第4話 初めての魔法
ステータスが簡易表示しかされない理由は考えても分かんないから、一旦置いておくとして……。
――次は身体の状態確認。
何しろ人からエルフへと、種族からして変わったからね。絶対、違和感というかズレはあるでしょ。
これはちゃんとやっとかないと!
まずはそこら辺で走ったり跳んだり投擲したりして適当に体を動かしてみる。どこから何が出てくるか全く分からないので、時々、『索敵』スキルで安全を確認しながらね。
するとやはり、明らかな違いがあった。種族をエルフにしたからなのか、とっても体が軽い。例えるなら重力が小さく感じるというか、思った以上に素早く動ける。びっくりするほどね。
例えば軽くジャンプしたつもりでも、余裕で自分の身長くらいは高く飛べたし、全力ダッシュしようとしたら勢い余ってすっ転びそうになったりとかね……ここだけの秘密だけどさ。
それは投擲に関してもそうで、力いっぱい腕を振ったらやたらと遠くへかっ飛んで行ったのには驚いたよね。あの石、握りこぶしくらいの大きさはあったのに。
まぁ、狙いに関しては……大幅に外れてましたがなにか? ええ見事なノーコンでしたよ……これは訓練が必要なんだと潔く一回で諦めましたとも。
武器が無くても、石ならその辺で拾えるから、今すぐ使えたら今後のサバイバルで有利になりそうだなって思って試したんだけど、そう上手くはいかないか。
やっぱり『投擲』スキルが必要なんだろうなぁ。私、武術系のスキルはひとつも取ってないからね、残念。
でも、それを除けば結構いい線いっているんじゃない? さっきの木登りも平衡感覚が優れているのか苦もなく上まで登れたし。それこそお猿さんのようにするすると。
ほんと、あり得ないよね。
これは木の上で寝ることも考えるべき?
うん……そっちの方が安全かもしれない。
他にもびっくりしたことがある。視覚、聴覚もスキルないのが信じられないくらいに良いんだ。これなら『索敵』スキルとの相性もバッチリなんじゃないかな。
色々わかったし、ここで試しておいてよかったぁ。
男子運動部のエース並みに動けるし、すごいよね、この体!? なんか明らかに高性能っていうか、自分の体だけど自分じゃないみたい、みたいな感じ。
まあ、精度を求めず動く
上手く使いこなせるかなぁ。
でも、ちょっと安心した。エルフってもっとひ弱かと思ってたから。
体力や筋力、持久力が人族より低いらしい事は『異世界知識』でわかっていたから覚悟してたけど、想像以上によかった。
ただそれは地球を基準にした考えであって、この世界の人族は今の私以上に体力やらなにやらがあるってことでしょう? 恐ろしい。最早、超人じゃん。人族怖い。
だからこそ、エルフの種族特性をはやく伸ばさなきゃいけない。一部の人族とは友好的とは言い難いらしいし。種族的には劣っていないはずだからね。
なんたって種族スキルが0ポイントの人族に対して、エルフは
――というわけで、次は本命、行ってみよう!
未知の体験、エルフが得意とするらしい、魔法だ――!!
使えるスキルは頭が理解しているらしく、自然と使い方が浮かんでくる。なんて便利なんだ。
今出来る魔法技は、というと……。
水魔法の『
……以上。
結構、多いな!?
順番に試してみて、一通りできたのでほっとした。ちゃんと魔法として使えてる。
ただ、一つ一つの技の威力は期待したほど強くなさそうなんだよね、残念ながら。レベル1よりレベル2の方が目を見張るほど火力が増すっていう訳でもないし。飛距離は延びてるけどね。少し強いかなって感じるくらい?
それに、水魔法、火魔法共にほぼ単発技で、かろうじて『
魔法は、頭の中でイメージして技名だけ唱えれば発動できたので、それはよかったんだけど、集中しないと空振りしちゃうし時間も掛かる事がわかった。これは、魔物とかと遭遇するまでに少しずつ練習して体に馴染ませといた方がいいんだろうなぁ。
支援魔法も試してみた。即効性はないので実感はしづらいけれど、でも『HP回復』『MP回復』は今すぐ役に立つという点で取ってよかったスキルだったよ。魔法の練習で減った分は補充された気がする、多分。
一度掛けると一時間は持つらしく重ね掛けも出来て便利。それに魔力が思ったより減らないから常時発動出来そう。
この、服の布地だけっていう紙装備でサバイバルするには、体力、魔力が唯一の生命線だからね。
武術系スキル0だし本当、取ってなかったらと思うとゾッとする。
ただ、こちらも回復率は低いらしく劇的な効果がある訳じゃない。
まぁ、レベル1だし過信は禁物か。レベルが上がれば、回復率が微上昇していく感じらしいし。
今は、無いよりましぐらいに思っといた方がいいかもね。
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