第369話 イタリアンの店?

お店に到着した

イメージしていたのは、キレイな外観(レンガや蔦とか)に3色旗を掲げてたんだけど……


外観は、お世辞にもキレイなんて言えない……むしろ汚い

ボロボロの布が揺れてるけど、もしかして……3色旗のなれの果て?


怖っ!!


東雲「ここ、美味しいんだよ!」

本当に美味しいの?


堀北「ここ、やってるの?」

閉店してそうだけど……


東雲「もちろん!さ、入ろー」

臆せず入店する東雲さんに続いて、俺達も恐る恐る続く


店主「いらっしゃいませー……って東雲⁉」

なんか、心の中で『何しに来やがった』って言ってそうな反応だな

東雲さん、何したんだよ……


東雲「お久しぶりでーす!また来ちゃいました!」


店主「きょ、今日は何のロケだ?また変なドッキリか?ウチはもう取材拒否してるんだぞ⁉」

食べ物屋さんにドッキリしかけたの⁉


東雲「あれ?もしかして知らないんですか?私、もうアイドルじゃないんですよ!」

“今は”ね


店主「……は?ハハハハハハ!」

壊れた?


店主「自業自得だな!人の店メチャクチャにした報いを受けたんだろ!」

あ~、アイドルを自主的に休止してるとは思わないんだなぁ

それだけ、炎上してたって事かな


東雲「報い?違うよ?」

温度差激しいなぁ……


店主「へ……?」

ポカーンとしてるな

よっぽど嬉しかったんだろうなぁ


東雲「私、学校に行きたいからお休みしただけだから」

その発言を聞き、膝から崩れる店主さん


店主「もう、終わりだ……首吊って死のう……」

自殺⁉


東雲「え⁉なんで⁉私達ご飯食べに来ただけだよ⁉」

それが原因なんだよ


店主「ご、ご飯?」

そんな『信じられない事聞いた!』って声出さなくても……


東雲「席テキトーに座っていい?」

奥の方へ勝手に進む東雲さん


店主「ど、どうぞ」

何が起きたのか理解しきれないまま、会話が進む無力感を味わってるんだろうなぁ

俺もよく味わうよ、それ


奥にある6人掛けのテーブル席へ行き

東雲さんが一番奥へ座り、その後全員が牽制し譲り合って中々座らない


東雲「どうしたの?早く座りなよ!ほら、豊~」

仁科さんが東雲さんの隣に呼ばれ、仕方なくそこへ座る


残る席は仁科さんの隣と、正面3席


さて、それじゃ仁科さんの隣にでも座るか

俺が仁科さんの隣に座ろうとすると、何故か妹に制止される


妹「おにぃが座るのは最後だよ!」

なんで⁉


俺「いや、俺は」

仁科さんの隣が一番楽そうでいいんだけど……

もしくはその正面かだけど


妹「ここは、もうジャンケンするしかないですね」

仁科「ズルいよ!!私も混ぜてよー!」

妹「もう座っちゃった人はダメでーす」

仁科「そんなぁ……」


これ、黙って仁科さんの隣に座れば解決するんじゃない?

でも、それを許してくれそうにないよね……


俺「よし、それじゃジャンケンするか」


南城「え?」

堀北「君も?」

妹「おにぃ?」

え?何?

ジャンケンして座る場所決めるんでしょ?


俺「ほら、じゃーん・けーん・ぽん!」

掛け声と共に手を出す

俺はパー、妹はグー、南城さんもグー、堀北さんもグー

これで俺の一人勝ち!!


ジャンケンはタイミングで決まる

何の準備も無しにいきなり手を出させると、出しやすい手を出してしまう

そう、これぞ必勝とまではいかないが勝つ確率の高い方法!




さて、座るか!


俺は勝者の特権で仁科さんの隣に座った

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る