.nord

@J_Michael

#1

偶然、夜中にせんせいの部屋を見に行ったの。

そしたらせんせい、オブジェクトを見ながらはらはら泣いていて。

何だか見たらいけないものを見ちゃった気がして、慌てて立ち去ったんだけど。

気が付いたらベッドの上で、私も泣いていたんだわ。


そんなことを言うグレアに、私はそっとキスをした。

「シナリー、どうしたの?」

少しだけ赤くなった目でそういうグレアに、私は。

「親愛の証よ。気にしないで」

とだけ言った。

グレアはきょとんとしていたが、泣き止んでくれた。

「じゃあ、お休み」

「うん。おやすみ」

今のキスが利いたのか、グレアは素直に眠ってくれた。


だ、そうだよ。先生。

私はそっと部屋を抜け出し、ダイレクトツールで開錠。先生の部屋に入った。

机にはオブジェクトがあり、淡い光に包まれて女性が映っていた。

私たちというものがありながら。ねぇ、せんせい。

ベッドで眠る先生の横にするりと滑り込むと、私はそのまま眠り込んでしまった。

解って欲しいものだな。夢の中でそう言った先生は、踵を返して去っていった。

私はせんせいの袖を少し掴むことしかできなかった。

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