外法の村 十五 エウリュアレ

 三人は神舎を出て、拝殿の階段に腰をおろした。

 とりあえずオオカミたちに村中の建物を探るよう命じ、今後の方針を相談することにする。


「あのおしゃべりな死体のおかげで、知りたいことはあらかたわかった。

 ――で、いいのかな?」

 ゴーマが短い黒髪をばりばりかきむしりながら確認する。


「参謀本部に誰から聞いた話だ、と聞かれたら『死体からです』と答える?」

 ユニが茶化した。

「ありゃ、何かの術式だろうな。

 これも堕天使とやらの知識のおかげなのか、そうじゃなきゃ帝国は魔術が発達しているという話だから、向こうの魔導士から習ったんじゃないか」


 ユニは考え込む。どうしても疑問が解けないのだ。

「結局、アルケミスは何がしたかったのかしら。

 本当に契約し損ねた堕天使の望みを叶えるために、何の関係もないこの世界の人間を滅ぼそうとしたの?

 でも、彼自身、こんなことで王国は滅びないだろうってわかっていたわ。

 だったらなぜ……」


「それを俺に聞いてもな……。

 多分、奴がやりたかったのは、王国と帝国の間で保たれていた均衡を崩すことだったんじゃないかな。


 ――四神獣が守りを固める王国に手を出せない帝国。

 そのバランスを何らかの方法で崩せたとしたら、たちまち混乱と戦争の世紀が始まってしまう。

 奴は人間のどうしようもない愚かさを笑ってやりたかったんだろうさ。

 いかにも魔族に精神を同化させた老人が考えそうなことだ」

「あの人もそういう意味じゃ、立派な召喚士だったってことよね」


「死んじゃったお爺ちゃんの話は置いといて……」

 エディスが少しいらついた感じで口を挟む。

「この村、オークとアルケミスだけしかいないって、変よね。

 なんかしっくりこないわ」


 ゴーマも同意する。

「ああ、あの爺様の口ぶりだと、繁殖させたオークでも完全には支配できないらしい。

 あくまで召喚したオークを通して命令を聞かせられる……そんな感じだったよな。

 だったらこの村と神舎を警護していたオークを統率している召喚オークはどこにいる?

 そのオークを呼び出した召喚士はどこだ?

 帝国の連中はこの村に一人の見張りもつけていないのか?」


 ゴーマの疑問はもっともだった。

 ユニはもう一つの疑問をぶつける。

「アルケミスが死んだ後に、術まで使って私たちと会話をしたのは?

 なんだかこちらの知りたいことを、必要以上に親切に教えてくれたような気がしない?

