第2話「家光と虹」

徳川家光「虹、虹はおるか?」

虹「殿、只今戻りました」

家光「そなたにはいつも世話になっておる。私はまだ将軍になったばかり…」

虹「秀忠様は?」

家光「親父殿なら寝ておろう」


徳川秀忠「梅、竹千代はああ見えて弱いのじゃ。そなたが竹千代を補佐するのじゃ」

梅「しかし…家光様は優秀なお方。補佐などなくともうまくやっていけるはず…」

秀忠「竹千代が心配なのじゃ」



家光「私もそろそろ正室を迎える頃…」

虹「鷹司孝子様はどうでしょうか…?」

家光「ふむ…」

虹「今はお決めにならくても」


家光「梅、虹は見なかったか?」

梅「虹様なら寝床へ」

家光「疲れておるのか。私も寝ようか」



伊達政宗「儂の天下はもうないのか…」

家臣「伊達様、既に天下は徳川のものになりました。いい加減諦めてくださいまし」

伊達政宗「若き日は戦場で働き、太閤秀吉に服従し関ヶ原では徳川に従う。もう儂は終わりじゃ」

家臣「かつての若き日の伊達様は血気盛んなお方であられました。今は…」



徳川秀忠「そのほうにも次代を導く権限がある。伊達よ、お主はこれからの若者達の鑑になりし武人よ」

伊達政宗「儂は既に隠居の身じゃ。なーにが天下じゃ。大坂の陣で片倉を失い、真田を討ち取ったのは家康ではないか」

秀忠「やはり、お主は父上を恨んでいたか…」

政宗「恨んでなどおらぬ。徳川こそが天下の主よ」

秀忠「伊達よ、お主は悲観的すぎじゃ。少しは父親を見習え」

政宗「儂は家康には及ばぬ。天下はお主らのものじゃ」

伊達政宗去る。

秀忠、溜め息をする。



家光「虹よ、近うよれ」

虹「家光様、これは?」

家光「お主に新しい着物を」

虹「ありがたき幸せにございます」




続く

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