不確かな彼女

一色 織

不確かな彼女

一章


「明日から夏休みです。生徒の皆さんは――」


 終業式が終わり、教室に戻り先生が話している。同級生たちは先生の話など聞かず、友達同士夏休みの計画立てに忙しい。


「宿題多いのかなあ」「来週遠出して遊園地行こうよ」「海行こうぜ」「俺、平日は塾で潰れる……」。様々な期待や不安の声が教室中から聞こえてくる。


 みんながやたら張り切っているわけは、高校生になって初めての夏休みだからだろう。高校生になってバイトを始めて、友達とバイトの休みを取って遠出するのはワクワクするものだ。僕はバイトをしていないがそんな気がする。


「――なにか予定あるの?」「ねえ、聞いてる?」


 頭の中でいろいろ考えていてなにも聞いていなかった。


「なに?」


「夏目くんは夏休みなにか予定あるの?」


 八千草千景、隣の席の女の子だ。席が隣になってから挨拶程度のことしかしていなかったので話しかけられて少しびっくりした。


「どうしたの?」


「ああ、いや、なんでもないよ。僕は寝て起きたら夏休みが終わるような日々を過ごしそうだ」


「私と一緒だね」


 少し意外だった。八千草さんは僕の見てる限りでは友達が多そうだ。クラスの人に限らず別のクラスの人たちとも話しているのを見かける。いわゆるクラスの中心にいる人物、という立場だと思っていた。


「そうなのか? 意外だな。てっきり友達と遊ぶ毎日を過ごすのかと思っていたよ」


「私身体弱いから、夏は学校以外ではあまり外に出ちゃいけないんだ」




「そうだ夏目くん、私に夏の世界を案内してよ」


それは7月20日で夏の音が聴こえ始める頃だった。




二章


 あまりにもみんながうるさいので、ついに先生が怒った。


 返事をしそびれてしまった。まあいい、学校が終わったら断ろう。面倒なのは嫌いだ。


 教室の窓から外を見ると陽炎が揺れているのが見えた。ため息が出そうになる。【夏目蒼介】如何にも夏が好きそうな名前だな、と自分でも思う。当たり前だが僕が自分で考えたわけではない。親が夏が好き、僕が夏に生まれた、そんな出来事が相まってこんな名前を付けられた。半分呪っている。僕は夏が嫌いだ、暑さにやられてらしくないことをしてしまうから。



 先生の長い話が終わり、学校が終わった。僕が口を開く前に話しかけられてしまった。


「そういうことだし、とりあえずメアド交換しようよ」


「今どきメールなのか?」


「うん、メールの方が好きなんだ」


 今の時代メールより便利なアプリがいっぱいあるのにメールだなんて変わった人だな。と思いながら「わかった」と返事した。


 なぜ交換してしまったのだろう。夏の暑さにやられてしまったのだろうか。夏のせいだ。


「1日目の活動は今からだよ夏目くん」


「これからどこかに行くのか?」


 僕たちが住んでいるこの町はお世辞にも栄えているとは言えない。中高生が遊ぶような場所は町に一つだけある小さなカラオケボックスだけだ。コンビニすらないこの町でどこに行くのだろうか。


