第3話「家光の懐刀」
虹「家光様だけに使えるのが私の勤めですからね。他の誰かに仕えるのは家光様に申し訳ない」
梅「お前はいつまで家光様の足を引っ張るつもりなの?いい加減里に帰りなさいな」
虹「里に帰りたいのは山々ですが私の父が許さないのです」
梅「お前のその一途な想いは好きだけどね」
竹「家光様は聡明なお方。それはそれは儚くも賢きお方…」
梅「竹、お前まで…」
家光「私は平凡。平凡を貫く」
梅「家光様、ご自身を平凡だなんて卑下をなさるとは…」
家光「平凡であれば自由に生きられる。ただそれだけのことよ」
梅「家光様、秀忠様は貴方様を優秀な後継者と見抜いたお方。貴方様は真っ直ぐに誠実でおられます」
虹「家光様はいつも急いでおられます」
梅「そうね」
虹「家光様は何故か恋には疎い…」
竹「家光様を好きになり私も仕えた身でございます」
家光「親父殿、梅はそれがしの侍女として相応しいのだが、虹も梅には劣らぬ働きをする」
秀忠「う〜む。どうもお前は知らぬうちにおなごに好かれるの…」
家光「彼女らはそれがしの大切な侍女達でございます」
秀忠「お前はまだ恋を知らぬ」
家光「それがしにやはり正室はいりませぬ。侍女を敬愛し、家臣を敬愛し、民を敬愛する。それが将軍たる者」
秀忠「まあ、それはそれでよいか…」
秀忠、苦笑いをする。
家光「いつも竹には世話になっておる。ありがたき働きじゃ」
梅「竹、家光様からの尊いお言葉よ」
竹「ハッハ、嬉しきお言葉…」
続く
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