第370話 パスタ専門店

仁科「ふぇ!?」

どうしたんだ?

何変な声出してんだ?


俺「どうしたの?」

隣に座っただけで奇声を発するなんて……誰の影響だろうな


仁科「ど、どうして私の隣に?」

そりゃ、もちろん


俺「ここが一番いいと思ったからだよ」

一番楽できそうだからね

左右に南城さんや堀北さんがいると落ち着いてご飯食べれなそうだし

かと言って奥の東雲さんの正面はイヤだからね

結論は通路側が一番楽って事だ


仁科「一番……良い?」

うん


俺「そうだよ」

どうしたんだろ?

イヤだったとか……ないよね?


俺が座った後ジャンケンを再開する3人は、俺の正面の席を狙っているみたいだ

何でそんなに拘るのかなぁ


ジャンケンの結果、俺の正面には妹が来た

隣の仁科さんの正面は堀北さん、一番奥の東雲さんの前が南城さんになった


メニューは色々あるけど、どれも東雲さんの言った通り2000円以下だ

これなら安心して頼めるな


えーっと、どうしようかなぁ

ミートソース、ボロネーゼ、ペペロンチーノ、明太子、ボンゴレ、カルボナーラ……


俺「迷うなぁ」

やっぱ定番のミートソースかな

でも、カルボナーラも美味そうなんだよなぁ


東雲「私は前来た時と同じにしようかな」

そっか

東雲さんならおススメ知ってるかも?


俺「前は何頼んだの?」

感想とか聞いておけば、何かしら参考になるかもしれないし


東雲「『店主の一押しパスタ』だよ」

そんな商品あった?

メニューを隈なく確認するが、そんな文字はどこにも見当たらない……


俺「メニューにないけど……?」

その商品、もう今は無いんじゃないの?


東雲「そりゃそうだよ!だって裏メニューだもん」

裏メニュー⁉

そんなのあるのか⁉


俺「内容によっては、俺もそれにしようかなぁ」

苦手な物が入ってなければ、一押しにしよう


東雲「うん。おススメだよー!」

そっかー

なら、店主の一押しパスタにしようかな


店主「東雲さん!!勝手に裏メニューを広めないでくれるか⁉」


東雲「え?ダメなの?」

友達に教えるのは、セーフじゃないかなぁ……なんて、ダメかな?


店主「そんな調子で店の外で言いふらされたら困るんですよ!」

店内は大丈夫なのか、じゃあ問題ないな


東雲「大丈夫ですよ!このお店の事は誰にも話してないですから」

それはそれで、どうなの?


店主「いや、宣伝はしてくださいよ!そういう約束だったじゃないですか⁉」

宣伝の約束?


東雲「だって、裏メニューだから口外しないでほしいって」


店主「だから、他のメニューも食べてくれれば」


東雲「え~、だってアレが一番美味しいだもん」

裏メニューが一番美味しいって、お店的にいいのか?


店主「他の商品も美味いから、試しに食べてってくれないと困るんですよ!」

宣伝の為、か


東雲「う~ん、じゃあ今日は他のにしようかな」


店主「是非、そうしてください。じゃないとウチの店潰れちゃいますから……」

ボロッボロなのは、何か訳があるって事か


俺「何で東雲さんにそこまで?」


店主「東雲さんは、ウチで食事した事は言ってくれたのにに一切触れてくれなかったんですよ……そのせいでファンの間で不味かったんじゃないかって、噂が流れて……客足が増えるどころか減る一方だ……この状態が3か月も続けば店を畳むしかないんだよ」

か、可哀そうに……


東雲「だって、味について話そうとするとメニューの話になっちゃうし……」

そんなに不器用なの⁉

普通に『とっても美味しかったです』とか『また行きたいです』とか言えば良いだけな気がするけど……?


店主「今日こそは、ウチの通常メニューを食べて感想を広めてもらいますからね⁉」

やる気漲ってるな……


じゃあ、俺も普通のメニューにするか

店の味を知るなら、やっぱり定番で一番人気のミートソースがいいかな


さて、皆は何にしたのかな?

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