「カラオケにでも行くのか?」


「行かないよ。私歌うのあまり好きじゃないし、もうここの生徒でいっぱいだよ」


「じゃあどこに?」


「さっき言ったでしょ?案内してって」


 そんなこと言われても僕はこの町のことを大して知らない。十六年間も育った場所なのに。おかしな話だがそういうこともある。


 僕は少しの間考えて、あることを思い出した。そういえば昔、この町は海が見える町としてちょっとだけ有名になったことがあるということを親から聞いたことがある。


「あの山の展望台まで行こう」



 結構な時間登ったがまだ頂上まで着かない。こんなに遠かっただろうか。小学生の頃遠足で登っただけだからすっかり忘れていた。


 後ろを振り返るとバテバテの八千草さんがいた。


「大丈夫か?」


「全然大丈夫じゃないよ。死んじゃいそう」


「きっともう少しだ、頑張ろう」


 バテるのも仕方ないだろう。天気予報で今年の夏は例年より暑くなると言っていた。


「ねえ夏目くん、少しだけ休憩しよ」


「仕方ないな」


 倒れこむようにその場に座りこんだ八千草さんのとこまで戻り少し離れたとこに座った。


 運がいいことに僕たちは登る前に学校の近くにある商店で飲み物を買っていたが八千草さんはもう飲み切っていた。


「夏目くん、その水少しちょうだい」


 かなりバテている様子だった。僕も暑さにやれらてぼーっとしていたのだろう、なんの疑いもなくペットボトルを差し出した。


 飲んでる最中に気付いた。そんな僕を見て八千草さんも察したのだろう。「私、そういうの気にしないよ」そういう問題ではないと言いたげな僕を横目にゴクゴクと飲んでいく。半分くらい飲んだところでペットボトルが返ってきた。「僕はさっき飲んだから大丈夫だよ」とだけ言いまた登ることにした。



 頂上にあるベンチの屋根が見えた。


「もう少しだね」


「ああ、そうだな」


「私ここ登るの初めてなんだ、どんな景色が見えるの?」


「なにもない町が一望できるよ。あとは海が見える」


「そうなんだ。海好きだから楽しみだなあ」


「この町に住んでいたら小学生の時に3回は来るのに1回も来たことないなんて珍しいな」


「私高校入学のちょっと前にこっちに引っ越してきたからね」


 そうだったのか。知らなかった。だからみんな八千草さんに興味を持っていろいろ話しかけていたのか。


 小さな町だが子供は多いので小学校と中学校は2つある。僕はてっきり他校出身で元々そっちで人気のある生徒だと思っていた。


「わあ、すごい! こんなに海見えるんだね」


 さっきまでの疲れが嘘のように八千草さんは目をキラキラさせながら海ばっかり見ていた。


「夏目くんもこっち来て一緒に見ようよ」


 ベンチに座って休憩していた僕を呼んでいた。


「ほんとここから見る海は綺麗でキラキラしてるな。心が洗われるよ」


 期待通りの綺麗さだった。夏は嫌いだが海は好きなのだ。




三章


 山を下り別れ道まで一緒に行き「また気が向いたときにメールしてくれ」とだけ言い別れた。


 その日の夜、八千草さんから明日海に行こうという誘いが来た。


 今日、山の上から見てよっぽど感激したのだろう。


 次の日海に行くとすでに八千草さんは来ていた。


「早いな」


「今日は夏目くんに聴かせたいものがあって持ってきたんだ」


 そう言うとカバンから小さなCDプレイヤーを取り出し、CDを流し始めた。


 僕はびっくりした。サニーデイハッピーエンドだったのだ。この曲は僕が大好きなバンドの大好きな曲なのだ。そのことを八千草さんに言うと向こうもびっくりしていた。


「夏目くんこの曲知ってるの!?」


「知ってるもなにも大好きな曲だよ」


「そっか、このバンド好きな人に初めて会った」


 八千草さんはかなり嬉しそうに話していた。よっぽど嬉しいのだろう。僕もこのバンドのことを知ってる人に出会ったのは初めてだったから嬉しい。


「私、この曲が入ってる夏のアルバムが大好きでずっと聴いてるんだ」


「いいよね。僕も夏は嫌いだけど夏の歌は好きなんだ」


 しばらくの間僕たちはアルバムを聴いていた。それからふとして八千草さんが口を開いた。


「夏目くんは、和魚伝説のこと知ってる?」


 和魚とはこの町の名前だ。この町になにかの伝説があるのだろうか?


