第383話 後悔しても

俺「よう」

手を軽く上げて挨拶をする


四季島「そうか、お前……話は後だ。すぐにココから撤収する!処理班は痕跡を消せ!」


処理班「はっ!!!」

四季島の後ろから白衣を纏った科学者っぽい人達が現れる

すぐに散開して床を食い入るように見つめ、作業を始めた


四季島「皆、すぐにココを離れる必要がある。ついて来てくれ」

それだけ言うと四季島は振り返って部屋を出て行く


俺は困惑する皆と一緒に、武将集団に守られながらこの場を後にした





ビルを出ると、四季島いつもの車が今日は3台停車していた


四季島「事情を聴きたい。お前は一緒に乗れ」

俺に対して同じ車へ乗るように言う

勿論、事情は説明するつもりだからいいけど


妹「あ、私もそっちの車いいですか?」

みんなと一緒でもいいんだぞ?


四季島「ああ、いいとも。助手席へ乗ってくれるかい?」


妹「はい」

まぁ、いっか


俺と四季島と妹が先頭車両に乗り、南城さんと堀北さんは2台目に乗る

東雲さんと仁科さんは3台目に乗り込む

全員が乗るとすぐに車は発車する


最後尾は武装集団の人が乗り込んだバンだ

もし追っ手が来ても直ぐに対処できる様に、って感じかな?







四季島「それで、確認なんだが……お前Aなんだよな?」

は?


俺「当たり前だろ?」

てか前に名前持ち化した時の俺の事、お前は知ってるだろ?


四季島「そうか……ずいぶんと印象が変わったな」

そりゃ、名前無しから名前持ちだったら印象も何も……


俺「それで、今回の事なんだが……どっから話そうか」

買い物に来た所から話すべきか?


妹「あ、あの!」


四季島「なんだい?」


妹「ちょっと駅の方へ寄ってほしいんです」

駅の方?


俺「どうした?」

買い物なら、もう今度にするしかないぞ?


四季島「分かった」

運転手「畏まりました」

俺達の乗った車だけ、進路を駅の方へ変える


後ろを走っていた皆の乗った車は、追従するわけではなく

多分、四季島の病院の方へ向かって行った


四季島「それで、具体的には何処に向かえばいいかな?」


妹「えっと、このコインロッカーの所に」

あ~、そっか

それの回収を言ってくれてたのか


俺「それなら、アッチの方だ」

指をさして、ロッカーのある方角を教える


運転手「畏まりました」

俺の曖昧な指示にも関わらず、目的のコインロッカーに真っすぐ向かい

一時停車すると、妹がすぐに下車して荷物の回収に向かう



よし、今なら言えるな


俺「四季島……」


四季島「なんだ?」


俺「俺……俺さ。名前無しを抹消したんだ」


四季島「っ⁉そ、それは本当なのか?」

信じられない、か?


俺「ああ、気に喰わないって理由で……邪魔だって思ってさ」


四季島「そうか、それも可能なのか……まぁ、お前の事だ。他に手が無かったんだろ?」

買い被りすぎだよ


俺「どうかな?あの時は、頭に血が上ってたからさ」

思いつかなかった……いや、考えてなかったな

他の方法があるなんて、微塵も思ってなかった


四季島「そうか」


俺「お前は怒らないんだな」


四季島「何で怒るんだ?お前は、それを悔いているようだが……。だけどな、お前がそうしなければ誰かが傷を負った。そうだろ?だったら俺はお前の選択に感謝こそして、お前を責めるような事はしない」

そうか……

そういえば、四季島ってこういうヤツだったな


くっそ……

あ~、コイツはモテるわ……

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