第588話 デザートを召し上がれ
ケビンの罪滅ぼしという名の2日目。朝食後、ケビンは次なるお相手に
「
「どうしたの?」
ケビンの予想通りで
「戦場に置いてきちゃっただろ? だから、お詫びの挨拶回りをしているんだ」
「あー……あれはビックリだったよね。魔王が1発でぺちゃんこになっちゃったから、微妙な空気が流れてたよね」
「まぁ、その微妙な空気に流されて帰っちゃったからな。ごめんな、置き去りにして」
「ううん、仕方ないよ。みんなの視線が痛かったんだよね? あの後もあの空気のままで後始末とかしてたから」
「それでも置いてきたのは俺が悪い。だから、お詫びも兼ねて今日はデートをしよう」
「いいの!?」
「ああ。アズたちにも伝えてあるから、今日は見習いの仕事はナシだ」
「やったー! デート、デート!」
喜びのあまりケビンに抱きつく
そして、ケビンが5階の通路で
「さ、行こ! ケビンくん」
「ああ」
それからケビンが
「ここはクズミが経営する高級宿屋だ。各地に規模は違えどそれなりの店舗があるぞ」
「へぇークズミさんって日頃何してるんだろうと思ってたけど、宿屋の経営者だったんだね」
都市の中でも1番高くそびえ立つ宿屋を見上げる
そして、宿屋に入るのかと思っていた
そこでは高級感のあるドレスが視界いっぱいに広がりを見せており、元の世界でも一流の服飾屋に赴いたことのある
「妻に合う最高のドレスを小物込みで頼む」
「かしこまりました」
「奥方様、どうぞこちらへ」
女性店員が“奥方様”と言ったことにより、ますます顔を赤く染めてしまう
「お久しぶりです、ケビン様」
店の奥から出てきた責任者がそう声をかけると、ケビンも久しぶりに会う責任者に挨拶を返す。
「久しぶり。よく俺が来たってわかったな」
「それはあの時以来どのような服装であれ、お客様に最高の接遇を心がけるように徹底させていますから。ですが、ケビン様のような服装の方は中々現れず、お披露目する機会があまりないのです。それで、今日はようやくその機会が現れまして、報告を受けた私がどのようなお客様か顔を窺わせて頂きに足を運んだのです」
「つまり、俺が来たとわかったんじゃくて、俺みたいな服装をした人がどんな人か見に来たってわけか」
「はい。ちなみに当店の店員の対応は如何でしたでしょうか?」
「立派な接遇だったぞ。ちゃんと教育が行き届いているのがわかった」
「ありがとうございます」
それからケビンは
「ケビン様はあまり目立つような格好を好まれなかったと、記憶しております」
「よく覚えていたな」
「出会い方がアレでしたからな」
責任者が言葉を濁しつつ笑みを浮かべると、ケビンも当時を思い出しては『確かに』と思いながら相槌を打ちつつ笑うのだった。
それからのケビンは服にこだわりがないので責任者の薦めるタキシードを購入した後、
「ど……どうかな……?」
おずおずとケビンの反応を窺うように尋ねてくる
「とても似合ってる。可愛いよ」
「エヘへ……」
ケビンからの感想が嬉しかったのか、
それから支払いを済ませたケビンは、
そこで受付嬢をしている女性がケビンの姿を目にしてしまい、驚きで目を見開いてしまう。
「ケ、ケビン様っ!?」
「ナル、久しぶり」
「入口から入ってこられるなんてどうしたんですか!?」
ケビンが姿を現す際には、私室の最上階からと決まってはいないがほぼほぼそのようになっているので、入口から入ってきたことに驚くナルにケビンはその理由を告げる。
「今日はデートでね。先に服飾屋に寄ってからこっちに来たんだ」
「なるほど……」
ナルの視線の先にはケビンの隣で可愛らしくめかしこんだ女性がいたので、あっさりとその理由に納得してしまう。そして、その服装からもケビンたちの行き先が何処になるのか、簡単に察してしまうというもの。
「もう身内ですから荒稼ぎはしないと思いますけど、ほどほどにしてくださいね」
「当たり前だろ。クズミの店を潰す気はない」
「はぁぁ……ケビン様は取っかえ引っ変えしているのに、私ときたら……」