 ……まるで私たちがそれで満足して帰ることを期待しているみたいだわ」


 ゴーマも考え込む。

「……そうだな。

 爺様もさっきオークだけじゃダメだから、もっと別の手段を用意している、みたいなことを言ってたな。

 ということは、もっとヤバい、何かとんでもないものを召喚しているのかもしれん」


「そしてそれを気取られないよう、私たちに情報を渡す。

 私たちが喜んで報告のために引き返したら、すべてが手遅れになっている?」

 そこへオオカミたちがバラバラと戻ってきた。


「どうだった?」

『人やオークの気配はやっぱりないな』

『だが、割と最近までの人間やオークの臭いは残っていた』

『それに村の柵の外からだが、結構な数のゴブリンの臭いも嗅ぎつけたぞ』

 オオカミたちの報告は、すぐに二人にも伝えられる。


「あー、やっぱりなぁ……。

 こりゃあ、爺さんの話だけを土産に帰るってわけにはいかないなー」

 ゴーマが頭をかきながら嘆く。


「あたしは辺境でオーク狩りをしていたはずなのに……。

 どうしてこうなったのかしら」

 ユニも深い溜め息をつく。

 エディスは退屈したエウリュアレと〝せせっせー〟という手遊びをしていた。


 その日はいったんベースキャンプに戻って夜を過ごし、翌日改めて村の周辺を捜索することとなった。

 アランが迎えにくるのはまだ数日先のことだから、時間には余裕がある。


 村の主だった施設内から持ち帰ることができた資料はわずかで、物資や食料の出納帳めいたものしかなかった。

 それでも帝国の関与を裏付ける傍証程度にはなるだろう、とはエディスの見解だった。


 翌朝、再び村に戻り、周辺をざっと調べたところで方針は固まった。

 村の外縁部に粗末な長屋が発見されたのだ。

 中はもぬけのカラだったが、臭いや痕跡からゴブリンの住居であることは明らかだった。


 ゴブリンも〝穴〟から迷い出てくることがあったが、辺境の村を襲うことはほとんどなかった。

 ゴブリン自体は体も小さく、力も弱かった。ほとんどの〝はぐれゴブリン〟はタブ大森林の厳しい環境の中で飢えて斃れてしまう。


 彼らは群れでこそ脅威となりえたが、単独で村を襲うのは自殺行為に等しかった。

 村人が四、五人もいれば簡単に撃退される、というより殺害されるのがオチだったからだ。


 だがこの長屋に居住していたと思われるゴブリンは数十匹単位の規模、群れを成しており、十分に脅威たるべき勢力だった。

 ゴブリンの群れはごく最近移動したとみられたが、足跡などその痕跡は巧妙に消され、隠匿されていた。


 だが、臭いは丸残りだった。

 オオカミたちにとってゴブリンの跡を追うのは、迷いの森でパン屑の目印をたどるような容易い仕事だった。


 村を出て二時間近く、溶岩流が押し流した巨大な岩石の間を縫って追跡は続いた。

 太陽が天頂近くまで上がった頃、一行はゴブリンたちの目的地と見られる巨大な洞窟の前までたどりついた。


 その洞窟は、入口の高さが十二メートルほど、幅は二十メートル近くもある巨大なものだった。

 一見すると自然の洞窟だが、どこか人工的な気配が感じられた。


「どうする?」

「どうするったって、中に入らなきゃ始まらんだろう」

「でも、多分待ち伏せされてるわよ」

「十中八九そうだろうな」

「だからどうすんのよ!」


 不毛な会話を繰り返した結果、オオカミたちを斥候として先頭にたて、敵の集団と遭遇したらエウリュアレの石化で対処するという、きわめて大雑把な作戦が立てられた。


 敵味方が混じり合う乱戦になると、彼女の石化が使えなくなるので、ばらけないことだけが強く申し合わされた。


 洞窟の内部は入口とほぼ同じ大きさで続き、用意しておいた松明たいまつを手にしばらく進むと、部屋のような広間に出くわした。

 高いところに天井が張ってあり、明らかに人の手が入っている。


『気をつけろ、ゴブリンがいるぞ』

 先行するオオカミたちから事前の警報が入る。


 中に入ると、テーブルや長持ちの陰から二十匹ほどの槍を手にしたゴブリンが予想どおりに飛び出し、一斉に襲いかかってきた。


 しかし体格差がありすぎるオオカミたちに、先頭の三、四匹がたちまち噛み殺されると、ゴブリンたちは槍を突き出したまま後退し、ユニたちとにらみ合う恰好となった。


 こうなると勝負はあっけなかった。ワンピース姿の女の子が、ちょこちょこと前に出てきて仮面を取る。

