第395話 気持ちを切り替えて

佐々木「あの時の私が許されるなら……君が自分を罰する必要はないんじゃないかな?」


俺「それは……」


佐々木「君が君自身を苛んでるトコ見てると、私が辛いんだよ!好きな人が辛い思いをしてるのって、……辛いんだよ」

そんな勝手なこと……


俺「そんな事言ったってさ……俺は」

どうすりゃいいんだよ

消えてなくなるって、そう思って全部を捨てるつもりでいたのに


今更……今更、帰りたいだなんて……思いたくないんだよ

もう、疲れたんだよ


どんなに考えても、結論は出ないし

罪悪感だけが、どんどん増していく



佐々木「君は、自分の意思で消えようとしてる。私が言うのも何だけど、無責任なんだよ。そんな事したら、君が消してしまった人は完全にになるんだよ」

それは……


俺「分かってるけど……どうすれば、いいんだよ。どう償えばいいんだよ」

抹消した人は戻ってこないんだ


佐々木「君が覚えている事が、せめてもの償いになると私は思うな。だから、消えようとか考えないで……

頑張って、か……


俺「佐々木さんは、さ……俺が元に戻った方がいいの?」


佐々木「そりゃ、もちろん!……100%じゃないけど、その方がいいって思うよ」


俺「100%?」


佐々木「だって、このまま君をココに閉じ込めておけば……ずーーーっと、一緒に居られるんだもん!それは、私にとってとっても魅力的だよ。でも、それよりも君には元に戻ってほしいんだよ!だって、私が好きになったのは……楽しそうにしてる君だから!」

楽しそうにしてる……俺?


俺「そっか」

佐々木さんも、そうなんだな


南城さんも堀北さんも……俺に対して、そう言ってたな


俺「なら……頑張らないとな」

ただの名前無しmobだったのに、好きになってくれたんだ

その想いに応えないと、な


なんか、思考が名前持ちみたいになってきてるな



まぁ、いいか


佐々木「じゃあ!」


俺「うん。何とか戻れるよう努力するよ」

でも、俺1人じゃ難しいだろうから


俺「手伝ってくれる?」


佐々木「もちろん!」









とは言ったものの……どうやって元に戻ればいいんだ?


俺「で、そうしよっか」

ここは、佐々木さんの中だから佐々木さんなら何か思いついてるかな?


佐々木「どうしようね」

え?


俺「まさか、ノープラン?」

あんなに引き留めてくれたのに?


佐々木「うん。だって、こんな事初めてだし!何もかも分からないから、一緒に考えよ!」

前向きだなぁ


俺「そっか、そりゃそうだ……。よし、考えよう」

見習わないとな


佐々木「おーー!」

でも、どうすればいいのか……全く皆目見当もつかないな



俺「えっと、まずは……ここから出て、いつもの部室に行く方法を探すか」

佐々木さんの精神?の中から出て、あの狭間の部室に行くのが順番的に良さそうかな


佐々木「そうだね。大分君の心も落ち着いてきたみたいだし、そろそろ戻っても大丈夫そうかな」


俺「それって、すぐできるの?」

なら、ちゃちゃっとやってほしいな


佐々木「どうだろ?でも、やってみて出来なきゃ他の方法考えよ!」

そう言って、佐々木さんは目を瞑り深く深呼吸する


緊張しつつ、結果を待つ





佐々木「えい!!」

気合一発、声を上げたが……

見た感じ、何も変わってない?

暫くそのまま待って、佐々木さんが目を開けるのを待つ


俺「えっと……」

成功した?

目を開けた佐々木さんへ確認すると


佐々木「……えへへ、ダメっぽい」


てへぺろ、というのを初めて間近で見たな……


今まで俄かに信じられなかったが……


そうか、確かに可愛いな

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