第3話 生き抜くために……
神様助けてっ、と困った時の神頼みしたいところだけど……きっとあの天の声がその神様的なものだろうから……うん、無理だよねっ。
今も絶賛放置プレイ中だし!?
何の説明もなかったし、何をしろとも言われてないから、これは好き勝手に生きてけと言うことでいいのか?
でもなんかこのままだと、生きるとか言う以前の問題になりそうなんですけど。
なんたって女の子ひとり、こんな大自然に
天の声って神様的なものなの? 神は神でも邪神的なものとかなんじゃないよね!? 名乗られてないからどっちなのかさっぱり分からないですけれども。
――て言うかさ、根本的でとっても大事なことをひとつ聞いていい?
私の性別、
いやだってズボンとか穿いてるし、なんかこう重要なところが控えめに言ってもまっ平らっていうかストンってしてて……メリハリのない体つきは幼児っぽくもあるし……いやいや手足はそれなりにスラッと長いし、ぷくぷくしてないし寸足らずではないから幼児ではないはずっ。
エルフっぽい体型って言われればそうなのかなぁとは思う。思うんだけど性別疑う程の凹凸さ加減だとは覚悟が足りてなかったというかなんというか!
――た、確かめよう。ちらっ。
あ、ない。
よかった!
どことは言わないけどなかった。よかったぁ。これで生きていけるっ。
異世界で勝手に性転換までされちゃってたらどうしようって、本気で焦っちゃったし。とりあえず一安心!
とかバカやってる場合じゃないんだった!
結構切羽詰まってるんだからっ。
これからどうするかを早く決めないと……生き抜くために!!
ううっ。現実が重たい、この世界から逃避したいよぉ……はあぁ。
いけない。また、ため息ついちゃった……ダメダメ今は考えるな、動こう、うん!
とりあえず見通しの悪い森を出て、街道沿いに来てみた。
まあこの、目の前にあるこの道を歩いて行けばいつか何処かに辿り着くんだろうけど……さっきけっこう高い木に登って見てみたのに人里のようなものは全く見えなかったんだよね。
全方位、鬱蒼とした森が果てしなく続いてるだけでさ……軽く失望した。
安全確保のために『索敵』スキルを発動させてみたら、すぐ使えたのには感動したけど。
あれは視界が感覚的に広がるような、不思議体験だったなぁ。最初だけは背中がぞわっとしたから、ちょっと驚いたけどね。
おかげで感覚的に約100mほど先までなら分かるようになったけれど、『索敵』スキルを信じるなら、敵味方ともに無し。身構えていた分、全然引っ掛からなくってちょっと拍子抜けした。
まあ、精度も不明だし100mくらいだし……仕方ない、か。
一応、今はでっかい太陽が真上にあるから、下手に動くよりここらで食べれるものを何か探して、出来るだけ安全に寝れそうな場所を見つけた方が賢いのかもしれない。
だって、日が暮れたらたぶん真っ暗だろうし、何があるかも分からないし。
――うん、迷ってる暇ないな。
その前にまず、今後のためにも今の自分自身の状態と出来ることを軽く確認してみよう。『索敵』スキルは難なく使えたから他のやつも大丈夫だと思うけど、一応確かめとかないとねっ。
自分の情報確認といったらズバリっ、これでしょう。
ステータス!
……んっ?
ステータスオープン!!
……んんんっ?
オープンウインドウ!!!
…………。
なんも起こらんね。
う~ん、困った。
どうやったら確認できるんだろ?
いっそのこと自分を『鑑定』してみるとか?
うんっ、いいかも……それでいこうっ。
ドキドキしながら『鑑定』してみると……。
あ、目の前に文字が出てきたよ! よかったっ、成功だね!
ではでは早速……何て書いてあるのかな?
種族 エルフ
名前
年齢 16才
武術スキル
魔法スキル 『火魔法Lv2』『水魔法Lv1』
『聖魔法Lv2』『支援魔法Lv1』
身体スキル 『魔力強化Lv2』『隠密Lv1』『俊足Lv1』
『精神耐性Lv1』『幸運Lv1』
技能スキル 『鑑定Lv1』『索敵Lv1』『採取Lv1』
『マップ作成Lv1』『料理Lv1』
…………。
以上?
えっ、表示されるのって、
い、いや、これも大事だよ?
でも、簡潔すぎて欲しい情報がないというか!
すっごく重要なのにこれ。もしかしたら、記憶が戻るきっかけになったかもしれないんだよ。なのに、さらっと空欄になっているんですけどっ。
年齢はしっかりと表示されてるのに、なんで名前だけ……。
それにもっとこう、パーソナルレベルとか、生命力とか、色々表示することってあると思うんだ。
何かスキルだけはやたらと気合いがはいった表示をされてる訳ですがなんでですか。
いやいや見易いですよとっても……整理整頓されてて。
……ふ~ん、『魔力強化』とか『幸運』も身体スキルに分類されちゃうんだねこれ、身体スキルって結構幅広いんだ。なんでもありともいえるけど。
……。
ってそうじゃなくってね!?
――何だろ……この、かゆいところに手が届かないもどかしさは……あぁ、じれったい。
『鑑定』のレベルが低いせいとかだったら、まだいい。だけど、このまま表示されない仕様だなんて事もありうるわけで……。
最後の頼りだった『鑑定』さんに、多大な期待をしてしまってたせいでちょっとだけ落ち込んだ。
で、でも、地球を基準に考えてみたらこれだけでも結構すごい技能だし、レベルを上げれば情報も増えるかも知れないから、ね!? 希望は捨てずにいこうっ。
そんなわけで結局、ステータスはオープンできなかった訳ですが、最低限欲しかった情報は『鑑定』スキルで表示されたからよしとする。
とりあえず前向きに! 不安で泣きそうだけどもっ。
――頑張ってこ、うん。
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