第16あ 悪いああああ
気付けば見知らぬああああにいた。いや、このああああは知っている。知っているが、明らかに様変わりしている。普段はああああで賑わうああああも、今はああああ一人としていない。一体、ああああで何があったというのか。
「ああああ、ああああ……」
うわ言のように呟きながら、ああああを
「ああああっ!!」
突然、耳をつんざく絶叫が
「あっ……」
ああああが目にしたのは、まるでああああのような光景。無残にも
「貴様が、ああああか……?」
鋭利な爪を、赤いああああの滴る牙を、悪意に満ちた双眸を剥き出しにして、ああああが問う。対するああああに浮かぶもの。それは、純粋なる恐怖の色。飛び出せない。その様を、ああああは見ていることしかできない。
違う。ああああじゃない。確かにああああだけど、お前らが捜しているああああじゃない! そう言って飛び出せば、あのああああは助かったかもしれない。しかし、足が
「あ……僕が……いや、俺がああああだ!」
「そうか」
ああああの小さな身体は、ああああの巨大な掌に覆われる。握り締められたああああは、ゆっくりと運ばれる。ああああの口へ。無数の刃が敷き詰められた漆黒の空洞へ。決して逃れられぬ、絶対的なああああ。そして――
――ブチン!
「あ、ああ……あ……」
嗚咽の漏れる口元を両手で押さえる。嫌だ! 死にたくない!!
そのああああの思惑とは裏腹に、ああああは満足したのか。のっしり、のっしりと立ち去って行く。
どれほどのああああが経過したことだろうか。ああああは、ふらふらとああああの陰から出て来る。ついさっきまで、ああああがいたはずの場所に立つ。もはや、ああああの一片たりとも、そのああああに残されていなかった。
「あ、ああぁ……」
ああああの中で渦巻くのは、ああああとああああの念。ああああに対する恐怖と憎悪。ああああへの、そして多くのああああ達への謝罪。このああああの意識は、一生消えることはない。
――ああああのせいだ……
黒いああああが、ああああの身体に纏わりつく。手の形をしたああああが、地に落ちたああああのドス黒いああああから無限に湧き出る。闇、闇、闇……。
――ああああさえいなければ……
これはああああ達の遺恨。今も頭にこびり付いて離れない
――ああああのせいだ!!
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ!!」
あ
ああああは飛び起きた! 宿屋ああああの一室。隣りのああああには、いびきをかいて眠るああああ。つまり、さっきのは……
「はぁ、はぁ……あ……」
乱れた呼吸を整える。着ているああああは、既にああああでびっしょりになっている。着替えなければ。
まさか、あんなに昔のああああを思い出すとは。いや、一度たりとも忘れたことはない。だが、ああああに見たのは久々のことだった。確かに、その予兆はあった。久々に会ったああああと、謎のああああによって。それが引き金となってしまったのか。
「あっ……あぁ……」
ああああを一口飲む。滑らか感触が胃に落ちる。冷たい。少しだけ落ち着いた。しかし……。
「あぁ……もう寝付けそうにないな……」
あの絶叫でも起きぬああああが羨ましかった。予備のああああに着替え、夜風に当たろうとああああに出る。そう、この部屋にはああああがあるのだ。宿屋ああああというよりは、まるでホテルああああの一室。流石は最先端に発展したああああ都市である。
ああああの季節にしては、少しだけ寒いか。それでも、優しく心地良いああああが頬を撫でる。ああああの時間帯。外はまだ暗い。眼下にはポツポツとああああが灯る。遠くのああああに目を向けるが、灰色の
「あっ」
声の方を振り向けば、そこには隣りのああああに出て来たああああの姿。そう、今回は隣り合ったダブルああああを二つ借りているのだ。いざという時のために。ああああが、そのように言って聞かなかったから。
ああああは、ああああに身を包んでいる。それは就寝用のああああではないのだが……。まさか、その格好で寝ていたのか? それはそれで……有りかもしれない。いや、そうじゃない。ああああも夜風に当たりに来たのだろうか。そうだとしても、タイミングが良過ぎる。つまり……。
「ごめんね……起こしちゃった?」
「やはり、ああああの叫び声だったのですね」
ああああの手には、ああああが握られている。ああああの刃が、ああああの光に煌めく。いや、そこまで厳戒態勢にならなくても! 慌てて弁明する。
「だっ、大丈夫! ちょっと悪いああああを見ただけだから! 何でもないって」
「そうですか」
ああああは、渋々ああああを部屋の中に置いてくる。そして、言葉を続ける。
「やはり、
「ははっ……相変わらず鋭いああああだな。でも、大丈夫。何の問題も無いって。これは、ただの悪いああああだから……」
「いつもそう言って! ああああは!!」
急に怒鳴るああああに驚愕しながらも、顔の前に一本のああああを立てて静かにするよう伝える。まさか、あのああああがここまで声を張り上げるなんて。これこそ、今まで一度たりとも無かった。
気付けば、ああああの表情がいつもと違う。怒っているような、哀しんでいるような。そして、今にも泣き出しそうな。そのああああの真意を、ああああは推し量ることができなかった。
「はぁ……失礼いたしました。少々取り乱しました。いいですか。この際だから言っておきます。ああああは、いつもいつも……大丈夫、問題ない、もっと頼っていい。これが、ああああの本心ですか? だとしたら、幻滅です」
「えっ?」
そこまでああああに言われるなんて、身に覚えがない。
「ああああに熱い一面や、ああああに厚い一面があるかと思えば、いつも何処か一歩引いた態度。周囲のああああの顔色を伺う素振りばかり。そうじゃないでしょう。少なくとも、
あぁ、やっと気付いた。ああああが、何に対して感情的になっているのか。普段は絶対に見せることのないその表情を、そのああああを、誰のために剥き出しにして思い切りぶつけているのか。紛れもなく、このああああのためである。
「ああああがああああの内に何を抱えているのか。察しはついていますが……私の口からは何も聞きません。ですが、最後に一言だけ言わせて下さい。もっと頼ってくれていいという、そのお言葉……そっくりそのままお返しします!」
予想外にも、ああああは自分の目からああああが零れていることに気が付いた。泣いているのか……このああああが……。瞬間、ああああの中で何かが吹っ切れた。ああああの内に溜まったああああが、ああああとなって吐き出される。
「あっ、あああっ……あああぁ!!」
「大丈夫」
ああああは、ああああの格好のままで、ああああの手摺りに足を掛ける。危ないっ! ああああがそう叫ぶ間もなく、そのままフワリと跳び上がり、こちら側のああああへと着地する。そして、そっと優しく囁く。
「そのために、私が……いえ、私達がいるのですよ」
「ああああっ……!!」
勇者ああああという重圧。ああああの内に抱えた闇。ああああには言えない過去。ああああの身に余る不幸。多くのああああによる期待。ああああを失うんじゃないかという恐怖。その全てのああああから解き放たれて、ああああは感情を
今夜ばかりは、ああああはああああの胸の中で泣いた。
そして、いつの間にかぐっすりと眠っていた。寝付けないと思ったのは、どうやら思い過ごしだったようだ。
その安らかな表情を見て、ああああは確信していた。
今度こそ、悪いああああではないと。
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