「そんな伝説があるのか。知らないな」


「この町の海には昔から――が住んでいるという噂があって、目撃情報もあるし写真まであるんだよ。私がこの町に引っ越してきてそのことが一番気になってるだ。しかも――って不思議な力を持ってて気になった人の好みが全部わかるらしいよ」


 波の音で大事な部分が聞こえなかったが僕にはそこまで大事なことではなかった。


「そうゆうの信じるタイプなんだな」


 あまりにも真剣に話すので少し可笑しかった。


「も~今ばかにしたでしょ?」


「してないよ」と笑いながら言った。


 その後も他愛もない話が続いたが帰る時間になってしまった。


 自覚はなかったが僕は八千草さんに好意を寄せていた。



 次の日メールが来た。


「来月の夏祭りと花火大会楽しみ。一緒に行こうよ」


 小さいが8月後半に夏祭りと花火大会がある。


「わかった。楽しみにしてる」とだけ返信をした。


 それから夏祭りまでの間何回も遊んだ。海に行って膝まで浸かりながら遊んだり、夜こっそり家を抜け出して手持ち花火をしたり、僕がギターをやってると言ったら、家に行くから弾いてみせてよ、と言われ必死で夏のアルバムの曲をすべで覚え余裕ぶって弾いてみせたり、その他にもいろんなことをした。


