第10話 ダンジョン攻略開始

6/22、後半に健太視点追加しました

────────────────────


 マーケットで見知らぬ単価のお金の入手とそこでの物品が購入出来ることを知った俺たちは、売られている武器の入手をするためにもダンジョンで何か手に入れてこようと入り口をくぐった。


 まあ…武器を欲しがってるのは主に健太だけなんだがな?ダンジョンなんて一度行けば気が済むだろうから武器なんていらないだろう?


 入り口近くには前回と同じくスライムはいなかったので、歩いて奥へと進む。少し進んだところで数匹ばらけてスライムがいるのを発見。


「ふっ…ふふぁっ見つけたぜぇ~」


 眼鏡をギラリと輝かせ健太がスライムの前に立ちふさがる。右手には果物ナイフ、左手には盾(?)を構えて。もちろんその様子にスライムは平然とゆったりと動いているだけ。


 右手に持った果物ナイフを健太は乱暴に前へと、スライムへと突き刺す。ナイフの刃はスライムに深々と突き刺さっているが、当の本人は平然としているようだ。


「む…そうかこの核にダメージ負わせないとだめなんだな。」


 たぶんそうなんだろうながんばれスライム博士。何度もナイフを突き刺しスライムに切りかかるが柔らかい体に刺さるだけで、核に傷をつけることすら出来ない。健太が刺すたびに逃げるかのように移動してるからだ。


「ぐぬぬぬぬ……っ」


 中々倒せないままたまに吐かれる酸を盾で防ぎその1体に健太は集中していて周りが見えていない。スライムはその1匹だけじゃなくまだ周りにいるのに健太はただ1匹だけに夢中だ。


 後ろから見ていた俺はぼんやりとそんな健太の様子を眺めていると、その少し前方にいたスライムが体を後ろに引くようにして震えていた。不思議に思い眺めているとそのスライムはポーンと飛び上がり健太に向かっていった。


「え…ちょっ健太危ない!」


 飛び上がったスライムに気づいていなかった健太は、俺の声に振り向きさらにそれに気がつかない。


「あーもうっ」


 しかたないのでスライムと健太の間に割って入り、その勢いのまま持っていた麺棒をバットのごとく振りぬいた。その行動が項をなし、いい感じにスライムを打ち返すと壁に当たりスライムはグチャッと核ごと潰れ、すーっと消えていった。


「な、な…鈍器ずりぃーー!!ナイフは核狙えなくて苦戦してるのにっ」

「そんなこと言われても知らんが…」


 武器を選んだのは健太だ。自分でナイフにしたくせに何が言いたいんだろうか。そもそもスライム博士ならどう倒せばいいとか知っていてもよさそうなのにな?


「まあいいさ…俺にはまだ秘密兵器があるからな!」

「…?」


 スライムから離れ健太はリュックの中から紙袋を取り出した。


────────────────────


 まあお金がないと武器は買えないわけで、そのお金を稼ぐためにもダンジョンへ入るしかないな。もちろん一番の目的はダンジョン探索だ。ほんと楽しみだなー今からあのスライム達をなんとしてでも倒してやるぜぇ…まあたいした火傷じゃなかったから大分いいが、やっぱり食らった分は返してやらないとな!


「ふっ…ふふぁっ見つけたぜぇ~」


 少し通路を進んだところにスライムが何匹かいるのを発見。さあ今から狩りの時間だぜぇ!

 俺はまずは眼鏡の位置を直して軽く深呼吸で息を整え、武器と盾を構えてスライムへとそろりそろりと近づいていく。それほど素早さのないスライムだが傍に近づくと何をしてくるかわからんからな。ここは慎重にいくしかない。


 まずは一太刀とばかりに俺はスライムにナイフを突き刺した。だが、スライムは何もなかったかのように平然とゆったりと動いている。


「む…そうかこの核にダメージ負わせないとだめなんだな。」


 それならば何度も何度も突き刺せばきっと当たるはず…っ

 でも結果は惨敗。何度指しても核が移動して突き刺すことが出来ない。


「ぐぬぬぬぬ……っ」


 っと油断してちゃいけないな。こいつらは酸を吐くんだった。今吐かれた酸を盾で防ぎ、もっと集中しようと目の前のスライムをしっかりと見る。本体の動きはかなり遅いのにその体の中にある核は妙に素早くて、刺す振りをするだけでもすごい勢いで逃げていく。これだけ早いとこんな小さなナイフで当てるのはかなり難しいかもしれないな。


「え…ちょっ健太危ない!」


 そんな俺を見ていたよっすーが声を上げた。何事かとそっちを見てみるが、何が危ないのかまったくわからなかった。


「あーもうっ」


 いや…だから何がなんだかわからないのだが。と思っていたらよっすーが移動してスライムを叩き潰した。俺が渡した麺棒で!そうあの麺棒で!!


「な、な…鈍器ずりぃーー!!ナイフは核狙えなくて苦戦してるのにっ」

「そんなこと言われても知らんが…」


 叩き潰されたスライムはどうやら核ごとつぶされたみたいでそのまますーっと消えていった。どうたやらダンジョンの魔物はやられると消えてしまうみたいだな。


「まあいいさ…俺にはまだ秘密兵器があるからな!」

「…?」


 見て驚くなよ~?こんな戦闘方法考えるのはきっと俺だけだぜ。おもむろにリュックから俺は1つの紙袋を取り出した。この中には今からやろうとしている方法に使う道具が入っているのだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る