第24話 健太の決意
次の日の朝、いつものように台所へ行き、いつものように母さんと挨拶を交わし、いつものように椅子に座ると、いつものように健太が朝食を食べていた。
「…おい」
「ん?」
首を傾げながら健太はもぐもぐとご飯を咀嚼している。今までならこれで普通だったのだけど昨日の今日だぞ…?なんで朝からいるんだ。
「ん~~あー…まあ後であっちで」
くいっと背後の窓の先にあるプレハブを指している。どうやら言いたいことはあるけどここでは話せないみたいだ。多少納得できないところもあるがまあ後で話もあるみたいだし、今はまず朝食を済ませるか。
健太を睨みつつも朝食を済ませると俺達はプレハブの中で合流した。普段とまったく変わった様子がない健太にイラつきながらも俺は言葉を待つ。用件があるのは健太なのだから俺から言う必要はないからな。
「あのさ…ダンジョンはやっぱ怖いところだったな!」
「そうだな」
「でもさ俺、折角だからあのダンジョン一番下まで行ってみたいんだわ」
「……は?」
「いやもちろん今まで以上に慎重にやるからさっえーと…防御重視?」
頭が痛い…ここまで馬鹿だったとは。現実離れした危険がある場所に自ら進んで挑もうなんて…
「ちゃんと約束するからさ!装備とか揃わない限り先へ進まないって」
呆れて俺は言葉が出ない。かわいらしくお願いしようとしてるみたいだけど男がそんなことしてもぜんぜんおいしくもないからな?
「俺としては進みたくはないんだけどな…でもまあもう一回ダンジョンには行かないとだめだろうね」
「じゃあ…っ」
「そうじゃない。ファーナさんきっと心配してるぞ。一度顔を出して無事を教えないとだめだろう?」
「よし、今すぐ行こう!」
張り切って健太は地下へと進もうとする。それを慌てて俺は止めた。まだダンジョンに入る準備をまったくしていないからな。
「ちょっとまて。まだ準備してないだろう?」
「え…俺は準備できてるけど…よっすーはまだ準備してなかったのか」
いくつつもりがなかったのにしているわけがないだろう。というか準備終わってるとかこいつ始めからすぐダンジョン入るつもりだったんじゃないだろうな…
健太を待たせリュックに荷物を詰めてから俺達は地下へと降りていった。まあ詰めるといってもいつもの水やら携帯食料やらだけなのだが。それにくわえ今回はファーナさんにお礼のお菓子を持ってきている。流石にアイテム全部貰ったままとかだめだしな。
俺達はタッチパネルを操作するとダンジョンの中へと入っていった。直ぐにファーナさんに会えるといいのだが…
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