紅蒼科学 IFストーリー

継月

I Want To Be


みずべちほー ライブステージ 楽屋


「ってて…」


継月がボロボロになって帰ってきた…

まただ…またセルリアンとの戦いで…

継月は今、怪我の治療をしてもらっている


「大丈夫?」


「なんとかな…」


「…」


なんでそんな笑ってられるんだよ…

なんでそんなボロボロなのに笑えるんだよ…

訳…わかんねぇよ…


「とりあえず…何か食べるものを持ってきましょう」


「ですね」


「イワビーは継ちゃんのことを見てて?」


「ぁ、あぁ…」


プリンセス達は食べ物を探しに楽屋の外へ行った

残ったのは俺と継月だけだ


「…」


「…」


暫く沈黙が続く


「なぁ」


「……なに?イワビー」


「継月ってさ、なんで戦ってるんだ?」


「前にも言っただろ?みんなを守るためさ。

セルリアンからな」


「そんなの知ってるよ…。でも…だったらそんなのハンターにでも任せとけばいいじゃんか!なんでっ、なんで継月が戦わなくちゃいけないんだよっ!」


俺は継月の側に座ると両肩を掴み迫った


「…自分の大切なものってのはな、自分の手でしか守れないんだ。俺にとっては、フレンズの皆がそうだ。ハンターだってフレンズだろ?

セルリアンに食べられたら…終わりだ。

もう、誰かを失うのは…ごめんなんだ…」


その言葉にゆっくり継月の肩に置いた手を下ろす


「…継月の過去に何があったかはフルルから全部聞いてるよ。…でもよ、だからって…、

っ、継月が傷つく必要なんかないじゃんかよっ!」


俺は声を荒げて訴えかける


「…俺がそうしたいからやってるだけだ。

もうこの生き方を変えることは出来ない…。

多分、これからもずっとな」


「…でも…。…そうだ!俺にも継月と同じやつ作ってくれよ!そいつを使って戦えば、俺だって継月の役に立っt「それは出来ない」なんでだよ!」


俺はお前が記憶失くした時に変身して戦ったんのになんで止めるんだ!


「フレンズが傷つかないようにって、開発したんだぞ?フレンズであるお前が使って戦ったら、それこそ本末転倒だ。

それにあれは、強い気持ちが一定の基準値を越えないと変身への転移が出来ない仕組みにしてあるんだ。生半可な気持ちで使われないようにな」


「っ…じゃぁ…じゃあどうすりゃいいんだよっ…。俺…継月の為に何も出来てねぇじゃん…お前の恋人なのに…何もっ…グスッ…」


気がつけば涙がポロポロと流れていた

自分の大事な人が傷ついていることとそれに

対して何も出来てない、何の力にもなれない

そんな自分が悔しいんだ


「…バーカ、何も出来てない?そんなわけあるか」


「っ…だってよぉ…っ」


継月が微笑み、ゆっくり右手を伸ばし俺の右頬へ添える


「確かに…俺と一緒に戦って俺の負担を減らそうとしてくれるのは嬉しいさ。

正直、結構痛いし…辛いし」


「っ…なら…「でもさ」…?」


継月が右頬に添えていた手を頭へと移す


「俺がどんなに疲れて帰ってきても、

どんなボロボロになって帰ってきても、

お前が…『おかえり』…って、屈託のない

笑顔で出迎えてくれるとさ。そういうの、

一気に吹っ飛んじまうんだよ。それに…

『この笑顔を守るために、もっと頑張らなきゃ』って、力も湧いてくる。

お前が、何時も俺の側で笑っていてくれるのが、俺にとっちゃいっっちばん嬉しいんだよ」


そして、添えた手で髪を優しく撫でてきた


「っ…なんだよそれっ…グスッ…そんなの…っ…ずりぃじゃんか…ヒグッ」


「ズルいも何も…普段から思ってることさ」


そう言いながら撫でている手を再び右頬に移す


「…いつもありがとな、イワビー」


「っ…!」


その一言に今まで抑えていた感情という名のダムが決壊した


「ぁぅっ…グスッ‥ヒグッ…ぅっ…ああああああああああああああああああああああああああっ…!」


俺は抑えきれなくなり、継月の胸に飛び込んだ

継月の身体を両腕でしっかりと抱きしめ

胸に顔を埋めて嗚咽を漏らした


「ヒグッ…グスッ…ェグッ…あああああああああああっ…!」


「よしよし…」


継月はそんな俺を優しく包むように左腕を胴体に、右腕を頭に回し、右手で頭の後ろを赤子を優しく撫でてくれたんだ


・・・


「グスッ…グスッ…」


「…」


継月は俺が泣き止むまで背中や頭を撫でてくれた


「っ…はぁ…」


「落ち着いたか?」


「あぁ…なんとか」


気持ちは継月のおかげで落ち着いた…

でもまだ離れたくないな…


「なぁ…しばらくこのままでもいいか…?」


「あぁ、いいぞ」


継月の温もりを噛み締めるように抱きついたまま、しばらく沈黙が続く


「なぁ…イワビー」


「ん?なんだ?」


顔を上げて、継月の声に応じる


「その…こんな俺だけどさ。

側で笑っていてくれないか?これからも…ずっと…」


「んだよ、そんなことかよ」


「そんなことって…」


目を閉じて継月に身体を預ける


「んなの当たり前だろ」




だって継月おまえは…



俺の大事なあいぼうなんだからよ…

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る