第509話 お仕置き完了

 街に戻って来たケビンはエラを屋敷に送り届けたら、エラにお仕置きの最終段階を見せるためにそのまま一緒にレメインの私室に訪れて、リゼラやスタシアを連れてくるようにレメインに伝える。


 その時に無断外泊をしていたエラに対して、レメインからお小言が飛んできたのだが、それは雇い主側として当然の内容であり、ケビンの定めた“虐めない”という枠には抵触しないので、エラが謝罪してケビンが連れ回していたということを伝えたら、すんなりと引き下がるのだった。


「レメイン奥様が簡単に引き下がるなんて……」


「今は俺のことを最愛の人と思っているからね。その人から言われればお説教も軽くなるのかな?」


 その後、リゼラやスタシアを連れてレメインが戻ってくると、いつもの流れとなってしまい、3人はエラがいることも気にせずに服を脱いで裸になったら、ケビンを引っ張ってベッドへ連れ込むこととなる。


 ケビンは3人が疲れ果てるまでお相手をしたら、3人は目も当てられないようなあられもない姿を晒してしまう。


 そして、その様子をずっと見ていたエラは、3人の変わり果てた姿に唖然として、今まで貴族夫人然とした態度しか見たことがなかったので、ただのメスに成り下がった3人の姿は、軽いショックを受けるには充分であった。


「奥様たちがここまでなるなんて……これがお仕置き……」


 かなり勘違いをしてしまっているエラに対して、ケビンは間違いを修正するべく3人に対して確実に孕むように懐妊魔法をかけたあと、催眠状態にしたら最後の仕上げを施していく。


「君たちは今までのことを記憶したまま正気に戻る。俺のことは最愛でも何でもない。もう妊娠しているがその子を大事に育てるんだ。あと、エラを俺が連れて行くことも了承しろ」


 色々と告げていくケビンがこの後のことを予測して結界を予め張ると、催眠魔法を解除する。そして、次第に正気に戻っていく3人は自分の姿とケビンの姿を見たら、事態を飲み込んだのかいきなり発狂して騒ぎ始めた。


「いいザマだな。エラを虐めるからそうなるんだ」


「だ、誰か! 狼藉者です!」


「忘れたのか? 結界を張ってあるから誰も来ないぞ」


「こんなことをしてタダで済むと思っているのですか!?」


「タダで済むさ。それとも当主に泣きつくか? 自分たちから俺を求めた結果、見事に妊娠しました。お腹の子は貴方の子供じゃありませんって」


「っ……」


「これから先の人生は絶望しながら生きていくんだな。旦那以外の男に抱かれて、しかもその男の子供を身篭っているんだからな」


「ゆ、許さない……」


「さて、お前たちの体も中々にいいものだったから、最後の締めに抱いておくか」


 そう告げたケビンがレメインに近寄るとレメインは逃げようとするが、自分の体が思うように動かないことを知ってしまう。


「初めて出会った頃と同じだろ? 最後の締めは最初の1回目と同じ状況にしてみた」


「こ、来ないでください!」


 それからレメインに対してのお仕置きが終わると、次のお仕置き相手にケビンが声をかける。


「次はリゼラだ」


「ひっ、こ、来ないでくださいまし!」


 完全に堕ちたリゼラはケビンへの嫌悪感など皆無で、抗えない快楽に飲み込まれてしまうが、ケビンにとってそのようなことは些事に過ぎない。


「スタシア」


「はい、もう抵抗はしません。と言うよりも現状はできませんね。ですから優しく抱いてください。リゼラ様のようになるのは嫌ですから、お願いします」


 スタシアのあっさりとした態度にふと思い出したケビンは、エラに対してスタシアが以前言っていた、直接的ないびりをしていないという主張が正しいのか確認を取ることにした。


「確かに、スタシア奥様は私に暴力を振るわれていません。されたことと言えば、使用人の仕事が2度手間になるようなことだけです」


「レメイン様が怖くて逆らえませんでした。エラ、今まで本当にごめんなさい。ケビン様、どうか私を気の済むまで抱いてください。それがエラに報いるために私ができる贖罪ですから」


「んー……こう素直に反省されると、粛清しにくいな。だが、抱かせてもらう。据え膳食わぬは男の恥と言うしな」


「ケビン様、体が動くようにしてもらえませんか? 抵抗は先程申しましたようにいたしませんので」


 スタシアがそう願うとケビンは特に悪意を感じなかったので、スタシアの要望通りに体を自由にした。


「ふぅ……これで動けます」


「え……いきなりどうしたの?」


 体の自由を取り戻した途端に、自発的に行動しだしたスタシアの行為にケビンが困惑を隠せずにいると、スタシアはケビンの抱いていたその疑問に答えた。


「今までの行為は記憶の中にあります。いくら私たちが最愛の人と暗示をかけられてそのように行動していても、ケビン様からしてみればお仕置きの対象でしかありません。それなのにケビン様は初めの1回目以外は、私たちを優しく抱いてくれました」


「えっ、そうだった?」


「はい。私たちは暗示をかけられているので、どの様な酷いことをされたとしても、ケビン様を見れば愛してしまいますので、いくらでも享受してしまうのですけれど、ケビン様は酷いことをなされませんでした」


