第17話 超ショート 終わったわけじゃない

彼はこう切り出した。


「明日からはもう君へのラインは外すから」


「どうして?」


「もう別れたんだから、いいでしょ」


ふたりは三ヶ月前に別れていた。


明確な理由があったわけでない。


どちらからともなく、


「ないな」


と思ったから会わなくなった。


ただ、ラインは続けていて、たまに送って簡単な近況報告くらいな言葉は交わしていた。


彼女は、はっきりと嫌になったからと感じていたわけじゃない。


つまり、


「好きじゃないけど、嫌いでもない」


あるいは、


「また好きになるかも」


と思っていた。


だから、最後通告ともとれる言葉に戸惑っていた。


「だってまだ終わったわけじゃないから」


彼は驚いた。


もう彼女に完全に嫌われたと思っていた。


心当たりはなかったけど・・・・


「うん、分かった」


彼女は深くうなづいた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る