第440話 実行委員会の子が来たけど……

妹達と待っていると、慌てた様子の生徒が突然入ってきた


「失礼します!実行委員会の者です!メンバーは揃いましたか?」

この子が実行委員会なのか


妹「はい。揃いました」


「では、確認します。ステージ使用の目的は?」


Y「バンド活動です」


「所要時間は守れるんですね?」


T「もちろんです!」


「注意事項に外部の人間をゲストに呼んでいるとありますが」


妹「あ、はい。こちらです。従妹のお姉ちゃんです」

聞いてない設定で紹介してくれる妹


「では、結構です。頑張ってください」

それだけ言って教室を出て行こうとする


妹「え⁉それだけでいいんですか?」

こら!

もういいって言ってんだから、良いんだよ

藪蛇になったらどうするんだよ!


「現在は絶賛緊急事態中なんで、アナタ達に割く時間が不足してまして」


U「何かトラブルですか?」


「はぁ、そうです。報告によると、とっても綺麗な名前持ちの方が3人も来ていて……その対応に追われてるんです。急ぎますんで失礼します!」

……もしかして?


R「あはは、わかりました。頑張ってください」

全員、同じこと思ったよね……


「では!」

律儀にお辞儀して教室を出て行った実行委員会の子を見送って


俺「えっと、呼び戻して平気かな?」

呼び戻したら、ココにさっきの子以外の実行委員会の子も来ちゃいそうだよね


妹「と、とりあえず……メッセージ送っておくね」

何て送ればいいか、少し悩んでから文面を打って送信する


Y「ええと、これからどうする?」

どうするって……まぁ、待機するか

もしくは、南城さん達とは別行動で見て回るか


妹「あ、返信来た。えっと……春香先輩が、実行委員会の子に事情聴取されてるって」

あ~~……

だよね!


俺「それじゃ、皆遊びに行ってきていいよ」

ここで留守番してるから、楽しんできな


妹「お姉ちゃんは?」

その呼ばれ方、慣れないな……


俺「ここで待ってるよ」

出歩いて変に目立ったら嫌だからな


妹「それなら私もここにいる」

いやいや!


俺「お前、文化祭楽しまないなんて勿体ないだろ」


R「私も、お姉さん?が一緒じゃないと!」

え?


Y「そうですよ。私たちは仲間なんですから」

そうは言ってもなぁ……


U「もし、お姉さん1人の時に誰か来たらどうするんですか?」

あ……


俺「そっか、その可能性があるのか……」

その場合は……走って逃げるか?


T「その恰好で1人でいたら、絶対に捕まりますよ?」

ゔ……


俺「困るな……」


妹「なら、一緒に行こーよ」


俺「そう、だな……」

出来るだけ人目に晒されたくないんだけどなぁ


妹「そ・れ・と、言葉遣いが乱れてるよ?」

あ、忘れてた……


俺「ごめんなさい」

教室から出たら、もう声出さないようにしよう


妹「それじゃ、まずは何処見に行く?」


U「ちょっとお腹すいたから、食べ物がいいな!」


妹「皆もそれでいい?」

頷いて返事をする


Y「ええ、どんな物があるのか楽しみね」

T「焼きそばとかいいよね!」

R「たこ焼きも捨てがたいね!」

へぇ、それぞれ気になってるトコがあるんだな


俺「それじゃ、順番に見て回しましょうか」


Y「はい、お姉さま」

うん?


T「いいね!私もお姉さまって呼ぶ!」

いや、ちょっと待って⁉


俺「流石にそれは」

恥ずかしいんだけど⁉


妹「お姉さま……?う~ん、私はお姉ちゃんでいいかな」

良かった

妹からお姉さま何て呼ばれたら、鳥肌立つっての


R「え~?いいじゃん!お姉さまお・ね・え・さ・ま!」

良くないけど……もう呼びやすいように呼んでくれればいいか


俺「いいから、行くわよ?」

なんか……アレだ

ゲームとかでやる役割ロールだって思えば……


妹「お姉ちゃんは、どこがいい?」

特にないなぁ


俺「任せるわ」

勝ってに決めてくれ


妹「それじゃ、じゃんけんね!」

俺以外がジャンケンをして、勝ったのはRちゃんだった


R「やった!それじゃたこ焼き食べに行こ!!」

はいはい


妹「それじゃ、3-3だね」


妹達の後ろを付いていき、廊下へ出ると

来た時よりも、更に活気付いていて……お祭りの空気感が増していた


俺「こういう雰囲気、楽しいね」

お祭り特有の、浮足立った感じ

ワクワクするな


廊下を少し歩いていると、やたら俺達に視線が集まっている気がする


これ、大丈夫……なのか?

俺「ね、ねぇAちゃん?」

妹をこう呼ぶのは、違和感しかないけど……他の呼び方が思いつかない


妹「え?あ、何?」

一瞬自分が呼ばれてるって分かってなかったな?


俺「なんか、やたら注目されてるみたいだけど?」

どうして?


妹「そりゃ、お姉ちゃんが……ううん。きっと気のせいだよ」

今何て言おうとした?


俺「気のせいって感じはしないのだけど?」

耳打ちして話してる間もジッと見られてる視線を感じるんだけど?


R「お姉さまが、美しいからですよ」

ちょっと待って?


俺「Rちゃん?」

何言ってるの?


R「ほ、本当の事ですよ?ね?」

いや、本当の事って……前提が間違ってるよね?


Y「そうね。着てる服にも原因があると思いますけど」

あ、なるほど!

この服のせいか!

でも、コレしか服無いしなぁ……


T「大丈夫ですよ!私たちがお姉さまをお守りします!」

何から守ってくれるの⁉

ていうか、何に襲われるの⁉


U「そうです!私たちが命に代えて、指一本たりとも触れさせません!」

う、うん⁉


俺「えっと、無理しないでね?」

別に命に代えるほどの人間じゃないからね?


いつの間にか、俺を守るように前後左右を囲んで歩く妹達

真ん中の俺が一番背が高いせいで、逆にめちゃくちゃ目立ってる気がするけど……


折角気を使ってくれたんだし……しばらくこのままに動くか

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