第34話 1階層ボス戦

 ちょっと話がそれてしまって忘れられてたが、俺達は今ボス部屋の扉の前で休憩をしていたんだった。少し緊張はするがそろそろボスと初顔合わせと行きますか。

 健太が開けたそうにしていたから扉を開けるのを健太に任せ俺とファーナさんは一足先に部屋の中へと入る。その後ろから健太が部屋の中へと入ると扉が勝手に閉じた。


「……」

「…ごくり」

「まだ…何もいない?」


 部屋の中は他の通路と同じ岩壁で出来ていて通路よりもぜんぜん天井も高くとにかく広い部屋だった。少しすると部屋の中央あたりに変わった模様が描かれた円が出現してそれが光りだした。どうやらパーティメンバーが全員部屋に入ると起動するようになっていた魔法陣というものらしい。

 その光がおさまるとそこには大きな…大きな??なんだこれ…大きな紫色のプルプルしたものが視界を塞いでいた。


「スライム…だね」

「サイズのおかしいスライムだわ…」

「でっか!なあ…これどうやって倒すんだ?」


 大きな体をゆらゆらとゆらしている紫色のスライムの動きはとてもゆっくりだった。すぐ横で触ることが出来るレベルであまり危険を感じない。それもあってスライム博士こと健太がスライムをぺたぺたと触りまくっていいる。


「わははははっっすっげーぶよぶよだ!!」

「健太…流石にそれは危ないんじゃ?」

「んーでも一応盾は構えてるし、大丈夫じゃね?」


 後衛であるファーナさんが少し後ろからその様子を眺めているが、今のところ何も言わず様子をうかがっているようだ。これだけ大きいとむやみに攻撃するのも何が起こるかわからないからな。


「あ…ケンタっすぐ離れて!そいつゆっくりだけど前進してるっ」

「まじで!?」


 慌てて数歩後ろへ引いた健太。そこへすかさず大きくタックルをかましてきた。移動した方向とスライムの攻撃方向が同じだったため健太は吹き飛ばされた。


「うおおおおー??」

「健太っ」


 間に入りスライムを殴りつけるが大きいだけあって重量もあるのだろう。表面を一時的にへこませるぐらいしか出来ずすぐに元に戻る。

 床に体を打ちつけた健太は少し胸を打って苦しそうに咳き込んでいた。


「ヨシオ…あまり大きく動かないでねっ」


 振り返ると背後でファーナさんが弓を構えていた。なるほど…矢なら貫くことが出来そうだ。

 1本2本3本…連続で矢を射る。矢はスライムを突き抜けて反対側から飛び出していった。どうやらスライムにダメージを与えることにはいたらなかったようだ。


 ファーナさんが攻撃してる間に転がっている健太を助け起こす。このまま放置したらスライムに押しつぶされそうだからな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る