 次の瞬間、見事なゴブリンの石像群が完成していた。

 オオカミたちが面倒臭そうに軽い体当たりをかませ、次々と石像を倒し壊していく。


「次は楽じゃないぞ」

 ゴーマが警告する。

「どういうこと?」

「今のはこちらの手の内を探るための囮だ。

 奴らどっかで見ていたはずだ」


 広間を抜け、再び廊下のような洞窟が、かなりの距離続いた。

 十五分近く歩いたところで、また部屋のような広場に出る。今度は天井が低い。


『ゴブリン臭え!』

 オオカミたちが騒いだが、中に入っても待ち伏せはなかった。

 部屋の中には何もなかったので、一行はそのまま進もうとした。

 ところが中央部あたりまで進んだところで、突然上から大量のゴブリンが降ってきた。


 天井だと思っていたのは、木枠に帆布を張ったもので、上から待ち構えていたゴブリンが飛び降りてきたのだ。

 ユニたちの間に割って入るように落ちてきたゴブリンたちと、たちまち入り乱れた乱戦となった。


 敵の意図は明らかだった。エウリュアレと他の召喚士を引き離し、うかつに石化を使えなくすることだ。


 ユニの持つナガサの短槍が一閃してゴブリンの腹を引き裂く。

 絶叫を上げて倒れ伏す仲間の下をくぐって飛び出してきたゴブリンは、横から突進してきたハヤトの顎に捉えられ、ひと噛みで絶命した。

 ハヤトが「べっ」と吐き出した死骸には四肢がなかった。噛まれた時にちぎれて飛び散ったらしい。


 ユニの背後にはライガが巨体を低くして牙をむき、盛大な唸り声で威嚇するものだから、ゴブリンは恐れて近づくことができないでいる。


 少し離れたところでは、ゴーマが剣を抜いてゴブリンと切り結んでいる。

 ハルバートでは小柄なゴブリンと戦いづらいようだった。

 ゴーマの背後ではヨーコさんとジェシカ・シェンカの姉妹がサポートに回っている。

 どうやらゴーマはオオカミの女衆に気に入られているようだった。


 肝心のエディスとエウリュアレの方にはヨミとミナ、それにトキが付いている。エディス自身もレイピアを抜いてゴブリンを近づかせる隙を見せていない。


 これならゴブリンを排除して一塊りに戻るのは容易いと思われたが、そううまくはいかなかった。

 部屋の先に続く通路からオークの群れが、そして破れた偽天井で隠れていた中段の壁穴から人間の兵士が飛び出してきたのだ。


 オークの群れを率いるのは二メートルをゆうに超す巨体、召喚オークに間違いない。繁殖オークであろう三体の仲間を引き連れている。


 さらにその後ろからは、少し離れて筋肉質の引き締まった体をした若い僧侶が六尺棒を手に続いている。

 おそらくはオークの召喚主だろう。


 一方、兵士たちは黒い艶消しの軽装鎧と兜をまとっていた。八人、一個小隊の帝国軍の兵士であった。


 オークと兵士はまっすぐにエディスとエウリュアレに向かって突進してくる。

 ユニたちと合流させまいとする動きだった。


 先に到達したオークたちが、何もかも粉砕する勢いで棍棒をふるう。

 オオカミたちは難なく後方に跳躍して距離を取ったが、人間はそれほど俊敏ではない。

 ヨミがとっさにエディスたちに体当たりをして弾き飛ばしたおかげで、彼女たちは間一髪で棍棒から逃れる。


 ヨミはそのまま手近なところに倒れたエディスを咥えて背中に放り上げ、エディスがヨミの体を掴んだのを確認すると、一気に跳躍してユニの近くまでたどり着いた。


 エウリュアレにはミナが駆け寄り、咥えて逃げ去ろうとしたが、遅れて到達した帝国軍の兵士が一斉に槍を突き出したため、空しく後退するしかなかった。

 エウリュアレは兵士の一人に捕われ、仮面を取る隙もなく両腕を背中側にねじりあげられた。


 悲鳴はあげなかったが、「うー、うーっ」という唸り声をあげ、どうにか逃れようとしている。

 エディスはヨミの体当たりで転がった時にどこかを打ったらしく、咳き込みながらユニの傍らに歩いてきた。


 周囲のゴブリンはすでにオオカミたちによってあらかた駆逐され、ゴーマも合流してきた。

 一方、エウリュアレを人質にとった格好の帝国軍とオークたちは、ゴーマたちに倒されたオーク一体を除いて健在。


 三つの集団が二対一でにらみ合う格好となった。

 ユニの側は数で劣勢の上、エウリュアレが敵の手に落ちている以上うかつな攻撃ができない。


 帝国軍の隊長らしい男が大声で呼びかける。

「貴様たちは王国軍の召喚士だな。

 ただちに降伏せよ!

