第372話 花より団子?

 獣人族のお悩み相談にひとまずの区切りをつけたケビンは、久しぶりの休暇として帝城でグダグダ過ごすつもりであったのに、それを許さないとばかりに玉座でのんびりしているケビンの元へケイトが仕事を持ってくる。


「貴方、お悩み相談2つ目の解決おめでとう」


「ああ、ありがとう。これでしばらくはのんびりできるだろ」


「できると思ってるの? 大した皇帝様ね」


「書類なら適度にやるからいいだろ?」


「ふふっ、そんな貴方に問題です。今は何月でしょう?」


「ん? 4月だろ?」


「正解。4月と言えば何?」


「……花見?」


「何よそれ?」


 花見なんて習慣のない異世界なので、ケビンはケイトへ花見が何たるかをこんこんと説明していく。


「それは面白そうね。是非家族でやりましょう。それとは別で特別な行事があるのよ」


「特別な行事?」


「わからない? ヒントは貴方よ」


 ヒントが自分だと言われてケビンは考え込むが、思い当たる節がなく1番関係ありそうなことを口にする。


「……俺の誕生日は来月だぞ?」


「あら、そうなの? 初めて知ったわ」


「初めて言ったからな」


「来月はお誕生パーティーね」


「別にしなくていいぞ。もう何年もやってないし、それより特別な行事ってなんだ?」


 全くもって正解へ辿りつけないケビンへ呆れた視線を向けながら、ケイトは答えるのだった。


「はぁぁ……皇帝としての自覚がもう少し欲しいところね。今月は貴方が即位して1年経つのよ。つまり即位1周年の記念式典があるわけ」


「却下で」


「ダメよ」


 即時却下したケビンにケイトも同じく却下するが、これで諦めるほどケビンは優等生ではなくそれはケイトとて理解していることである。


「イタタタ……お腹が痛くなってきた。これは今月一杯治りそうにないな」


「貴方が病気にならないことは既に承知済みよ。女性たちの繋がりを舐めないことね」


「なんだ、その怖い繋がりは……とにかくその行事は決裁しないからな」


「ふふっ、残念だったわね。貴方がそういうことを言うのがわかっていたからアリス様が決裁したわよ」


「待て……何故アリスが決裁できる?」


「皇帝不在時の全権代理者はソフィーリア様だけど、神様に決裁させるわけにはいかないでしょう? それなら元王族であるアリス様かスカーレット様が適任じゃない? アリス様へ尋ねてみたら喜んで決裁してくれたわ」


