第332話 やっと、帰宅

家に帰ってきて、とりあえずキッチンへ向かう


冷凍庫へアイスを入れないといけないからな


俺「母さん、ただいまー」


母「おかえり、遅かったわね」

まぁ、いつもよりはね


俺「ちょっと部活に顔出してたんだよ」

色々あってさ

冷凍庫にアイスを入れながら答える


母「部活?あんた部活なんて入ってたっけ?」

もしかして、母さんには言ってなかったっけ⁉


俺「あ、うん。殆ど活動してない文芸部なんだけど」

だって部員って俺とあの子だけで、2人とも幽霊部員だし


でも、あの子自称幽霊部員だよなぁ……

だって、いつ行っても部室にいるし


母「ふ~ん、文芸部ねぇ。何書いてるの?」

書く……?


俺「いや、何も」

書かなくていいって話だし


母「文芸部なのよね?」


俺「うん」


母「普通、何か書くわよね?」


俺「廃部寸前で、部員はほぼ0、辛うじているのは幽霊部員だけ」

これが普通の部活なわけないよね?


母「あんた、なんでそんな部活入ったの?」

入った理由?


俺「最初は南城さん達から逃げるため。今日は転校生から隠れる為に行ってた」

東雲さん、どの程度したら諦めてくれるかなぁ……


母「転校生?」

珍しいよねー


俺「そう。今日うちのクラスに転校してきたんだ。……東雲さんって女子」

しかも俺の命を狙ってる刺客


母「……また名前持ちの子?」

まぁ、そういう反応になるよね……


俺「うん……。夏休み最後にプール行ったじゃん?」


母「そうね。4人も女の子侍らせて」

それは語弊がある言い方だなぁ

4人のうち、1人は妹だから!


それに侍らせてたんじゃなくて、と言った方が正確だよ⁉


俺「その時、知り合ってさ。まさか転校してくるとは思わなかったけど……」

だって、もう2度と会うことはないと思ってたし


母「その子から隠れるために?」

そう!


俺「まさか、転校生に狙われるとは思わなかったからさ。急遽部室に匿ってもらいに行ったってわけなんだ」

それで、こんな時間になったんだよ


母「へぇ、あんたってホント」

トラブルに見舞われる、でしょ?

自覚してるって、流石にさ


俺「呆れるよね」

こう、毎回毎回トラブル続きで

慣れてきてる自分が怖い……


母「そうね……」


俺「あ、そうだ。妹は?」

アイス買ってきたって伝えとかないと


母「部屋にいるわよ」

そっか


俺「了解、ちょっと伝言あるから行ってくる」


母「あ、じゃあ30分くらいでご飯になるって伝えてくれる?」


俺「はーい」



階段を上がり、妹の部屋のドアをノックする


妹「どーぞー」

部屋の中から妹が返事をした、って事は普通に入って大丈夫そうだな


俺「妹よ、兄をパシリにするとはいい度胸だな?」

部屋に入ると、妹は机に向かって何か書いていた


妹「え?おにぃ⁉」

そうだ、兄だぞ?


俺「どうした?」

そんな驚いて


妹「え?もう帰ってきたの⁉」

ずいぶんな言いようだな


俺「帰りが遅いって連絡してきたのはお前の方だろ?」

なのに、…だと?


妹「早かったね!」

そうでもないぞ

何せ、アイスを買うためにコンビニをハシゴしたんだからな


俺「ちゃんとアイスは買ってきてやったから、感謝して食べろよ?」

ふふふ、残すなよ?


妹「あいす……あ、アイスね!ありがと!」

お前……


俺「まさか、俺に買いに行かせておいて……忘れてやがったのか?」

わざわざ買ってきてやったのに⁉


妹「忘れてないよ⁉ただ、本当に買ってきてくれるとは思わなかったから」

コイツ……


俺「そうか、買ってこなくて良かったのか」

なら、もう何も買ってきてやらねぇからな?


妹「おにぃ、ごめん!ごめんってば!」


俺「ったく、ちゃんと後で食えよ?お前の為に買ってきたんだからな」

じゃないと、俺の苦労が無駄になるだろ?


妹「うん!ご飯の後に食べるから!」

うむ、なら許そう


俺「そうそう、後30分くらいで飯だってさ」

母さんからの伝言はちゃんと伝えたし、もう用はないかな


妹「はーい」

よし、それじゃ俺は部屋に戻って着替えるかな


俺「それじゃ、後でな」






自室に戻って部屋着に着替え、30分あるなら…とレコーダーとテレビに電源を入れる

1話くらいなら確実に見れるし、何みようかなぁ……


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