第238話 告白ー2

教室に戻ってきた俺を出迎えたのは、心配そうな表情をした南城さんだった

堀北さんは席を外しているのか、この場にはいなかった


南城「その、どう…だった?」

そりゃ、気になるよね


俺「えっと……」

普通に断ったって、この場で言っていいのか?


いや、ココ教室ではダメだと思う……

後で、ちゃんと話そう


俺「後で報告するね」



南城さんにはそれ以上何も言わず、自分の席に着いて次の授業の準備をする


少しして堀北さんが教室に戻ってきて南城さんと話し、こっちをチラっと見てそれぞれ自分の席に座った


そして、予鈴が鳴り教室に居た皆が席につくと……1つだけ空席があった


Hさん……まだ戻ってきてないんだな


Hさんとよく一緒にいる女子が俺の方を一度見て、しかし何も言わずに前へ向き直った



先生が来た


Hさんの友達がHさんは体調不良で保健室に行っていると言った

先生は特に追及することもなく、出席簿に何かを書き込んで授業は始める




俺は、自分勝手なのかもしれないけど……Hさんの事が心配だった

教室に戻って来れないのは、俺が断ったのが原因だけど


やっぱ……少し心配だな






授業の内容の殆どが夏休み前の復習だったのは、上の空だった俺にとってラッキーだったな


チャイムが鳴り授業が終わると、Hさんの友達の一人が俺の所へやってきた


「Hちゃんは?」

そんなこと俺に聞かれても……


俺「先に戻ってって言われたから、その後は知らないよ」

今も旧校舎にいるのか、それもと移動したのか

知る由もない


「そう……」

Hさんの友達は、それだけ言って教室から出て行った

その後を追うように、もう一人のHさんの友達も教室を出て行った





さて、次のの相手に会いに行くかな




廊下の突き当りにある教室に入ると、そこには一人の女子が佇んでいた


「あ、来て……くれた!」

胸の前で手を組んで祈るような体勢の女子が俺に話しかける


「手紙、読んでくれたんだよね?」


俺「うん」


「よかった……あのね、私ね!」

前のめりになって話そうとするこの子は……誰だろうか


俺「あのさ、君……誰?」

全く見覚えのない人物だった


「え……?私だよ!?」

いや、誰?


俺「ごめん、分からないんだけど……」


「そんな……えっと、本当に覚えてない?」

覚えてないか、って言われてもな

見覚えがないんだよ


俺「悪いけど、覚えてないよ……何処かで知り合ってる?」

だとしたら、ホントに申し訳ないんだけど……


「そっか……本当に覚えてないんだね……なら、改めて自己紹介しなきゃだね」

是非そうして欲しいな


「私、Iだよ。小学校からずっと同じ学校だったんだよ?」

Iさん……?

えっと、小学校からって……そうだっけ?

全然記憶にないんだけど


俺「ごめん。知らなかった」


「そっか……しょうがない、のかな。同じクラスだった事なんてあんまりなかったし」

別のクラスまで把握はしてないからなぁ


俺「そっか。それで、Iさん」


I「うん、何?」


俺「手紙には俺の事を好きだって書いてあったけど」


I「うん。大好きだよ」


俺「なんで?」


I「なんで、って……う~ん、えっとぉ、なんて言えばいいかなぁ……A君がA君だから、かな」

俺が、俺だから?

意味分からない……


I「ねぇ、A君ってさ……あの名前持ちネームドと付き合ってるの?」

それは、南城さん達のことかな?


俺「ううん、だよ」


I「そっか!それは良かったよ……でも、A君さ。なんで、名前持ちと友達ごっこしてるの?」

友達、ごっこ?


俺「いや、俺は」

ごっこじゃなくて、ちゃんと友達だと思ってる


I「おかしいよね?あのA君が名前持ちと仲良くしてるなんて……ありえない」

こいつ……何言ってんだ?


I「あんなに名前持ちを憎んでいたのに……どうしちゃったの?」

今は憎んでなんか……なんで、俺が名前持ちを憎んでいたのを知ってるんだ⁉


I「ねぇ!?なんで!?あの憎しみは何処にいったの!?私達名前無しmobを何とも思ってない、名前持ちネームドへの憎しみはどうしちゃったの?」

このIって子は……俺の過去を知ってる!?

小学校から同じ学校だった……?なら、あの事も知ってるだろうけど

それでも、俺の心情まで知ってる人なんて……


思い出せ、接点があるとすれば……あの時だ

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