第236話 3通のお手紙

南城「ねぇ、あれってラブレターだよね?」


俺「どうだろ……まだ中身確認してないから……」

100%本物かも分からないわけだし!


堀北「なら、今確認してくれるかしら?」

えっと……二人の前で?


俺「は、恥ずかしいなぁ……」

なんて言っても、ダメだよね


堀北「大丈夫よ、中身にはそんなに興味ないから」

そ、それなら何でこの場で読めと?


俺「と、とりあえず……どっか隅っこで読みたいな」

どうせ読むなら、人目のない所で読みたいんだけど……


南城「うん。それじゃ移動しよ!」

堀北さんと南城さんに両側を抑えられて移動する

小さな声で「チッ、両手に華かよ……」とか聞こえたけど、違うからな!?

連行されてるだけ!!

俺がデレデレしてるように見える!?


廊下の突き当り、空き教室の前という結構な距離を移動した


南城「この辺まで来れば大丈夫かな?」


俺「う、うん」

そうだね!近くに誰もいないからね!

元々いた奴らは俺達が来て逃げてったからね!?


さて、読むか……

俺「えっと……なになに?」


うん、これは何とも味のある字体だな……

筆で書かれた文字っていいよね!

でもね、コレじゃあ……読めないよ!?

達筆すぎだよ!!

もしラブレターだとしたら失敗だよ!!

だって、俺には読めないもん!!


南城「なんて書いてあったの?好き?愛してる?」

いや、うん……えっと


俺「読めない……」

これ、見せちゃっていいよね!?

南城さんに手紙を見せると


南城「落書き?」

う~ん……南城さん的には文字とか手紙という認識すらされないのか


堀北「達筆な文字ね……学生で此処まで書けるなんて、凄いわ」

もしかして、堀北さんは読めるの!?


俺「なんて書いてあるか、分かるの?」


堀北「全部はちょっと分からないわ……でも、この辺とこの辺ならかろうじて読めるわ」

読めるのかぁ……

どこで勉強したんだろ


俺「何て書いてあるの?」


堀北「読んでいいの?」

俺は読めないからね!


俺「うん、お願いできるかな?」


堀北「えっと、まずココなんだけど……あなたが好きですって書いてあるわね」

マジかよ!?

こんな読めない手紙……絶対イタズラだと思ってた


堀北「ここは……陰ながら見つめています。ね」

てことは、直接の接点はあんまりない感じかな


堀北「え……どういう事?」

なんだ?


南城「春香、どうしたの?」


堀北「ここには……あなたの幸せを願っています。さようならって」

さようなら……?

意味分かんないんだけど!?


俺「どういう事?」


堀北「分からないわ……この差出人は君の事が好き、だけど陰ながら君が幸せになる事を願っている……?」


南城「そっか……その子はソッチ側なんだね」

なんか南城さんだけ理解してる!?


南城「ちょっとだけ、分かるよ……その子の気持ち」

そう言う南城さんは、少し残念そうと言うか寂しそうな表情をしていた


俺「えっと……?」


南城「その子は、多分だけどね。こう思ったんだよ『自分じゃ君を幸せには出来ない。だから影から君を応援するよ』って」

なんだ、それ……

それでいいのか?


堀北「そう……なら、その子はとっても“イイ子”なのね」

良い子……?


南城「それじゃ、次の手紙読んでみて」

あ、うん


俺「じゃ次はコレかな」

机の上にあった3通のうちの2通目

封を開けて中身を確認する


おお、丸文字だ!

ちょっと読み辛いけど、でもちゃんと読めるぞ!


内容は……う~ん?

なんだろ、コレ

分刻みで俺の行動が書き込まれてるんだけど……

これは、どういう意味かな?


最後に

いつも貴方を見ています

って……怖いよ!!


俺「これはラブレターじゃないな……」

コレはストーカー的なアレだ

うん、差出人に絶対に会いたくないやつだ

俺の事以外何も書かれてないし、これの差出人は誰か分からないな


南城「そうなの?」


俺「読めば分かるよ」

手紙を南城さんへ渡す


南城「ひぃっ」

珍しく南城さんが悲鳴を上げた


俺「気を取り直して、最後の手紙開けよう」

なんだろ……二人の視線が可哀そうな人を見る感じになってきてない?


まぁ、いっか……

えーっと、最後のは


ちゃんと読める!



あなたが大好きです。付き合ってください!?


おお!?ちゃんとしたラブレターじゃん!


えっと

5時間目と6時間目の間の休み時間に廊下の突き当りの空き教室で待ってます……

ってここか!?


俺「これは、ちゃんとしたラブレターだったよ……」


南城「そっか!よかったぁ」

良かったの!?


俺「えっと、5時間目と6時間目の間に来てほしいって書いてあるんだけど……」

行っていいのかな?


堀北「そう。なら私達は教室で待ってるわ。君がどんな選択をしても、私たちは受け入れるから……君の気持ちを最優先にしてね」


南城「そうだよ!私達の事は忘れて、その子をしっかり見てあげてね!?じゃないと許さないからね!」


俺「え?えぇ?」


堀北「ふふ、しっかりね」


南城「あ、そろそろ教室戻らないと!!次の授業遅刻しちゃうよ!」

うえ?!

もうそんな時間か……


一先ず手紙は読み終えたから、教室に急いで戻る


そして……俺の机の上には、予想してなかった光景が……

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