「い、いつだ?」


「貴方が外で働いている時よ。日頃から真面目に書類へ目を通しておけば気づけて未然に防げたかもしれないのにね。面倒くさがりがこんなところで仇になったわね」


「くっ……」


「まぁ、貴方が特にこれといって準備することはないわ。当日になってありがたいお言葉を国民に向けて聞かせてあげればいいだけよ。簡単でしょ?」


「あぁぁ……嫌だあ……」


 ケビンは憂鬱な気分になると玉座で丸くなり、恨みがましくケイトへ視線を向ける。


「ほら、膝枕してあげるから元気だしなさい」


 ケイトが玉座に座るとケビンへ膝枕をするが、そのケイトをケビンは拉致するのだった。


 拉致されたケイトは玉座からケビンの寝室へ移動したのに驚いていたら、ケビンがケイトを押し倒して抱きしめると胸に顔を埋めた。


「はあ……落ち着く……」


「もう、いつから甘えん坊になったのよ」


「さっきケイトに死刑宣告を受けてから」


「死刑って……そんなに嫌なの?」


「俺が人前でありがたいお話をするのが好きな人間に見えるか?」


「仕方がないわね。元気が出るまで甘えなさい」


 ケイトから許可が出たことで、ケビンはケイトの服を【無限収納】の中へ回収して裸にすると生肌を堪能するのだった。


「ちょっと、誰が脱がせていいって言ったのよ」


「ケイト」


「言ってないわよ」


「甘えていいって言っただろ? だから甘えてるんだ」


「横暴ね、まったく……」


 そう言いながらもケイトはケビンを抱きしめて、頭を撫でながら甘やかしてしまうのである。


「手のかかる弟みたいだわ。シーラ様が夢中になるのも頷けるわね」


 ケイトは生きていた頃の弟を思い出してしまうと感傷に浸るのだが、そのようなケイトの体をケビンがまさぐり始めてしまう。


「ちょっと、どこ触ってんのよ」


「お姉ちゃん」


「ッ! ダ、ダメよ、今はその呼び方をしないで。弟のことを思い出しちゃうから」


「それなら僕がお姉ちゃんの弟の代わりになって元気になってもらうよ」


「ダメ、ダメなの」


「いっぱい元気になってね。お姉ちゃん大好き」


「ああっ、ケビン……」


 その後ケイトはケビンから与えられる快楽に呑み込まれてしまい、何度もその身でケビンを受け止めるのであった。


「もう、お姉ちゃん無理よ」


「ダメ、孕ませるまでお姉ちゃんを解放しないから」


「そんなぁ……弟に孕まされちゃう……」


 結局その後、ケイトはケビンに抱かれ続けてしまいやるはずだった業務ができなくなり、ケビン同様に仕事を溜めてしまうのである。ケビンとは違って微々たる量であるが。



◆ ◇ ◆ ◇ ◆



 皇帝即位1周年記念式典を無事に終わらせたケビンは、溜まったストレス発散のために城下町の大通りを改造して桜の木を【創造】で創っては、品種改良を施してこの世界でも生きられるようにした。


 いきなり城下に現れたケビンに住民たちは驚きを禁じ得なかったが、桜並木を創り出したケビンへ更に驚かされることとなって呆然と立ち尽くしては、見たこともない桜を眺めるのである。


 ケビンは城下町での作業が終わると花見のお触れを城下に出して、住民たちが花見で楽しめるようにした。


 城下町の改造が終わったケビンは家族用に帝城周りの敷地にも桜を植えて、身内だけの花見の準備に取り掛かっていく。


 作業に取り掛かったケビンは、敷地内の桜を城下町とは違い大きな木にして一際目立つ形に仕上げてしまうとそれを見て満足するのだった。


 その桜の木を数本植えたら作業としては終わりなのだが、折角だからとバイコーンたちの放牧場まで作ってしまい、バイコーンたちを召喚してはそこへ住んでもいいことを伝えて好きにさせるのであった。


 新しい住処を得たバイコーンたちはケビンへお礼の嘶きをすると、好き好きに牧場内を走り出しては新しい住処を堪能していく。


 それを見ていた外で遊んでいた子供たちはバイコーンがケビンの喚び出したものだと知ると、勢いよく駆け出してバイコーンとその日のうちに友達関係にまでなってしまうほど遊びつくした。


 そして花見当日。予想通りというかなんというか正妻以外の大人たちは花より団子になるどころか、花より団子より珍しい酒となってしまいケビンの創り出した地球産の酒を楽しんではほろ酔い気分に浸っている。


 正妻組は赤ちゃんもいることで飲み物はジュースとなり、食べ物をつまみながら花見本来の桜の木を楽しんで会話に花を咲かせていた。


 残る子供たちは年齢的に花より団子しかできないので、桜を楽しむというよりも食事を楽しんで、お腹いっぱい食べたら一部の子供たちはバイコーンの所へ遊びに行くのであった。


 そして遠慮がちに少し離れたところでは、アルフレッド隊の面々が彼女とともに花見を楽しんでいる。


「たまにはこういうのもいいな」


「そうね、桜の木の下であなたとテオと家族たちがいるこの光景は、かけがいのないものだわ」


 ソフィーリアの言葉に周りの嫁たちも賛同して、花見は毎年必ずしようということになりエレフセリア家の恒例行事となる。


 やがて宴もたけなわとなって皆が解散すると、ほろ酔い気分の側妻たちがケビンを誘惑し始めて桜の木の下で大乱交パーティーという名の2次会を開催しようとする。


「ご主人さまぁ、私たちのお花もぉ、観賞してくださぁい」


 その様子にセレニティは大人たちの妖しげな雰囲気を察知して、子供たちを集合させると帝城の中へそそくさと連れていくのであった。


 子供たちがいないとわかればケビンに手加減はなく、その場にいる全員を相手取り見事に討ち果たすのである。


 そしてその日は夕食の時間までケビンたちは桜の木の下で快楽にふけりプリシラたちが呼びに来てようやくお開きとなって、ケビンが魔法で処置をすると気絶していた者も含めてみんながシャキッとなり、何事もなかったかのように帝城内へと帰っていく。


「ケビン様、あとで私たちメイド隊も愛でてください」


「わかった。夜に俺の部屋へ集合だ」


「かしこまりました」


 その後、夜となってメイド隊がケビンの寝室を訪れるとケビンは更にハッスルしていくのだった。


「ケビン様……御子を……私たちにも御子を授けてください」


「じゃあ、プリシラとニコルが喧嘩しないように全員を今日孕ませる」


「ああっ、ケビン様……愛しております……」


 それからケビンはいつもより激しく全員を抱いて、翌朝の朝食までハッスルし続けると言葉通りに全員を孕ませるのであった。

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