第7話 部屋作り

6/20、後半に健太視点追加しました

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 買い物が終わった後、荷物をプレハブへと持ち込んだ。今からこのプレハブの内装を整えるぞー!


「なあ、ホームセンターで買ったベニヤ板って何に使うんだ?」

「ああ、あの穴の上に置くに決まってるだろう」

「やっぱり?穴あいたままじゃあぶねぇーもんな!」


 早速ベニヤ板を穴を塞ぐように2枚並べて置く。なんで2枚かというと大きすぎるとカットしないといけないし持ち歩くのもつらかったからだ。


「ちょっと先に家ん中で使ってる棚持ってくるわ」

「おう、じゃあ札とかビニールとか剥がしておくな」


 健太が手伝ってくれるようなのでそれは任せておいて、俺は家の中で使っていた棚を取りに行った。持ってきた棚をプレハブの入り口に置いてもう1つ棚を取りに行く。2個目を持って戻ってくると、プレハブの中からありえない音が聞こえてきた。


 その音とは電動ドライバーの回転音なのだが…今日買ってきたものに必要なものはなかったはず。つまり、健太が何か勝手にやっているってことだ。


「あ、おかえり~ほら、これ見てくれよ。いい出来だろう?」


 立ち上がった健太が指すほうを見る。穴の上にベニヤ板が置いてある場所だ。よく見てみるとその2枚のベニヤ板が蝶番で止められており、さらに手前側に取っての様な物がついている。


「危なくなくなったし、取っ手があって開け閉めもばっちりだろう?」 


 どや顔がうぜぇ…何勝手に出入りできるようにしてるんだ。取っ手はともかく蝶番は何気にありがたいあたりがむかついていらっとする。


「そうだな…」

「これさえ出来ちまえば後少しだろう?午後からダンジョン行こうぜ!」

「ダンジョンか…」


 ほんとにダンジョンかはわからんが、そんなに行きたいものかね?


「やっぱ火傷の落とし前くらいはつけないと気がすまないじゃんっ?ぜってースライム倒してやる!!」

「好きがこじれるとやっぱそういう方向にいくもんなんかね。仕舞いには食べてみたいとか言わんよな…」

「えっスライムって食べれるの??」

「知らないが…その辺はスライム博士のほうが詳しいんじゃないのか?」


 首をひねって健太が考え込んでいる。やっぱ使えんなスライム博士。


「まあ…多分、食べないからダンジョン行こうぜ!」

「はぁ~~もうわかったわかった。でも俺武器とか持ってないからな?」


 一度気の済むまでダンジョンに行けば気が済むだろうと俺が折れることにした。どうやって相手にする気か知らないが、怪我とかしない程度にしてほしいものだ。


「まかせろっ武器も用意したから、よっすーの分も!」


 俺はまた頭を抱える。ほんとにもう最近は頭痛が酷いな…


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 買い物が終わった俺達は買って来たものをプレハブへと運ぶ。まあほとんどのものがここで使うものなので当然のことだな。ただ、よっすーが買ってきたものの中には用途のわからないものもいくつかあるが、俺の予想が正しければ使い道はあれしかないだろう。


「なあ、ホームセンターで買ったベニヤ板って何に使うんだ?」

「ああ、あの穴の上に置くに決まってるだろう」

「やっぱり?穴あいたままじゃあぶねぇーもんな!」


 どうやら予想通りよっすーはダンジョンへの入口を開け閉めできるようにしようとしているみたいだ。俺の予想通りで少しにんまりと頬が緩む。


「ちょっと先に家ん中で使ってる棚持ってくるわ」

「おう、じゃあ札とかビニールとか剥がしておくな」


 よし、今のうちに俺が出来るところまで仕上げておきますか。そうときまれば一度家に戻って必要な道具を持ってこようじゃないか。すぐさま俺は家から引き返してきて作業を開始する。まずは宣言通りビニールや札をちゃんと剥がしてからだ。それが終わると家から持ってきた電動ドライバーでベニヤ板同士を蝶番で繋ぐようにくっつけよう。

 この作業がほとんど終わったころによっすーが戻ってきて入口のところに立っていた。


「あ、おかえり~ほら、これ見てくれよ。いい出来だろう?」


 俺は立ち上がると完成した出入り口をよっすーに見えるように紹介する。このできばえに俺は満足しているんだが、よっすーはどうだろう。


「危なくなくなったし、取っ手があって開け閉めもばっちりだろう?」


 もう少しだけアピールしておくか。するとよっすーは微妙な顔をしたが、そのあと軽くため息をついていたのでまあ文句はない感じだ。


「そうだな…」

「これさえ出来ちまえば後少しだろう?午後からダンジョン行こうぜ!」

「ダンジョンか…」


 さあここからが本番だ。よっすーをなんとしても一緒にダンジョンへ連れて行くんだ。というかよっすー来てくれないと俺ここが出入りできないんだからな?


「やっぱ火傷の落とし前くらいはつけないと気がすまないじゃんっ?ぜってースライム倒してやる!!」

「好きがこじれるとやっぱそういう方向にいくもんなんかね。仕舞いには食べてみたいとか言わんよな…」

「えっスライムって食べれるの??」

「知らないが…その辺はスライム博士のほうが詳しいんじゃないのか?」


 このダンジョンに行きたい俺の気持ちよとどけ!気のせいかよっすーが変な事言っているがスライムたべるわけないだろう?


「まあ…多分、食べないからダンジョン行こうぜ!」

「はぁ~~もうわかったわかった。でも俺武器とか持ってないからな?」


 よっしゃあああああああっ段ダンジョン行き決定!!

 よっすー甘いね、劇甘だね。武器が無いとかそんなのはダンジョンに行く理由にはならないのだよ。本人が用意する気が無いのなら俺が用意すれば言いだけの話だからな。


「まかせろっ武器も用意したから、よっすーの分も!」


 頭を抱えているよっすーを見て俺は勝ちを確信した。俺のダンジョンにいきたい気持ちのほうが強かったってことだな。

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