第88話 地味に成長中
そうやって二人で今日の戦利品を見せ合い、初めての休暇をいかに満喫できたかと話しているうちに、結構な時間が経っていた。
「そろそろ、宿の夕食を食べに行きましょうか」
「……そうだね」
お腹、いっぱいなんだけどね。ほら、さっきシルエラさんのところで、たっぷりとエルフの郷土料理をいただいて来たばかりだから。
まあ、そこはリノさんもいっぱい食べ歩きしてきた直後で、条件は同じはずなんだけど彼女まだまだ食べる気満々です……。
結局、私の分はほとんど全てをリノに食べてもらいました。
こういう時に彼女が一緒にいてくれると、お残しの心配を全然しなくていいから助かる……彼女のブラックホール並の胃袋に感謝です!
その後は部屋に戻り、いつものように魔法の練習をする。
今夜はリノのサポートに徹する事にして、もう少しで習得出来そうな『魔力操作』を中心に、基本魔法を練習する予定です。
私の方は、シルエラさんに魔力を補強していただいたおかげで、この時間にしては珍しく魔力が全回復している状態だ。
なので、先ほど特訓してもらったような、途切れる事のない支援魔法でのドーピングが出来るはず。
ただ、シルエラさんと違って私には『魔力上昇』の支援魔法が使えない。それをカバーする為にも、リノには回復効果がある飲食物から魔力を摂取してもらって、底上げしていく方針だ。
まずは、手持ちの緑の水玉茸と、自家製のMP微量回復付きのドライフルーツ、習ってきたばかりの栄養ドリンクを摂取してもらった。
その上で支援魔法も掛け、魔力と共に体力、気力も補強をした。ここでも、彼女の衰えることのない食欲が役に立ったよ。普通の人なら、こんなに続けざまに飲食したり出来ないもんね……。
魔力の流れを見て助言したり、実演したりしながら訓練を続けていき、魔力切れになる前に何度も支援魔法と魔力が込められた飲食物を補充する。
そのおかげで、リノは結構長い時間を倒れず一気に魔力を使うことが可能になり、練習に集中できた。
そしてついに、基本魔法のスキルを一つ、習得するのに成功したよっ。よかった!
というわけで、今の二人のステータスを確認してみる事に……。
――まずは私から。
種族 エルフ
名前 ローザ
年齢 16才
武術スキル
魔法スキル 『火魔法Lv2』『水魔法Lv1』
『聖魔法Lv2』『支援魔法Lv1』
『風魔法Lv1』
身体スキル 『魔力感知Lv2』←level up! 『魔力操作Lv3』←level up!
『魔力強化Lv3』←level up! 『身体強化Lv1』
『隠密Lv1』『俊足Lv1』『暗視Lv1』
『精神耐性Lv1』『幸運Lv1』
『味覚強化Lv1』『嗅覚強化Lv1』『視覚強化Lv1』
技能スキル 『鑑定Lv1』『索敵Lv1』『採取Lv1』
『マップ作成Lv1』『料理Lv1』
スキルは増えてない。でも中々上がらなかったレベルが、シルエラさんに教えて貰ってようやくアップしたのが嬉しい。
風魔法についてはまだ、半分しか覚えてないのでレベルが1のまま変わらないのはしょうがないよね。
――次にリノのステータスを『鑑定』すると……。
種族 人族
名前 リーノ
年齢 15才
武術スキル 『短剣術Lv1』『棒術Lv1』
魔法スキル
身体スキル 『魔力感知Lv1』『魔力操作Lv1』←new!
『暗視Lv1』『幸運Lv1』
『味覚強化Lv2』『嗅覚強化Lv2』
技能スキル 『解体Lv1』
となってて、新たに『魔力操作Lv1』が取れてた。
長年練習して来て全く成果が出ず、もう無理かもしれないと諦めかけていた基本魔法のスキル。それをこの短期間で習得出来た。
教えてくれてありがとうございますと、リノが丁寧にお礼を言ってくれる。
本来なら、体内魔力を錬成して増やすにはもっと時間がかかるものだから、こんなに早く取れるなんて信じられなかったみたいで、『鑑定』結果を伝えた時はニヤニヤしていた。
毎日諦めずに頑張って、色々実験した事がいい結果に結びついたのは本当幸運だったよ。
一般的な人族の村では、子供達が勉強や魔力を錬成する時間をたくさん取るのは難しい為に魔力総量が伸びず、魔法を使える人が少ない。
魔力は成人するまでが一番伸びやすく、大人になるほど伸びにくくなると言われている。
人族の成人年齢は十五才だし、彼女の特異な体質だと更に厳しかったはず……本当によかったねっ。
――それにしてもすごく充実した濃い休日だったなぁ。
半日だけのお休みながら二人共リフレッシュ出来たし、すぐに使える攻撃手段ではない地味なスキルが増えただけだけど基礎の自己強化も出来た。
ラグナードと再会するまでそれほどないはずだから、時間を有効活用して更なる底上げを頑張ろう。
まだ森の中奥に行くには不安があるスキルと装備だけど、ギルドで討伐依頼された迷いの魔樹の事もある。
リノと話し合って、明日は今までより少し奥へ入ってみようと決めたんだ。
ラグナードとパーティーを組めれば、魔素が濃い森の奥の危険地帯にも行く事になるだろうし、その予行練習も兼ねてね。
安全第一、命大事にの方針は変えないけど、そろそろ思いきって冒険してみる時期かもしれないから……。
――明日はハードな一日になりそう……。
今日はもう、ゆっくりお風呂に入って寝ることにした。
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