第439話 変装(女装)

化粧を施されて、俺はウィッグカツラを被せられて

皆に教室の外へ出てもらって、次いでに誰も入ってこないように見張りもお願いして


持ってきた衣装に着替える


着れた……かな?


確認の為に堀北さんに確認してもらおうと外へ顔を出す


俺「堀北さん、いる?」

ドアは2つあるしコッチにいなければ反対側のドアだな


堀北「いるわよ。どうしたの?」

良かった


俺「確認してほしいんだけど、中入ってもらっていい?」

ちゃんと着れてるかな?


堀北「ええ、もちろんいいわよ」

快諾してくれて、堀北さんが教室に入ってくる


俺「どうかな?」

クルリと1回転してみる

少し勢いをつけ過ぎて、スカートがふわりと持ち上がる⁉

これ、気を付けないとダメだな……


堀北「……そうね。問題ないと思うわ」

よし、ちゃんと着れてたみたいだ


俺「それじゃ、皆に見せt」

堀北「ちょっと待って、その前に声はどうするの?」

声?

あ、そっか……

地声じゃ流石にバレるよな

そんじゃ、裏声で喋るか?


俺「んっんんっ……あ~あ~、これでどうかな?」

声もそれっぽい感じになった?

裏声を出してみると、堀北さんが目を見開いて驚いた顔をして固まる

あれ?

ダメだった?

でも……今日を乗り切るために練習は必要だし、裏声のまま会話するのを心がけようかな


俺「堀北さん?」

出来れば、大丈夫なのかダメなのか言ってほしいな


堀北「あ、ごめんなさい。ええ、その違和感無いわ」

じゃ、このまま出番まで過ごすかな

出番が終われば、化粧を落として服を着替えて普通に楽しめるだろうし


俺「それじゃ、皆を呼ぶね」

ドアから顔を出して声をかける


俺「もう入っていいよ」

声をかけた瞬間、ビクッとして恐る恐る振り返って俺の姿を確認する仁科さんとYちゃん


俺「どうしたの?」

入ってこないの?


仁科「えっと、その声は?」

あ~、いきなり知らない声で話しかけられたからビックリしたのか


俺「バレないように、練習中なんだけど」

堀北さん的には違和感がないって事だけど、もしかして仁科さん的には違和感あった?


仁科「そ、そっか!なるほどね!」

後は南城さん達に声かけないとな


反対側のドアへ行き顔を出す


南城「あ、準備できた?」

顔を出した瞬間、待ち構えてたみたいに声をかけられる


俺「うん。中入って」

裏声で返答する


南城「……うん」

ちょっと間があったけど、すぐに入ってきてくれるみたいだ


中で集合すると、バンドメンバーの子たちと妹、南城さん、堀北さん、仁科さん

全員に囲まれる


俺「え?何?」

何で俺に注目してるの?


堀北「私、思った事があるの」

顎に手を当てて、思案するポーズする


俺「な、何かな?」

堀北さんなら、まぁ変な事は言わないと思うけど

少し不安だな


堀北「口調を変えた方がいいと思うわ」

口調?


俺「うん?」

どういう事?


南城「それ、私も思った!」

え?

南城さんも同意見なの?


妹「別に無理に変えなくてもいいと思いますけど」

どっちなの?


俺「その口調って、どんな感じに?」

例えばでいいんだけど


堀北「そうね。私は丁寧な口調が良いと思うの」


俺「丁寧な口調っていうと……堀北さんみたいな感じかしら?」

で合ってる?


堀北「そう!そんな感じ!」

ちょっと待って、堀北さんの口調が乱れてるって!


南城「良いと思う!」

そうなの?


仁科「私はどっちでもいいと思うよ」

そうなの?

そこまで気にしなくていいって事?


R「もっと大人の女性って感じの口調が良いと思います!」

ちょっと待ってRちゃん⁉

大人の女性ってどんなのか分からないんだけど⁉


U「私は丁寧な口調でいいと思います」

T「私もー」

Rちゃん、味方が居ないけど大丈夫?


Y「自然に話せる方が重要ですよ」

確かになぁ


俺「総合すると……できるだけ丁寧な口調で大人っぽく、且つ自然な感じってことかしら?」

語尾はもう「かしら」でいいかな

良く分からないし


妹「うん、もうそれでいいと思うよ」

じゃ、その方向性で


俺「それで、俺は誰に会えばいいんでしたっけ?」

妹「おにぃ……じゃなかった。お姉ちゃん!自分の事はオレじゃなくて私って言って!!」

あ、はい


俺「そ、そうね。気を付けるわ」

コレ、早々にボロでそうで怖いな……


妹「そうそう、気を付けてね」

バレたら、俺自身ヤバイからな

ちょっと会話するだけでも、常に気を付けてないとダメだな


R「会わなきゃいけないのは、文化祭実行委員会の人で多分もう少ししたらここに来ると思うよ」

ここに来るの?


俺「じゃあ、待ってればいいのかしら?」

少し意識して声と口調を身につけないとな


Y「そうです」

よし、それならその実行委員会の奴さえ凌げば何とかなるかな


南城「私たちはどうすればいいかな?」

堀北「一旦離れた方が良さそうよね?」

仁科「あ、それなら行きたいトコあるんだけど!」


妹「そうですね。先輩達には一度別行動お願いします。向こうからしたらですから」

そっか

ステージに出るわけじゃないもんな


南城「うん。その実行委員会の人が居なくなったら、戻ってくるね」

仁科「妹ちゃん、連絡よろしくね」


妹「はい。後でちゃんと連絡します」


俺「それじゃ、また後で会いましょう」


南城「うん!」

堀北「ええ」

仁科「早く行こっ!」


3人は仁科さんの行きたい出店へ向かって教室を出て行った

残された俺達は、実行委員会の奴が来るまでここで待機する


早く来てくれるといいな

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