超ショート あてはあるの?

egochann

第1話あてはあるの?




「ねえ、あてはあるの?」



上向き加減の彼のあごを見つめながら彼女は言った。



「そりゃ、あるさ。友達が働いてるクラブで欠員があるって連絡が来たから」



何言ってだか。嘘だって顔にかいてるじゃん。



「クラブなんて水商売じゃない」



「次の仕事が見つかるまでさ」



「女目当てじゃないの」



「違うさ」



そうは言っても、彼には自信が無かった。そう簡単にあ仕事なんて見つかるはずがない。



「私も仕事辞めたくなっちゃった」



おっと、それはやめてくれよ。



と、声に出そうになった。



今、彼女に仕事を辞められたら、家賃が払えなくなる。



「もうちょっと、我慢しなよ。俺が仕事が落ち着くまでさ」



彼女は、ちいさくうなずいた。



伏せ目になった彼女のかわいい顔が本当に好きだと彼は思った。



本気じゃなくても今度もちゃんと働こうという気持ちは言葉に出さなきゃいけないなと思っていた。















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