第441話 たこ焼きの次は

校舎から出て、たこ焼きの屋台へ向かう


時間的に早かったからか、まだ行列は出来てなかった


並ばずに買えるのはありがたいな


「いらっしゃいませー!」

元気いいなぁ


R「お姉さまも食べますよね⁉」

え?

いや……


俺「いいえ、私は」


U「そんな事言わないで、一緒に食べましょうよ!」

う~~ん……

化粧した状態で何か食べるのは、ちょっとなぁ


Y「少しくらいは食べませんか?」

そうだな……


俺「そうね。それじゃあ、少しだけ」

食べてみようかな


T「Rちゃん、他にも食べたいモノあるんじゃないの?」

そういえば、良く食べそうな子だよな


R「うん!」


T「じゃあ、お腹いっぱいにならないようにしないと」


R「あ、そっか……」


妹「とりあえず、2つにしとく?」

決まったな?

あんまり相手を待たせちゃうのは良くないし……

何より後ろに人集りができてきてるんだよ!


俺「すいません、6個入りを2船ください。楊枝は5本で」

財布からお金を出す

合計12個で600円

安いなぁ


妹「あ、ありがと!」

いいから、早く移動するぞ?


R「ゴチになります!」

Y「後でお金払いますね」

いいから!

早く移動したいんだって!!


俺「後ろ、待ってる方がいるから早く移動するわよ」

てか、俺に喋らせんなよ!

バレたらどうするんだ!


お金を先に払って、たこ焼きを受け取って移動を開始する


俺の後ろを鴨のヒナみたいについてくる妹達







そのまま、人気の少ない場所へ移動して


俺「ふぅ……」

恐かったぁ


妹「お姉ちゃん?」


俺「あんな人目の多い所にいたら、バレたら大変でしょ」

逃げてきたココだって、人目が0じゃないんだから


R「あ、そっか」

そう!

だからわざわざココに逃げてきたんだよ⁉


俺「そうそう。とりあえず、ここで食べて次どこ行くか決めましょうね」

次の場所も、事前に買った後どこへ移動するか決めておかないと


妹達が、たこ焼きを食べてる姿を観察しつつ周囲を警戒する

なんだろ……コレ……何かの潜入作戦のゲームかな?


Y「お姉さま、食べてないですよね?」

あ~、うん

それどころじゃないからな……


俺「気にしないでいいから、皆で食べちゃってね」

警戒で忙しいから


Y「それはいけません!はい、食べてください!」

楊枝に刺したたこ焼きを俺に突き出すYちゃん

そんなに食べさせたいの?


俺「はいはい、あ~ん」

もぐもぐもぐ……うん、予想通りの味だな


Y「あっ……その、ちゃ、ちゃんと自分で食べてくださいよ」

ああ、ごめんごめん


R「抜け駆け?」

U「ひゅーひゅー」

T「そっかー、Yちゃんもかー」


Y「いえ、そういうのじゃなくて!」

何か、揶揄われてる?

俺のせいかな?


妹「ねぇ、Yちゃん……?」

ここまで平坦な声の妹、初めて見たかもな……


俺「Yちゃん、なんかごめんね」

Y「いえ、お姉さまのせいじゃないですから!大丈夫です」

いやいや、ホントに大丈夫なの?


妹「お姉ちゃんのバカ」

あ~、はいはい

悪かったって


俺「それで、次は何処に行くの?」

いい加減決めてくれ


R「どうする?」

U「どこでもいいよー」

T「食べた後だし、どこか遊べるトコ行く?」

そうだなぁ

食べてばっかりじゃ、すぐお腹いっぱいになっちゃうしな


妹「賛成!」

Y「なら、お化け屋敷はどうかしら?」

へぇ、Yちゃんお化け屋敷好きなのかな?


R「また、抜け駆けする気?」

何の話?


Y「違っ、そうじゃなくて!純粋にお化け屋敷に行きたいだけよ⁉」

お化け屋敷の不純な楽しみ方ってなんだよ……

逆にお化け役を脅かすとか?


T「まぁまぁ、とりあえず行ってみようよ!」

U「そうそう!」


妹「そうだよね。Yちゃんがそんな可笑しな真似するわけないよね?」

だから、さっきから声が平坦なんだよ!

ちゃんと抑揚つけて喋りなさい!


Y「さっきのだって不可抗力だったのに……」

だから、俺のせいだろ

悪かったって……


俺「決まりね。お化け屋敷行きましょう」

1か所に長居するのは危険だからね


妹「そういえば、先輩達どうしたんだろ?」

あ~、あれから連絡来てないっぽいしな


俺「まぁ、何かあれば連絡くれるんじゃないかしら?」

南城さんは……楽しんでて忘れてそうな感じもするけど


R「それじゃ、お化け屋敷行こっか」


移動する時、また俺を取り囲むように歩く妹達

まぁ、身長的に頭1つ抜け出てるから囲まれてもよく見えてるんだけどね




もちろん周りからの視線も、自然と俺の顔のあたりに集まるんだけど……





お化け屋敷の看板が廊下の先に見えてきた所で、俺達に話しかけてきた子達が現れた


「Aちゃん!」

この子は……知らない子だなぁ


妹「あ、Pちゃん!」

この前みたいに変な奴に絡まれたなら助ける必要があるけど


知り合いみたいだし、大丈夫だろ


P「いよいよだね!」

この子は妹のバンドの事も知ってるのか


妹「うん!最高のステージにするから、見に来てね!」

この話し方って事は、友達なのかな?


P「それはそうと、今日はお兄さん来てないの?」

うん⁉

俺⁉


妹「え……なんで?」

コラァ!

そこで動揺するなー!

バレるだろー⁉


P「なんでって……いっつもいっつも自慢話聞かされた身としては、ぜひ1度会っておきたいなぁって」

俺の自慢話とか、ろくでもない事喋ってんな……


妹「あ、えっと、その、後で来るって!」

誤魔化し方が下手!!


P「ふ~ん、そっか。良かったら紹介してね!」

俺としては、妹が学校で俺のどんな話をしてるのか気になるから

是非紹介してほしいね


妹「う、うん。兄さんが来たら連絡するね……」

ステージの後、着替えたら話を聞かせてもらおうかな


さて、このPちゃんはどんな子なんだろうなぁ……

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