第378話『今日から三学期!』

せやさかい


378『今日から三学期!』さくら    





 今年もよろしくお願いしま~す。



 三日の日に挨拶に伺ったとはいえ、三学期最初の登校日、きちんとお店のドアを開けてご挨拶しとく。


「こないだはありがとう、また遊びに来てくださいねぇ(^_^;)、モーニング二つ、アメリカンでございます、そちらさまは……」


 トレーを二つも持って、それでも半身を捻って挨拶してくれはる瑞穂さん。片手で挨拶のマスターはドリップから目を離せません。


 ペコリと頭を下げて駅に急ぎます。




「未成年て感じやないねえ」




 信号待ちで思わず感想が口をつく。


「うん、十個は上に見える」


 マスターが「あ、瑞穂はまだ未成年だから(n*´ω`*n)」なんて言うもんやさかい、うちらは気になってた。


 今どきの未成年はあいまいや。十八で選挙権あるし、なにか契約するにしても親の同意もいらんようになるし。


「いったい、いくつやねんやろか?」


 未成年には昔ながらの十八歳未満ちゅうのと二十歳未満がある、もし、十八歳未満いうことやったら、うちらとの年齢差は一つか二つ、頼子さんと同い年。


「ちょっと、それはねえ……」


 あれへんやろと留美ちゃん。


 二十歳未満にしても、十九歳。


 マスターはテイ兄ちゃんと大学の同窓やさかいにニ十七か八……ありえんことやないけど、テイ兄ちゃんがショック受ける程度には珍しい。


 ま、そういう興味もあってご挨拶、ちなみに提案したのは留美ちゃん。


 留美ちゃんも、かなりアグレッシブなキャラになってきたぜぃ( ⑉¯ 皿¯⑉ )。


「あ、青になった」


 揃って横断歩道に足を踏み出して、婦警さんが目につく。


「あ、あの婦警さん」


 クリスマスの日に見かけた小柄な婦警さん(369『留美ちゃんが立ち止まるわけ』)。


「フフ、やっぱ、かわいい」


 婦警さんの制服制帽は体にあったサイズやねんやろけど、ベルトやら拳銃やらはフリーサイズ。


 なんか、中学生がコスプレしてるみたいで可愛い。


 ピピピピピ!


 激しくホイッスルを吹いて自転車のオバチャンを制止。信号無視は見逃してません。


「あの感じは、五年はやってるねえ……」


 気負いもためらいもない職務執行、思いのほかのベテランなんかもしれません(^_^;)。




 明けましておめでとうございます。




 ペコちゃん先生が言うと、ほんまに「おめでとう!」いう感じがする。


 ペコちゃん先生は、学校の近所の神社の娘さん。


 子どもの頃から巫女服に身を固めて、正月やらお祭りやら神社の手伝いしてきたから決まります。


 返すうちらは「おめでとうございます」が2/3、「おはようございます」が1/3。


 メグリンは「おは、めでとうございます」と微妙に」とちってる。


 ウフ(* ´艸`)。


 留美ちゃんが口を押える。見るとソニーは舌を噛んで、ポーカーフェイスにはしてるけど、痛そう。


 せやけど、神社の娘がミッションスクールで先生やってるというのは、なんや寛容の精神を地で行ってるいう感じで、ほんまに目出度いです。


 政治家も宗教家も、こんな感じでやってくれたら、世界は平和になると思う。




 新年の挨拶をして提出物を出して、講堂に集合して始業式。




 いつもは、始業式が先やねんけども、暖房の効きが悪いので温めるのに時間をとったということらしい。


 中学では、そもそも講堂(体育館兼用)に暖房なんか無かったさかい、暖房にまで気を配る学校にビックリ。


 せやけど、暖房がめちゃくちゃ気持ちええさかい、半分以上寝てしまう(ごめんなさい)。


 フワァ~~(´Д`)。


「ちょっと」


 留美ちゃんに小突かれる……ヤバイ、演壇の院長先生と目が合うてしもた!


『ということで、三学期も気を緩めることなく、しっかりと頑張っていきましょう!』


 そんな、うちの顔見んといてください。みんなクスクス笑てるし(*゚O゚*)。




 始業式で笑われた以外には、大きなドジもせんと帰りの昇降口。




 ローファーに履き替えて、上履きをロッカーにしまおとしたら殺気を感じた!


 ドタドタドタ!


 前生徒会長の百武真鈴が血相を変えて駆け下りてくる。そんで、その美しくも怖い瞳は、しっかりうちの顔を見てる!


「よかった! 間に合ったぁ!」


「うわ!?」


 最後の三段は飛び降りて、うちのことをガッチリと掴まえた! 掴まえられた!




☆・・主な登場人物・・☆


酒井 さくら      この物語の主人公  聖真理愛女学院高校一年生

酒井 歌        さくらの母 亭主の失踪宣告をして旧姓の酒井に戻って娘と共に実家に戻ってきた。現在行方不明。

酒井 諦観       さくらの祖父 如来寺の隠居

酒井 諦念       さくらの伯父 諦一と詩の父

酒井 諦一       さくらの従兄 如来寺の新米坊主 テイ兄ちゃんと呼ばれる

酒井 詩(ことは)   さくらの従姉 聖真理愛学院大学二年生

酒井 美保       さくらの義理の伯母 諦一 詩の母 

榊原 留美       さくらと同居 中一からの同級生 

夕陽丘頼子       さくらと留美の先輩 ヤマセンブルグの王女 聖真理愛女学院高校三年生

ソフィー        ソフィア・ヒギンズ 頼子のガード 英国王室のメイド 陸軍少尉

ソニー         ソニア・ヒギンズ ソフィーの妹 英国王室のメイド 陸軍伍長

月島さやか       さくらの担任の先生

古閑 巡里(めぐり)  さくらと留美のクラスメート メグリン

百武真鈴(田中真央)  高校生声優の生徒会長

女王陛下        頼子のお祖母ちゃん ヤマセンブルグの国家元首

さくらをとりまく人たち ハンゼイのマスター(昴・あきら) 瑞穂(マスターの奥さん)

  

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