第442話 お化け屋敷へ突入

P「それはそうと……そこのお姉さん、誰なの⁉」


妹「えっと、私の従妹のお姉ちゃんだよ。今日のステージのスペシャルゲスト!」


P「へぇ、そうなんだ!」


妹「うん。それじゃ、また後で」


P「うん!」


ふぅ、少し緊張したけど……何とかなったな


俺「さて、それじゃお化け屋敷入りましょう?」

その後にでも、Pちゃんについては聞いておこうかな


R「Pちゃん、お姉さんの事気にしてたね~」

え?

そうか?


T「うん。あれは、後で絶対に聞いてくるよね~」

な、何を?


妹「うん……嫌だなぁ……」

え?


俺「友達、なんでしょう?」

そんな嫌がるの?


Y「あの子は……知的探求心と好奇心が旺盛で、一度気になると分かるまで追求するの」

なるほど……

Yちゃんがオブラートに包んだ言い方をしてるって事は

かなり厄介そうだな


そんな厄介そうな子が、俺の事に会いたがってる……


俺「会いたくない……」

Pちゃん、悪い子ではないみたいだけど


妹「でも、おにぃは紹介しないと……約束しちゃったから」

俺を生け贄にしやがったなっ……


俺「悪い子ではないんだよね?」

良い子とは、言えないにしても


妹「うん、それは大丈夫」

なら、まぁ……仕方ないか


Y「さ、お化け屋敷入りましょう」

そうだな




お化け屋敷をやってる教室の前まで来て、1つ問題が発生した


「いらっしゃいませぇ、このお化け屋敷は二人一組ペアでの入場になりまぁす」

受付の子が頑張っておどろおどろしく説明してくれるけど……お化けの仮装もしてない普通の制服だから、怖くないな……


妹「それじゃ、お姉ちゃんと私で入るから」


R「ちょっと待ってよ!私もお姉さまと入りたい!」

T「なら私もー」

U「私もー」

ちょっと待て

今の説明聞いてたか?

2人1組で入るんだから、皆と一緒には入れないだろ?


Y「なら、じゃんけんするしかないわね」

ちょっ、Yちゃん⁉


妹「それよりも、お姉ちゃんが誰と入りたいか聞けば簡単だよ!」

(私だろうけど!)って思ってそうだなぁ


俺「喧嘩しないでね?ね?」

入口で揉めてたら目立つし、受付の人も困っちゃうからね?


妹「なら誰と入るか、早く決めて!」

俺が決めていいんだな?

なら、もう近い人でいいか


俺「じゃ、Uちゃんかな」

ちょうど俺の右隣に居たし


U「え⁉私ですか⁉」

うん


俺「さ、入ろ」

Uちゃんの手を取ってお化け屋敷に入る


妹「あっ!えっ⁉」

自分が選ばれると思ってたんだろうけど、俺にとっては誰と入っても変わりないんだよなぁ

だから、妹を選ぶ必要もない!


俺達が入った後、すぐに入ってくるかと思ったけど……

1組入るとドアを締め切るから追いかけては来れないのか


U「あ、あの……手」

うん?

ああ、手掴んだままだったから


俺「ごめんね」

手を離してあげると、今度はUちゃんが俺の袖を摘まむ


U「その、ごめんなさい……実は私、苦手なんです」

え?


俺「そうだったの?」

文化祭レベルのお化け屋敷でもダメなのか


U「だから、その」

袖掴んでたいって事か


俺「それは困るかな」

この服が壊れると困るからさ


U「あっ、ごめんなさい……」

そっと袖を離すUちゃんの手を握ってあげる


俺「だから、コッチにしてね」

手なら、強く握っても大丈夫だから


U「え⁉で、でも!」

苦手なのに無理やり連れてきちゃったんだし

俺の手でも、気分が紛れるならお安い御用だよ


俺「少しは怖くなくなった?」


U「は、はひ」

呂律が回らないほど怖いの?

それなら、しっかり掴んでてあげないとな


俺「それじゃ進みましょう」

よっぽど怖いのかUちゃんはずっと下を向いたまま

俺に手を引かれてお化け屋敷を突き進む


脅かしてくるお化け役の子達には悪いけど、俺はそんなに怖くないし

Uちゃんはずっと下向いたまま無言だから、どんなに脅かしても無反応なんだよね


教室の中を蛇行しながら進むだけだから、すぐに出口が見えてくる


俺「Uちゃん、もうすぐ出口だよ」


U「は、はい……」

小さな声で返事をしてくれる



そのまま、出口から廊下へ出ると妹が仁王立ちで待っていた


俺「ただいま」

ほら、お前らも入ってこいよ


妹「ねぇ、お姉ちゃん?」

うん?


俺「何かしら?」

もしかして、自分が選ばれなかったから怒ってる?


妹「なんで、Uちゃんの手握ってるの?」

あ、コレね

確かに、もうお化け屋敷出たし離しても大丈夫かな


俺「Uちゃん、お化け屋敷が苦手なの」


妹「へぇ、知らなかったなぁ」

T「前に遊園地で一緒に入ったよね?その時は、大丈夫だったよね?」

うん?


Y「まさか、猫被って……」


U「ち、違うよ⁉その、皆には黙ってたけど、前ね……本物のお化け見ちゃったの。それから、お化けが居そうな場所も怖くて!」

へぇ、お化けを見たのか……


俺「そんなことより、入らないでいいの?」

他の人達が入っちゃうよ?


Y「いえ、もういいんです」

妹「お化け屋敷そんな事より、Uちゃんの顔が真っ赤なのが気になるんだよね」

え?


俺「体調大丈夫?」

もしかして、苦手な所に入ったせいで?


U「だ、大丈夫でしゅ!」

ダメかもな……


俺「少し休ませてあげた方がいいんじゃないかしら?」

倒れたりしたら大変だろ?


妹「そうだね、アッチでゆっくり休もっか。そこでじっくりと話も聞きたいし」

ほどほどに、な?


しんどそうなUちゃんを休ませる為、近くにあるカフェの模擬店へ向かった

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