ケビンの周りにいる女性を羨んでいるのか、ナルが心の叫びをついボヤいてしまうと、ケビンは受付に身を乗り出してナルの耳元で囁いた。
「今日は妻がいるから無理だけど、今度ナルを抱きに来る」
その瞬間ナルは誰の目にも明らかなほど顔を真っ赤にして、その時のことを想像でもしたのかどもりながらケビンに対し抗議する。
「ケ、ケケケ、ケビン様っ!? 奥様の目の前で他の女性を口説くって、どどど、どういう神経してるんですか!?」
「嫌か?」
「嫌かどうかって聞かれたら嫌じゃないって……って、何を言わせてるんですか! 奥様からも何か言ってください! 旦那様が目の前で他の女性を口説いてるんですよ!」
ケビンから矛先が変わりナルに指名された
「ケビンくんが幸せならそれでいいかな。ちゃんと私のことも愛してくれるし、お嫁さんがいっぱいいるのはケビンくんの……お……奥さんになる前から知ってたから」
自ら“奥さん”と言うのがまだ恥ずかしいのか、その部分だけ躊躇いがちに口にしながらも、
「これで妻公認だな。ナル、楽しみに待ってろよ?」
そして、
「……あまり待たせると、そこら辺の男に流されちゃいますからね」
「仮に流されたら奪い返しに行く」
「自意識過剰ですよ。まったく、もう……」
ケビンのものになってしまうのがそこまで嫌でもないのか、ナルは頬を染めながら口を尖らせてそっぽを向くと、ケビンはその隙にほっぺにキスをした。
「なっ!? ななな……」
打ち上げられた魚のように口をパクパクとさせているナルに対し、ケビンは指輪を1つ創り出すとナルの右手の薬指にはめてしまう。
「ナルが俺のものっていう印だ。これでくだらない男が寄ってくることはないだろ」
「こ……これっ!?」
それはよく顔を見せに来る元同僚たちがしている指輪と同じもので、見せつけられる度に『爆ぜろ!』と心の中で叫んでいたナルだったが、まさか自分の指に同じものが嵌められるとは思わずに困惑してしまう。
「正式に妻になったら左手に別の物を嵌めるからな」
「…………はい」
「堕ちちゃった……」
今まで照れつつもどこか余裕を見せていたナルだったが、ケビンのものである証という現物を身につけてしまい、ポーっとした表情でそれを見つめる。
それを第3者視点で見た
それから受付を離れたケビンは、カジノで遊ぶために
そして、一通り遊んだ
「ケビンくんの部屋に行こ?」
それを聞いてしまったケビンは居ても立っても居られず、チップをそそくさと換金してしまうと最上階の部屋に
そこから寝室に向かったケビンは、今からするぞと意気込みを見せていたのだが、その意気込みを
「後ろ向いてて……ね?」
恥ずかしそうに言う
すると、後ろを向いていても音は拾ってしまうので、衣擦れの音が聞こえてくると、ケビンはドキドキしながらその時を今か今かと待ちわびる。
「ケビンくん、振り向かないで私のポーチを出して」
それらの一連の行動にケビンは勝負下着にでも着替えるのだろうかと、安直な思考を巡らせながら時間を費やしていく。
「いいよ」
どれくらいの時間が経ったのかわからないが、
すると、
「あ……あのね……私、あんまり男の人が喜ぶことがわからなくて……それでね……お嫁さんたちがケビンくんとこんなことしたって話を聞いて……それで……それで……ソフィ様に相談したの……」
詰まるところ
その相談を受けたソフィーリアは、当然のことながら『ケビンの喜ぶこと=エッチなこと』という図式を持っているので、そのありとあらゆる知識をふんだんに使い、「チャンスが来たらこれよ!」と
その結果が今ケビンの目の前で起きている光景となり、ケビンが絶句してしまう所以だったりする。
「め……召し上がれ?」
更には追加でデコレーションができるように、傍らにはホイップクリームの入った絞り器がそのままの状態で置いてあるオプション付きだ。
「
もう我慢の限界とばかりに、ケビンが素っ裸になって
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