と同じように広い空間でまだ何もない。5人が入った後背後の扉が閉まると中央付近で魔法陣が光りだした。その光りは眩しくしばらく光りを放つとゆっくりと消えていき、その中から大きな影が見え始めてくる。
どうやらここのボスも大きいというところだけは他のボスと同じようだ。光りが完全に消えると俺達の目の前にいたのは通常の6倍くらいはありそうな、大きなゴブリンだった。気持ちごつく見えるのでそれだけでもかなり強そうではある。
「ゴブリンナイト…」
ファーナさんがボソリと言った言葉に俺も健太も少しだけ驚いた。こいつはただのゴブリンではないらしい。
「単体なのがせめてもの救いね…!」
「そう…ね」
ファーナさんだけじゃなく双子も揃って若干震えていた。このゴブリンの強さに震えたのか、大きさに震えたのか、はたまた全然違うことなのかもしれないのだが俺にはよくわからなかった。
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