第487話 プレゼントどうしよう……

母さんは無慈悲にも宣言通り、俺の夕飯のおかずを減らしやがった


そんな夕飯を食べ終えて、風呂に入って、部屋に戻る

一応完成させたモノを机に置いて、観察する


悪くない出来栄えだとは思う

でも、やっぱりシンプル過ぎるよな


コレはコレでいいとして、みんなへ贈るプレゼントはどんなモノにしようかな


スマホでテキトーに検索しようにも……検索ワードが思いつかない

レジン

後は、中に入れるもの?

デザイン?


あ、モチーフはどうだろ?


検索っと、……色々出て来たけど、何かピント来ないな


う~ん

プレゼント……贈り物……何がいいかなぁ

よく聞くのは、相手が喜ぶものとかだけど



くそっ……俺の今まで蓄えたオタク知識じゃ、偏り過ぎてて参考に出来そうにない


妹に聞く、のはダメだな

母さんは、絶対に茶化すから無し

四季島は……いや、アイツにばっか頼り過ぎてるよな


さて、らしいプレゼントって何だろうな

俺がプレゼントしたいって、そう思ったんだけど

何か、ぼんやりしてるんだよなぁ



あぁ~~~~~~~~……どーっすかなぁ……


とりあえず、考えんのやめよっかな

こんだけ考えても何も思いつかないんだし、他の事して頭切り替えていこ


よし、まずは台本を覚えるトコからだな


パラパラめくって何とか覚えられた数ページを飛ばして、続きから読む



はぁ……この話、読み辛いんだよ

もっとわかりやすく、ラノベみたいな感じだといいんだけどな

もしくはコミックみたいな感じだといいな

こうも読みにくい文章は……慣れないな



遅々として進まない台本に苦戦を強いられて、1時間


読み進められたのは全体の半分くらいまでだった


ここまで読めば、ある程度のストーリーは把握できた

しかし、一切の感情移入が出来ない……

何せ主人公俺の役は女だし、相手も女だし

どこに感情移入できる余地があるんだよ……





今日は既に集中力を使い切ってるし、これ以上読んでも一切頭に入りそうにないな

ヤメだ!ヤメ!

俺、めっちゃ頑張った!!


よ~し、録画したアニメでも観るか!

テキトーに選んで、再生っと


ふむ……面白いな~
















あれこれ観て、それなりに時間が経って

ふと、1つのアイデアが浮かび上がった


アニメのヒロイン達って、ほぼ100%“色”が付いてるんだよな

着色って意味じゃなくて、イメージカラーの色だ


明るいキャラは黄色とかピンクとか

熱血キャラはだいたい赤か紅

クールなキャラは青とか白とか

暗いキャラは黒とか紺とか


それぞれのイメージカラーで作るってのは、どうだろう……?


南城さんは明るい性格してたから……黄色とか?

堀北さんはクールな感じがするから……青かな?

仁科さんは…お菓子作りが好きだから……何色だ?


早くもこのアイデアは使えない事が発覚してしまった……

いいアイデアだと思ったんだけどな


色はまぁ、アレだ

後回しにしよう


机の上にある試作品を手にして光を当てる

きらりと反射した光が少し眩しく感じる


これ、中に何か入れたらもっと面白いものになるかな?


例えば……仁科さんは泡だて器とかヘラとか?

そんで東雲さんはマイクとか?

南城さんは……スポーツの道具とか?

堀北さんは、やっぱり本とか?


うん、良い感じだな



よし、絵は下手だけど

イラストにしてみるか


基本の形は楕円形だろ

そんで、この楕円の中にそれぞれ入れるモノを書いてっと


うん、下手だな!!


でも、まぁ、俺が分かればいいんだし

細かい事は気にしない!



とりあえず、色んなアイデアを出すだけ出して

どれか1つ選べばいいか


よーし、やるぞー!!




とやる気を出したものの、そこまで俺の脳内には有用な情報が無かったみたいだ……


はぁ、もう寝よ……


台本は鞄に仕舞って、イラストは纏めて机の上に置くか


さて、後は目覚ましセットして……寝るだけだな



ベッドに入り、目を閉じる


疲れた脳を休ませる為に、無心になってリラックスをして全身の力を抜く

すーーっと意識が飛んで、闇に包まれた
















ピ!ピ!ピ!

うん?


ピ!ピ!ピ!ピ!

あ~、もう朝か


目覚ましを止めて、目を擦って起き上がる


俺「う~んーーーー……はぁ」

よし、起きた起きたっと


パパっと制服に着替えて、1階に下りる


洗面所で顔を洗ってからリビングに行く

イスに座ると母さんがコーヒーを持ってきてくれる


俺「おはよ」

何か、頭重いくて眠い……


母「何眠そうにしてんのよ。また夜更かししてアニメ観てたの?」

観てない観てない


俺「ちゃんと寝たよ……何か考える事が多くてさ」

ホント、色々あってさ


母「そう。そういう事なら、もっと考えなさい!考えて考えて考えて、ちゃんと結論出しなさい」

う、うん……


俺「頑張るよ」


母「頑張んなさい。はい、これお弁当ね」


俺「ありがと」

弁当箱を受け取って鞄に入れる


さて、そろそろ時間かな

いつもほぼ同じ時間に俺を迎えに来る南城さんと堀北さん

たま~に仁科さんとかも含まれるけど

最近はほぼほぼ2人だけだな


ま、仁科さんは通学路が違い過ぎるし

東雲さんは車で登下校してるからね



さて、支度もちゃんと終わったしいつでも出れるぞ







ピンポーン


俺「はーい」

来た来た


玄関のドアを開けるとそこには、やっぱり南城さんと堀北さんがいて

でも、今日はもう1人追加で東雲さんが来ていた


俺「あれ?」


南城「おはよっ!」

堀北「おはよう」

東雲「……おはよ」


俺「お、おはよ」

なんで東雲さんがいるの?

あれ?

今日来るって言ってたっけ?


東雲「その、迷惑だったかしら?」


俺「いや、そんな事ないよ。でも、どうしたの?」


堀北「昨日連絡した通り、君には東雲さんのそばで見守っててほしいのよ」

あ~、なるほど?


俺「それって学校の中だけじゃなくて?」


南城「えっと、できるだけ一緒の方がいいかなって思って誘ったんだけど……」

そういう事ね


俺「おっけ。そういう事なら一緒に登校しよっか」

まぁ、南城さん達が一緒なら安全だろうからね

俺は構わないよ


東雲「ありがとう」

いいってことよ


俺「さ、行こう。こんなトコで立ち話してたら遅刻しちゃうよ」




いつもと少し違う朝が幕を開けた

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