第64話 連携っぽい?
2人が起き上がると何か会話を始めたようだがここからだと内容までは聞き取れず、少しすると移動を始めてしまった。俺達と反対方向へ進むみたいだ。その様子を眺めつつ自分達の進行のタイミングを見計らう。木々と水溜りで仕切られてはいるがそれ以外の場所では丸見えなのだから。
ひとまずこちらから見えなくなるくらい距離が開くのを確認したので俺達も進むことにした。そのとたん再びファーナさんの乱獲が始まる。昨日あれだけトンヤーを狩ったのにも関わらず、だ。
「肉は十分じゃないのか…?」
「あの量だと1食を友達と数人で終わりですよ?出来たら今日も食べたいですし、この階層にいる間は毎回持ち帰りたいですね~」
数人というのが何人のことかわからないが、数人というくらいだから10人を超えることはないはずで、それにしたって昨日の量は10人でも足りるくらいあった気がするんだが、俺の気のせいだったんだろうか。
「よっすーイノランタが来るぞっ」
「わかった」
突進してくるイノランタを待ち健太はナイフを構えた。あと少しで健太の目の前だ。俺はそのすぐ横手に立ち、向かってくるイノランタの頭に進行方向と逆側から杖で思いっきり叩いた。突進がすごいから一回ごとに手が痺れるが、こうするとその威力でイノランタは気絶してくれるので、あとは落ち着いて健太がプスプスと止めを刺すだけになる。ファーナさんのようなやり方はなれないと無理なので、俺達にはこれしか狩りようがない。
つまり現在は…
マントに向かうトンヤー→それを狩るファーナ→それを見て突進するイノランタ→それを殴る俺→健太がとどめをさすという感じになっている。今回も健太のマントはすでにぼろぼろで、いつまでもつかわからない。
「ちょっと連携取れてる感あっていいな!!」
「…そうか?」
連携というよりファーナ無双につきあわされているだけなきがするんだがきのせいだろうか。まあ一応狩れてるってことでよしとしておこうかね。
こんな感じで順調に(?)狩りが進み、何匹目のイノランタだろうが…それを倒したところで左のほうから声がした。もちろんここには現在他に来ていないらしいのであの双子の声で間違いないだろう。
「リノ~~もう無理!!魔力切れそうだよ~っ」
「杖がないの、がんばれ」
どういう状況なんだ杖がないって。あー…でも水から引き上げたとき持ってなかったかも…ということは水中においてきちゃったのか?そんなことを考えていると、リノがこちらに気がつきゆっくりと笑った。
「ミネ、助っ人」
リノがこっちのほうを指差している。それを聞いたミネは心底ほっとした顔をした。本当に困っているみたいだ。だけどここから道は繋がっていないからすぐには向かうことが出来ない。
「ファーナさんの弓なら水溜りの魚無視出来るかな…」
「試してみます」
ファーナさんが弓を引きリノの目の前にいるイノランタに向けて矢を繰り出した。その飛び出した矢を目掛け水溜りから何匹か魚が飛び出したが、速さに追いつけないらしく矢は速度を落とすことなくイノランタの眉間を貫いた。
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