俺はとんでもないスキルを頂いたようです。

@nagahamayasushi

第1話

目が覚めると修一は辺り一面が真っ白な空間に浮いていた。今さっきまで部屋で、一人でゲームをしていたはずだ。たしかその時に目の前が真っ白く光ってそれからの記憶がない。


「えっ!? ここどこ?」


周囲を見渡し何もない真っ白な空間に一人でいるこいとに唖然とする。


とりあえず何もない空間を見回す。すると背後に気配を感じて振り返ると、そこに白いひげに白髪の長い髪の老人が姿を現した。


「すまない。 君は本永もとなが修一しゅういち40歳の独身であっているかな」


人の良さそうな老人が声を掛けてきた。修一は25歳の時に結婚していたが36歳の時に離婚していた。子供はいない。


「はい、そうです」


老人の質問に修一は素直に答える。目の前の老人も白い空間に浮かんでいる。修一は違和感しか浮かばない。


「修一君。 ここに来る前にないがあったか覚えているか?」


「はい、部屋でゲームをしているときに目の前の空間が避けて白い光に包まれました。 それからの記憶がありません」


修一の話を聞いて老人は少し慌てたそぶりを見せた。


「修一君。 すまなかった。 邪神との戦いに君を巻き込んで決まった。 邪神に止めを刺すために放った攻撃が空間に次元の亀裂を生み余波で君を跡形もなく消し炭に変えてしまった。 許してくれ」


老人そう言い頭を下げてきた。修一が最後に見た光は老人の攻撃の余波だったらしい。修一は謝られても仕方がないと思った。


「謝っているということは、私は死んでしまったのでしょうか? ここはあの世ですか?」


老人は首を振る。


「ここはあの世でも天国でもない。 生と死の狭間の世界だ。 言い忘れておったが儂は全知全能の神だ。 これでも神々の中では一番偉いのだぞ。 修一をここに呼んだのは儂の過ちを許して欲しいのと思ったからじゃ」


「許すも何も神様は邪神を倒したんですよね。 何も悪いことはしていません。 私が巻き込まれたのが不運だっただけです」


修一そう答えると神様は目を丸くして驚いた。


「お主、儂を許すというのか?」


「はい。 許すなどというのはおこがましいくらいです。 それよりも神様の力で元の生活に戻れないでしょうか?」


修一の問いに神様は目をそらした。


「すまぬ。 お主の体は消し炭になってしまって修復が出来ぬので元の状態にするのは無理じゃ。 それにお主の住まいも燃えてなくなってしまった。 地元では原因不明の火事という事で事件扱いになっている。 修一は焼死したことになっている。 もう元の生活には戻れない。 それに儂は地球の神ではないからな」


修一は愕然とした。だが40にもなって家族もいなかったのでこのままあの世に行くのもわるくないと思った。


「そうですか。 元の生活には戻れないのですね。 ではこのままあの世に行くのでしょうか?」


「本当にすまない。 お主はあの世にもいけない。 なんせ地球に関係のない儂のせいで死んだのだからな」


修一の顔が驚愕に染まる。驚いて言葉も出ないくらいだ。



「それでは、私はどうなるのでしょう」


「お主、儂の管理している世界に転生か転移する気はないか? 新しい体は儂が準備してやるぞ」


修一に残された選択は老人の管理している世界に転移か転生するしかないようだ。修一は意を決して頷く。


「はい。 もう一度赤ん坊からやり直すのは嫌なので転移でお願いします」


神様は微笑み何度も頷く。


「そうか、そうか。 新しい体はこちらで準備してやろう」


「私が行く世界はどんなところですか?」


「儂の世界は魔物がいるし盗賊などもいる。 地球より命が軽く扱われる世界じゃ」


修一は顔を歪ませる。修一が思っているよりも過酷な世界のようだ。


「なあに。 心配することはない。 お主にはすぐに死なないような丈夫な体をやろう。 それと儂の権能を授けよう。 人間には過ぎたちからじゃが、お主なら悪用はしないじゃろう。 もし悪用したときには天罰が下るだろう」


「権能はありがたく受け取っておきます。 悪用はしないと誓いましょう」


「新たな体は女性に持てるように整った顔に作ってやる。 年齢も若返らせておこう。 当分過ごせるように【亜空間倉庫インベントリ】にお金と剣も入れておく。 有意義に使うように」


「有難う御座います」


「なあに、気にするな。 すべて儂が悪いのだからな」


「はい」


「それでは、いくといい。 現地に着いたらステータスを確認するといい」


神様がそういうと視界が暗転した。気が付くと修一は森の中に立っていた。

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