 従わない場合は、この娘の命は保証しない。

 幼女に見えても化け物であることはわかっている。

 我々は躊躇しないぞ!」


「どうする。エルルを使うか?」

 小声でゴーマが聞いてくる。

「エウリュアレを巻き込んだらどうするの」

「いや、オークだけを狙う」

「で、エウリュアレはどうやって取り戻すの?」

「それは……」


 言葉に詰まってゴーマは召喚主に話を振る。

「おいエディス、どうにかならんのか?」

「まずいわね。あの子、嫌がっているわ」

「そりゃ、見ればわかる」

「これは……まずいわよ」

「何がだ? さっきからまずいまずいって」


 ゴーマの問いを無視して、エディスは早口でユニに囁く。

「ユニ先輩、オオカミたちに伝えてください。

 私が合図したら、全員で元来た通路に全速で逃げ込むこと。

 私たち三人はオオカミの背中に飛び乗って逃げる。

 いいですね。

 オオカミたちには誰を運ぶか指示してください。

 ゴーマ先輩もわかりましたね!」


「おいおい、何が始まるっていうんだ?」

「見ればわかりますよ。

 というか、エリーが嫌がるんであんまり見てほしくないんですけどね」


「どうにかなるっていうのか?

 かわいそうに、あんなに腕をねじ上げられて。

 あれじゃ身動きひとつできないぞ」


「エリーはさっきから悲鳴ひとつあげてないでしょ。

 痛くないんですよ、あの子は。

 ただ嫌がっているだけなんです」


「どうした! 何をこそこそ相談している。

 今すぐ投降しない場合は、この娘の首を刎ねる!」

 そう言うと、隊長は剣を抜いてエウリュアレの首元に突きつける。


 エウリュアレは〝いやいや〟をするように小さく頭を動かし、相変わらず「うーうー」と唸っている。仮面の隙間から、小さな涙の粒が零れ落ちるのが見えた。


「今です!」

 エディスが叫ぶと傍らのヨミの背中に飛び乗る。

 同時にユニはライガの背に、ゴーマはハヤトに飛び乗り、脱兎のごとく逃走した。


 三人の後ろを守るようにほかの五頭がそれに続き、あっという間に部屋から元来た通路へと撤退を完了した。


 驚いたのは帝国軍である。

 事態を把握できずに呆然として敵が走り去った方を見つめていると、突然仲間の一人が大声をあげた。


「うわわわわわわー、なんだこれは!」

 それはエウリュアレを捕え、腕をねじ上げていた兵士だった。


 彼の左手には、しなびた幼女の腕、いや腕の皮が二本、くたりとなって残されていた。

 そして幼女を抱えていた右手の方では、さらにありえない光景が繰り広げられていた。


 蛇玉へびたま、あるいは蛇花火という玩具花火で遊んだことがあるだろうか。

 一センチ程度の小さな黒い玉に着火すると、燃えかすが蛇のように伸び出てくる花火である。


 全然美しくはないが、元の状態と燃えかすとの質量の差が圧倒的で、まるで何もない地面から大蛇が這い出てくるような驚きがある。


 それと同じような現象が起こっていた。

 エウリュアレの体だった物体から、ムリムリムリと蛇体が伸びあがっていく。

 太さは大人が一抱えしても届かないほど、体長は十数メートルに達していた。


 質量保存の法則を軽々と飛び越えた、爆発的な体積の増加。

 何より恐ろしいのは、顔がウロコに覆われているものの人間のそれであることだった。

 それは、かろうじて女性であることが判別できた。


 ただし口は耳元まで裂け、長く鋭い牙が上下四本あり、その隙間から蛇の舌がチロチロと出入りしている。

 目は左右に離れ、瞳は金色に輝き、虹彩が縦に細くなっている。