 もうこの時僕は、完全に千景のことが好きになっていた。


 そうしているうちに夏祭り前日になった。




四章


 8月23日 今日は夏祭り当日だ。身支度をし、家を出た。


 五分前には待ち合わせ場所に着き、待っていたら少しして千景も来た。


 僕は見惚れてしまった。浴衣を着た千景が驚くほど綺麗に見えたのだ。


「どう? 私の浴衣姿」


「びっくりしたよ、一瞬誰かわかんなかった」


 心臓がバクバクしていた。今にも心臓が飛び出そうだ。


「それだけ?」


 僕は一瞬固まった


「いいんじゃないか? 綺麗だ」


 緊張して声が震えていた。


 千景は隠してるつもりだったらしいが僕からは顔が赤くなってるのが見えた。


「夏目くんの浴衣姿見たかったな」


 千景は平然を装い言った。


「来週の花火大会の時には着てくるよ」


「本当? 嬉しい」


 そんなのずるいじゃないか。今度はこっちが赤くなってしまった。



 一通り屋台を見て回った。その間にたくさんの同級生に会い、たくさん冷やかされた。僕と千景は冷やかされるたびに顔が赤くなっていた。


 千景はいつの間にか狐のお面を買っており、すれ違う友達と僕に自慢していた。それから焼きそば、はしまき、たこ焼きを買い縁石の上に座って他愛もない話をしながら食べた。


「あいつら、学校始まったら殴ってやる」


「やめなよ」


 千景は笑いながら言った。


 こんな幸せな時間が一生続けばいいと思った。


 最後にクレープとかき氷を買い帰りながら食べ、僕は千景を家まで送った。


 家に帰りつき微睡みながらメールを打った。


「今日はありがとう。今までの夏祭りの中で一番楽しかった」


「私も楽しかった。来週浴衣楽しみにしてるね」


「ああ、おやすみ」


「おやすみ」




五章


 次の日の朝、僕は夏休みの宿題に一切手を付けてないことに気づいた。


 そりゃそうだろう。夏休みに入って約1カ月、ずっと千景と遊んでいたのだ。


「今週は宿題をしないといけないから遊べない」とメールを送るとすぐに返信が来た。寂しそうだったが仕方ない。僕はこの1週間必死に1か月分の宿題をした。



 8月30日 今日は花火大会だ。三千発ほど上がるらしい。こんな田舎なのに頑張ったものだ。と感心する。


 僕は浴衣を着て、待ち合わせ場所に向かった。


 待ち合わせ場所に着くと千景はもう来ていた。


「お、浴衣だ」


「ちゃんと着てきたぞ、どうだ?」


「かっこいいよ」


 また赤くなってしまった。


 花火があがるまでまだ時間があったので今のうちに食べ物を買うことにした。


「私、今日はかき氷だけにする」


「じゃあ僕もそうしようかな」


 二人でかき氷を買い、よく見える場所を探しそこに座った。


 それから少しして花火が上がり始めた。


「わ~綺麗。私、打上花火見るの数年ぶりだ」


 目をキラキラさせながら言っていた。


「夏目くんありがとね。こんな美しい夏を案内してくれて」


 僕はなんて返していいかわからず聞こえてないふりをし、花火を見ていた。


 そんな夢のような時間は一時間ほどで終わってしまった。



 帰りながら僕と千景はずっと花火についてここが綺麗だったとかそうゆう話をしていた。映画を見た後のように


 そうしてるうちに千景の家に着いた。


「今日はありがとね、夏目くん」


「こちらこそありがとう。すごい楽しかった」


「明日最後だし遊びたいな」


 ああ、そうか、明日は夏休み最終日だ。


「そうだな、遊ぼう」


「本当? やった」 


 僕が帰ろうと歩き始めた時、不意に後ろから抱きしめられた。


「急にどうしたんだ?」


 声では平然を装っているが内心焦りすぎて倒れそうだった。


「ううん、なんでもない」


 その声は震えていた。


 僕はびっくりして抱きしめられていた腕を解き振り返ると、千景はボロボロと涙を流していた。泣いている意味が分からず戸惑っていると千景が「気にしないで」と言い家の中に入っていった。


 あれはなんだったんだろう。と僕は帰り道で考えたがさっぱりわからずモヤモヤしていたが、明日も朝から用事があったし、かなり眠かったので風呂に入りすぐ寝ることにした。




六章


 8月31日 夏休み最終日だ。午前中にどこで遊ぶのかメールをしたが午後になっても返って来なかった。それからもう一回メールをしてみたがそれでも返って来なかった。今までこんなことなかったし、暑さに弱いと言っていたことを思い出した僕は心配になり、千景の家に行ってみることにした。


 千景の家の前まで着き、チャイムを鳴らしたら親が出てきた。親と会うのは初めてだったので緊張したが、僕のことを千景から聞いていたらしく緊張が少し和らいだ。親の話によると千景は海に行っているらしい。


「なるほど、海の音で着信音が聞こえなかったのか」と僕は安心して海に向かった。



 僕は海に着いて雷に打たれたような衝撃を受け、一言も発せずに立ちすくんでしまった。



 そこには人魚の姿の千景がいたのだ。


 千景はこちらに気付き申し訳なさそうな表情をしていた。


 もちろん人魚なんて信じてないし千景が僕を脅かすために人魚のコスプレをしたのだと思った。だが、それにしてはあまりにもリアルすぎるし、話によるとどうやら千景は本物の人魚のようだ。


「夏目くん、騙しててごめんね。私、実は人魚なの。こんなこといきなり言われても意味が分からないと思うけど、あまり時間がないからとりあえず聞いて。この町でたまに人魚が目撃されてたの私だよ。どんな町か気になって遠くから見ていたの。私、どうしても人間として生きてみたくて、一年だけ人間として生活できる力を使って、高校生として生きようと思ったの。一年が過ぎたらみんなの記憶から私のことを消して元の姿に戻って生活しようと思ってたんだけど、学校で夏目くんに出会ってしまって、夏目くんのことが好きになってしまったの。人を好きになるのは初めてだったからどうしても夏休みに思い出を作りたくて、人魚の力を使って夏目くんが好きなものを全部把握したの。夏休み本当に楽しかったよ。本当は一年間人間として生活できるはずだったんだけど、夏に頑張りすぎちゃって体力を使い切っちゃった。朝起きたら元のこの姿に戻ってるからびっくりしちゃったよ。あーあ、どうせなら今日まで人間の姿で夏目くんと遊びたかったな」


