第462話 最後の曲は

R「アンコールステージ!どうするの⁉」

そうだった!

俺、そもそもその事を話し合いたくてYちゃんを探しに来たんだった⁉


俺「えっと、みんなが演奏できる曲ってもう無いんだっけ?」

さっきので全部?


R「ないですよ!」

T「ありません」

U「時間的に無理でした」

なるほど……

それじゃ、万事休すか


俺「何か曲さえあれば、歌は俺と妹でなんとかできたかもしれないけど……」

演奏できる曲がそもそも無いんじゃ、どうしようもないよな


妹「うん……やっぱり、同じ曲やるしかないよ」

そうだな……


Y「あ、あの……私、1曲だけできる曲があるのだけど」

え⁉


俺「何て曲⁉」

今から調べて練習すれば、まだ間に合うかな?


Y「えっと……ここの校歌、なんですけど」

校歌……⁉


俺「校歌、か」

なるほどな

アリだろうか……?


妹「そっか!全校集会とかで歌う時演奏してたよね!」

え?

学校代表レベルなの⁉


R「そういえば、演奏してるのってYちゃんだったっけ」


Y「え、ええ、そうなの。だから、校歌でよければ演奏はできるのよ」


堀北「私は部外者だけど、とても良い案だと思うわよ?」

とても良い?


俺「なんで?」

代案は無いけど……

とても良い、と断言はできないと思うけど


堀北「だって、もう時間がないのでしょう?」

うん


堀北「妹ちゃん達は全員歌えるのよね?」


妹「はい!」

R「流石に3年も歌えば覚えてます」

U「歌えると思います」

T「大丈夫だと思います」

そうか……


俺「準備するのは、俺用に歌詞だけ……?」

そもそも校歌って、そんなに難しい曲ではないはずだよな

だから、練習だってそんなに時間はかからない

上手く歌うとか完璧に歌うって事を無視すれば、数回聞けば何とかなるかもな


堀北「そう、それに……先生達からの受けも良いと思うわ。締めに校歌斉唱よ?」

確かに……これは最高の案かもしれないな

時間もない、余裕もない

そんな状況で、これ以上の案は俺は出せそうにないな


俺「うん、校歌はアリだね」

むしろ、最高の選択かもしれない


妹「おにぃはいいの?」

なんで?


俺「俺はみんなが良ければそれでいいよ。だって皆のステージなんだからね」

あくまで俺はゲストだからな


妹「みんなは?」


Y「私が言い出した事だから」


R「もしかして、私も歌うの?」

そりゃ、そうだろうよ


妹「うん。さっき歌えるって言ってたよね?」


R「う、うん……でも、上手には歌えないと思う」

そんな心配は無用だよ


俺「多分だけど、気にしないでいいと思うよ」

それに一番上手く歌えないのは、俺だろうからね


T「なんでですか?」


俺「校歌って、ほぼ全校生徒が歌えるんだろ?」


妹「あっ、そっか!で歌えばいいんだ!!」

そう!

その通り!!


俺「最後は、全校生徒の想い出に残る最高のステージになるよ」

面白くなってきたな


U「もしかして、音楽の先生も協力してくれたり?」

そうだね

そうなったら、いいね


妹「そっか……!職員室!!職員室行こ!!」

先生に協力をお願いするなら、確かに行かないとな


俺「それじゃ、別れて行動しよ。妹とRちゃんは職員室に行って先生に協力をお願いしてきて。俺とYちゃんは先に練習できる場所探して練習を始めとこう」

TちゃんとUちゃんは……


俺「Tちゃん達はどうする?」

職員室行く?場所探しする?

できれば場所探しを手伝ってくれると助かるんだけど……


T「私、友達に声かけてきます!」

U「じゃ、私も!」

そっか


俺「うん」

それなら、手分けして頑張ろう!


T「Uちゃん、Kちゃん達に相談に行こ」

U「Kちゃん!そっか、いいね!行こ!」

Kちゃんという友達に、何か相談に行くみたいだけど


Y「そう……場所は、音楽室が開いてるはずです!」

候補としてはアリだね


俺「でも、今日は使ってないの?」

文化祭だし、何かしらやってるかと思ってたけど


Y「使ってたけど、もう終わってるはずです!」

なるほど、それなら貸してもらえるかもしれないな


俺「それじゃ俺とYちゃんは音楽室に向かうね」

よし、全員の行動が決まったな


俺「絶対に間に合わせよう。そして、成功させよう」


妹「うん!!」

R「おー!」

Y「はい!」

T「お~~!」

T「はいっ」

みんな良い返事だ


堀北「私は……そうね、千秋達を呼んでくるわね」

あ、うん


俺「堀北さん、本当にありがとう」

助かったよ


堀北「いいのよ。ほら、急ぎましょう」

うん!


俺「全員、行動開始!」


俺はYちゃんと一緒に一目散に音楽室へ向かった

と言っても、音楽室の場所を俺は知らないからYちゃんに案内を頼むしかないんだけど……


校舎へ入って、奥へ進んで行くと

どんどん人気のない場所に入っていく


Y「もう少しで音楽室です」

よっしゃ、行こう!

と思ったら、なぜかYちゃんが立ち止まった


俺「どうしたの?」

もしかして、足怪我したとか⁉


Y「あの……先輩」

うん?


Y「先輩って、何者なんですか?」

何者って……


俺「あいつの兄だよ」

なんでそんな事を聞くんだ?


Y「そうじゃなくて……あの人達を追い返せるって、どういう事なんですか?」

あ~……

研究所の人の件ね


俺「知り合いにさ、すげー奴がいるんだよ」

四季島太一って、すげー奴がさ


Y「それだけじゃ、ありません。あの時、M-DNAとかN-DNAとか話してたじゃないですか!」

その話か


俺「ごめんね、Yちゃん。それは話せないんだ……世の中知らない方が良い事もあるから、その単語も忘れてくれないかな?」

もし、なんて事がヤバい奴にバレたら……Yちゃんの身に危険が迫るだろうから


Y「でも……私」


俺「Yちゃん、落ち着いて聞いてほしいんだけど」


Y「はい」


俺「その単語はね……詳しく知ろうとすれば、殺されてしまうかもしれない。そんな危険な代物なんだよ。だから、Yちゃんは忘れて」


Y「それって、先輩も危険って事じゃないですか!」

あ、……うん


俺「おr、私は大丈夫。信用できる人に守ってもらってるから」

監視者さん、多分ずっと俺を監視してるだろうから


Y「でも……」


俺「約束して、絶対に誰にもその単語を言わないって」


Y「それは、家族にも?Aちゃんにも?」


俺「もちろん、誰にも言っちゃダメだよ。だから、忘れちゃった方がいいんだ」

知ってるだけで危険なんだから


Y「分かり、ました」

よしよし


俺「ほら、話してると時間が無くなっちゃうよ。音楽室行こ」




なんとかYちゃんを説得して、音楽室へ向かった

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