「えーっと、それがどう関係するの?」


「正直に申し上げますと、お慕い申しております」


「…………はい?」


 いきなりスタシアに告白をされてしまい、ケビンは今日一番の戸惑いを見せてしまうが、スタシアはケビンの戸惑いなど気にせずに続きを話し始める。


「ご当主様は自分本位な抱き方をされる御方で傷ついたこともあります」


「それで?」


「私は政略結婚で強引にこの家に嫁がされたのですけど、お役目である以上ご当主様を愛そうと思ってはみたものの、ご当主様は私を見ておらず私の体だけが目的のようで、そこに愛が芽生えることはありませんでした」


「つまり?」


「ケビン様に抱かれた時、初めて愛のある睦み合いというものを体験できたのです。始まりは暗示によるものですけど、確かに私の中にはケビン様への愛が未だ残っているのです」


「……うそ……?」


 ケビンの中の認識では、暗示をかけて好きに凌辱をしたつもりでいた計画だったのに、ここにきてスタシアが暗示を解いたあともケビンのことを愛していると言ってきて、ケビンは何が何だかわからなくなってしまう。


「嘘ではございません」


「マジで……?」


「今日はちょっとお疲れ気味のようですね。エラが無断外泊をしたことを鑑みると、昨日からずっとしていたのですか?」


「……してた」


「ふふっ、お疲れ気味のケビン様には申し訳ないのですけれど、私にお情けを頂けますか?」


 誘惑してくるスタシアを見たケビンは、この際細かいことはどうでもいいやと瞬時に思い至り、先程までの困惑が嘘だったかのようにすぐさまスタシアに覆い被さる。


「スタシア!」


「きゃんっ♡」


 何故かスタシアとラブラブする羽目になったケビンは、何が原因だったのだろうかと頭を悩ませるが、とにかく当初の目的は果たせたので細かいことを考えるのを放棄した。


 その後は、レメインが全ての元凶だったということで、何故エラをいびるようになったのかケビンが原因を問い詰めると、当主がお手つきさえしなければ特に何もすることはなかったのだが、当主が手を出したことによって自分の体よりエラの体を求めたことが許せなかったと言う。


 お互いに近い年齢であったこととまだ若々しかった頃でもあり、その嫉妬心が大きく膨れ上がると、ついエラに厳しく当たったら思いのほかスッキリしたみたいで、そこからは段々とエスカレートすることになったようだ。


 そして、第2夫人、第3夫人と当主が嫁を増やしていく度に、レメインは自分が1番であることを厳しく教育し、エラをいびることも強要していたのだった。


 それを聞いたケビンはやったことに対してお仕置きの量が思いのほか足りてないと感じて、レメインを更にお仕置きするとエラが我慢できなくなったのか、夫人たちがいようとお構いなしで服を脱ぎ捨ててはケビンに抱きついて、その身にケビンの愛を受け止めるため抱かれることになる。


 そして、他の3人とは違って罰として何度も抱き続けられるレメインは、十数年も当主から相手にされなくなっていたので、徐々に言葉の抵抗が弱くなってくるとケビンから与えられる快楽に抗えなくなっていた。


「全ての元凶はレメインかと思ったけど、よくよく考えてみれば責任も取らず適当なことをしている当主が1番悪いような気がしてきた」


「ご当主様の女好きは有名ですから、この家の使用人でお手つきになっていない者はいません」


「ん? それなら何でエラだけを虐めてたんだ?」


 ケビンとスタシアがそのようなことを話し合っていたら、ヘロヘロにへばっているレメインに視線が集中するが、レメインは全く気づいていないのでケビンがぺちぺちと頬を叩いて気づかせる。


「ん……お願いだから休ませて……休んだあとならまたしてもいいから……」


「いや、そうじゃなくて。レメインは何でエラだけを虐めてたんだ? お手つきの使用人は他にもいるんだろ」


「……ん? ……エラ?」


「そう。何でエラだけを虐めてたんだ?」


 ボーッとしているレメインがケビンに尋ねられたことを働かない頭で反芻していくと、やがてボソリとその理由を口にするのだった。


「……体」


「体……?」


「……エラの体はスタイルが良すぎるのよ……特に胸が……」


「……えっ? もしかして胸に嫉妬してたのか?」


「……悪い?」


 レメインの虐めの理由がエラの胸だということが判明してしまうと、ケビンは呆れてしまい大きく溜息をついてしまう。そして、それを聞いていたエラは、そのようなことで長年苦しめられていたのかと思うと、何ともやるせない気持ちに包まれていくのだった。


「確かに、エラはこの家の中で1番スタイルが良いですね。エラに初めてお手つきをされたあとはレメイン様の目が厳しくなり、ご当主様も手出しをしませんでしたが、それがなければ1番抱かれていた回数が多いと思います」


「レメインの行動はある意味エラを守ってた……? いやいや、虐めてたから結局はダメだな。ギルティだ」


 レメインの行動に対してケビンは有罪判決を出したが、人のいいエラはいびりを受けていたものの、そのおかげで抱かれたくもない当主の魔の手から逃れられていたのだと思うと、レメインを心底憎むような真似はできないのであった。

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