 僕は言葉が出なかった。出なかったというより出せなかったのかもしれない。僕がただ茫然と立ちすくんでいるといると、千景が口を開いた。


「意味が分からないと思うけどそうゆうことなんだ。私は今日でいなくなって、夏目くん以外の人の記憶からきれいに消えてなくなるよ」


 言葉は淡々としていたが声が震えていたことは今の僕にもわかった。




「僕はまだ君の話を信じているとは言えないしこれもなんかの夢なんじゃないかと思っている。ただ確信を持って言えることがある。僕は夏休み君と遊んでる間に君のことが好きになった。大好きだ」


 やっと言えた。声は震えていたと思うし言葉も変だったかもしれないがやっと喋れた。こんな騒ぎにどさくさに紛れて思いの丈を打ち明けるなんて僕は卑怯なのかもしれない。


「夏目くん……ありがとね。私も大好きだよ」


 千景はボロボロと涙を流しながら言っていた。



 僕たちは自然に近づき最初で最後の口づけを交わした。



「もう時間になっちゃったみたい。じゃあね夏目くん」


 千景がそういうと目の前が眩い光に覆われ、僕は気を失った。




七章


 9月1日 僕は朝起きてすぐに携帯でメアドと携帯番号を確認した。千景の連絡先はきれいに消えていた。元からそんなものなかったみたいだ。僕はまだ夢だと思っていたので衝撃だった。学校に行く前に千景の家に寄ってみたがやはり家も無くなっていた。


 このまま学校に行かずに帰ることも考えたが、みんなが千景のことを本当に覚えていないか確認したかったのでとりあえず行くことにした。


 学校に着き、友達やクラスの人に聞いて回ったが不思議な顔されるだけだった。みんな全く覚えていないようだ。


 現実を突き付けられてしまった。僕が感傷に浸っていると先生が来て出席確認を始めたが、やはり千景の名前は呼ばれなかった。


 生気を感じられない僕は色々な人に心配され、始業式が始まる前に学校を出ることになったが、真っすぐ家に帰らずに海へ向かった。


 海に着き、僕はすぐに夏のアルバムを聴きだした。


 学校に行き、本当に誰も千景のことを憶えてなく、現実を突き付けられた僕は、大きな虚無感に襲われていた。ここから家に帰れるかどうかすら怪しい。


 サニーデイハッピーエンドのサビに入った時にこれまで溜めていたものがどっと出てきて僕はボロボロと泣いてしまった。何時間泣いていたのだろう。学生が帰る声がちらほらと聞こえ始めた。僕は真っ赤になった顔を隠すようにして家に帰った。


 家に着きすぐに自分の部屋に逃げ込んだ。一通り泣いて少しだけ冷静になった僕はいろいろ考えられるようになっていたので、千景が言っていたことを思い出していた。


 千景が言うには人魚はいろいろな力が使えて僕の好きなものをすべて把握していたらしい。確かに今考えると、肩まで伸びたふわりとした髪の毛、すらっとした体型、高すぎず低すぎず澄んだ綺麗な声、ふとした時の仕草、好きな音楽、すべて僕の好みと一致していた。千景と遊ぶのが楽しすぎて全く気付いていなかった。


 それからもいろいろ考えてみたが、昨日から今日にかけて起きた出来事があまりにも大きすぎて僕は疲れ切っていた。まだ夕方だったが泥のように眠ってしまった。


 9月2日 夕方に寝たせいで朝四時に起きてしまった。僕はまだこの出来事に頭が追いついておらず、海に行けばまた千景に会えるような気がしていたので海まで散歩がてら行ってみることにした。


 海に着きぼーっと海の方を眺めていると陸地から遠く離れたところで人魚らしきものが見えた気がした。僕はやっぱり会えた。と不確かな千景の存在との再会を密かに喜んでいた。


 千景のおかげで嫌いだった夏を少しだけ好きになったが、毎年夏になるとこのことを思い出して少しずつ夏のことが嫌いになっていきそうだ。


 僕は夏が嫌いだ、千景のことを思い出して寂しくなるから。

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