第318話 女として……

 唇を合わせるだけのキスを交わした2人は自然と見つめ合い、ケビンが最後の確認をするかの如く口を開いた。


「もう止まらないよ?」


「ええ、私に女であることを思い出させて」


「愛してるよ、サラ」


 耳元で囁かれたサラは背中がゾクゾクとしてしまい、その言葉だけで快感を得てしまう。


 ケビンは囁き終わるとサラの体を堪能し始める。


「ケビン、ケビン……」


 途中でケビンがサラにして欲しいことを伝えるが、サラはキョトンとして意味がわかっていないようであった。


「あれ? 父さんにしてあげたことないの?」


「お父さんとしていた時は寝ていただけよ。すぐに終わってしまうから」


「え……? ちなみにその時はいったことってあるの?」


「ないわ。あとになって自分で慰めていたの。だからあの場所でケビンとした時に、初めて行為中にいけたからとても気持ちよかったわ」


「ソ、ソウナンダ……」


 まさかサラから新たにギースが早漏であることを告げられるとは思わずに、ケビンは『そりゃ自慰もするよな』と結論づけてしまうのである。


 こうしてケビンはギースが早漏というバッドステータス持ちだということを、サラの何気ない言葉によって新たに追加で頭に刻み込まれてしまうのであった。


「で、でも……誘惑とかしていたなら色々なテクニックとか勉強したんじゃないの?」


「誘惑の言葉と方法なら勉強したわよ。そういうのを使用人に買いに行かせるわけにもいかなくて、冒険者の時にどこに売ってあるのか小耳に挟んだことがあったから自分で買いに行ったのよ。読んだあとはすぐに処分したけど」


「誘惑の言葉……」


「ふふっ、あとでケビンに言ってあげるわね。恥ずかしい言葉だから私も心の準備が必要なの。だから今はご奉仕の仕方を教えて」


 それからケビンはサラへご奉仕の仕方を教えながら実演するように言うと、サラはぎこちない動きでご奉仕をし始める。


「これ、難しいわね。上手くできてる?」


 2人で楽しんでいるとサラが次に進みたそうに言ってきたので、ケビンがここぞとばかりにお願いをした。


「んー……せっかくだからサラが勉強したっていう誘惑の言葉で言ってくれる?」


「もう……ここにきて焦らすのね」


 サラが覚えたという誘惑の言葉を聞いたケビンは、あまりの凄さに驚いてしまった。


「……それ、父さんにもしたの?」


「これをしたのはケビンが初めてよ。ギースの場合は服を着たままだったから、普通にお誘いの誘惑をしただけよ。それよりも続きね――」


 サラからのトドメの誘惑が効いたのか、ケビンは勢いよくサラへ覆い被さると肌を重ね合わせた。


 散々ケビンから女として求められた結果、サラは甘々モードを通り越して激甘になってしまい、ひたすらケビンへ甘えていた。そんな様子が珍しくケビンもひたすら甘えさせていたのであった。


「私、デートがしたいな」


「デートかぁ……あまりこれといってしたことないからなぁ。お店を回るくらいしか思いつかないよ?」


「充分よ。一緒に歩いて一緒にご飯を食べるの」


「それくらいならお安い御用だよ」


「ちゃんと手を繋いでね」


「わかってるよ。他のやつだと、魔物狩りデートとかできそうだね」


 ケビンはサラの実力を知っているために、クエストを受ける受けないは別として、魔物を狩りに行くデートもアリだと感じていた。


「それも楽しそうね。ドラゴンでも探しに行く?」


「そういえばドラゴンはまだ相手にしたことないな」


「色々な種類がいるのよ」


「へぇーそれは楽しみだね」


「だいたいは皮膚の色が基本属性になっているわ」


「赤だったら火属性みたいな?」


「そうよ」


「強いと言われている割にはあからさまな弱点だね」


「属性がバレていてもダメージを与えることが難しいからじゃない?」


「そういうこともあるか」


「でもケビンなら関係なさそうね。簡単に倒してしまいそうだもの」


「そればっかりは戦ってみないとわからないかな」


 それからケビンとサラはのんびりと会話を楽しみながら、ゆったりとした時間を過ごしていくのだった。


 しばらくするとサラがケビンを誘惑し始めて、ケビンもまたそれに乗っかるという形で再び肌を重ね合わせる。


 そのようなことを夜通し続けていく2人なのであった。

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