 巨大な蛇は部屋中をうねうねと這い回り、誰も逃さないとでもいうように周囲を囲う。

 そして鎌首を持ち上げ、哀れな獲物たちを文字どおり舌なめずりして見つめていた。


 オークたちはすでに全員、蛇の睨みで石像と化していた。

 帝国の兵士たちは、とっさに目を覆い、蛇の目を見ないようにしたが無駄な抵抗だった。


 目を見ないでも、その蛇体に触れ、吐息を浴びるだけで彼らは絶叫してのたうちまわった。


 毒だ!

 帝国の兵士たちも気づいたが、すでに遅かった。

 皮膚がたちまち紫色に変色し、ぼこぼこと瘤のように膨れ上がっていく。

 いくつかの瘤ははじけて、中から血と膿が噴出する。


 何人かは苦しみのあまりに助けを求めようとして蛇を見てしまい、たちまち石化してしまう。

 大蛇のトグロがだんだんと狭まり、毒気のある吐息がシューシューと降りかかると、ほどなくその部屋で息をしているのは蛇だけとなった。


「なんだあれは、なんだあれは? なんだあれは!」

 ゴーマは青ざめた顔でわめいた。

 彼は部屋から逃れる一瞬、後ろを振り返ったのだ。


 エディスが「バカっ!」と叫んだが遅かった。

 ほんの一瞬だったが、エウリュアレの体から数メートルの蛇が煙のように湧き出すのを見てしまった。


「あれがゴルゴン三姉妹の本体ですよ。

 ゴーマ先輩は運がいいですね。目を合わせていたら石化ですよ。

 ああなると我を忘れて敵味方の区別がつかないし、ホント危ないんですから。

 でも、もう治まったみたいです。戻りましょう」


 召喚主であるエディスには、それがわかるようだった。

 ユニとゴーマはそれを信じるしかない。

 通路から部屋の中へこわごわと入っていくと、確かにことは終わっていた。


 オークも帝国の兵士も、見事な石像となって屹立していた。

 それ以外の者たちはもっと悲惨な姿をしていた。

 毒に冒され、ぐずぐずになって原型を留めていない。悪臭を放つ紫色の腐った肉の塊りに過ぎなくなっていた。


 どれほど強力な毒なのか、先にユニたちに倒されていたゴブリンたちの死骸も、同じ運命をたどっていた。


 部屋の中央には、幼女の姿に戻ったエウリュアレが裸で横たわっていた。

 服は失われていたが、なぜだか仮面だけは元のように顔に吸いついている。


「エリーはだいじょうぶなの?」

 ユニが心配そうに尋ねる。


「平気です。眠っているだけだから。

 暴れると疲れてこうなっちゃうんです。

 しばらくすれば目を覚ましますよ。


 ――お願いだからエリーには蛇になったこと、言わないでくださいね。

 この子、とても恥ずかしがりますから」


「お前はだいじょうぶなのか?」

 今度はゴーマが聞く。

「何がですか?」

「いや、エリーがああなった時、お前自身は平気なのか?」


「ええ、私はゴルゴンの呪いをこの子と共有している身ですから。

 毒も効きませんし、石になったりもしませんよ?」


 エディスは自分の上着を脱いでエウリュアレをくるむと抱き上げた。

 腰のポーチから細い帯を取り出すと、慣れたようすで幼女を〝おんぶ〟する。


「さあ、行きましょう。この先、敵がいたとしてもそう多くはないでしょう」

 エディスは元気な足取りで先に向かって歩き出す。

 ユニとゴーマは慌ててその後に続く。


 なんだかすっかり毒気を抜かれてしまった。

 「国家召喚士は一軍に匹敵する」

 アリストスのミノタウロスを見た時、それは肌で感じ取ったはずだった。

 だが、今改めて思う。


 「このたちが敵でなくてよかった」と。

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