第35話 1階層ボス戦2

「げほっげほっあ~~しんどっ」

「なあスライム博士。スライムの基本的な弱点は?」

「そんなの決まってる…体内にある、核。すーーはーーー…あーちょっとまだ痛いな」


 呼吸を整えてる健太を立たせ出来るだけ壁のほうへと移動させる。とりあえず座らせておいて俺はファーナさんの傍へと向かった。


「あーもう!的は大きいけど全部貫通しちゃうっ」

「ファーナさんやっぱりスライムだから核を攻撃しないとだめかもだ」

「だよねー…でも透けて見えないからどこにあるんだかわからないのよ」


 スライムの核の場所か…今まで倒してきたスライムのことを思い出してみる。飛び掛ってきて打ち返したスライム、一生懸命ナイフを健太が刺すけど核を移動させて避けるスライム、俺が攻撃して避けたスライムを健太が…


「あ…そうか」

「何か思いついた?」

「うん、核の位置は見えないけどスライムはスライムだってことだよ。つまり…」


 言いかけて俺は走り出した。スライムの右側から殴るために。走りながらも俺はファーナさんへと声をかける。


「ファーナさん!俺が殴った方向の反対側に矢を集中攻撃!!多分…核がそっちへ避けてるはずだからっ」

「…!!」


 はっと気がついたファーナさんが頷いて矢を番える。俺が殴るタイミングをじっと見つめてそのときを待った。


「…せい!!」


 俺は思いっきりスライムの横っ面(多分)を殴りつけた。すかさずファーナさんが矢を連続で放った。

 カカカッと刺さる音が聞こえた。2本ほど貫通して突き抜けていったが3本は核に刺さったと思う。


「やった…!」


 その瞬間ゆっくりと動いていたスライムの動きが止まった。フルフルとその場で震えだしたかと思うとスライムから何かが飛び出してきた。慌てて顔をガードするといくつも柔らかいものがぶつかってきた。

 視界の端には通常サイズのスライムが転がっている…つまり。大きなスライムはスライムの集合体だったということだ。

 あたり一面に無数のスライムが散らばっている。そいつらはそれぞれが動いているので生きているようだ。


「うへーー…」

「たくさんだね…」

「……」


 ということはこれを全部倒さないとボスは倒したことにならないということで、俺達はそれからたくさんのスライムの処理に走り回った。

 それはもう大変だったとしかいえない。色のついたスライムも混ざっていたから、油断も出来ないしあっちこっちからスライムが体当たりもしてくるのだ。

 腹を押さえつつも健太はガスライターを振り回し、ファーナさんは矢が切れるまで打ちつくしさらに短剣も振り回した。俺もひたすら金属バットでスライムをつぶしていった。

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