第222話 想いと告白

その後も、参加者の人達は今は亡き相手や余命短い相手への愛を叫んだ

ペットの猫やオウム、幼馴染みや祖父母、アニメキャラetc.……


そして、南城さんの番が回ってきた


南城「えっと、私の好きな人は……名前無しmobなんです。もちろん告白はしました……でも、付き合ってはくれません。私は、彼の心が欲しい。だからここで…この場にいる彼へ伝えます、私の想いを」

名前持ちネームドなのにmobを好きという、耳を疑うことを言った南城さんに会場中が注目する

そして、この会場に名前持ち南城さんの想い人が来ているという……まるで犯人探しでもするかのように周囲を見回す輩がチラホラ見つかる

恐れていた事態が発生した……

出来るだけ大人しくしていよう


南城「いつか!絶対に!振り向かせるから!覚悟しててねぇーーーーー!!」

ヤメテー!!

指ささないでー!!

見つかるから!!


東雲「アナタ、大変そうね」

そんな憐れむくらいなら、助けてくれないかな!?


会場がざわついているが、言いたい事を言った南城さんは満足そうに下がった

そして、交代して前に出て来たのは堀北さんだ


堀北「私が好きになった人は……彼は、平凡な名前無しでした。そんな彼を好きになって、いっぱい迷惑をかけてしまいました。でも、迷惑をかける私をいつも許してくれる。そんな優しい彼を、私はもっと大好きになりました」

会場が更にざわつく

そりゃそうだよな……名前持ちの二人が名前無しを好きになったと告白したんだから……


堀北「大好きよ、他の子に負けないくらい。だから、私を選んで!」

だーかーらぁ!!

こっちに向かって言うなぁー!!


堀北さんが下がり、今度は仁科さんが前に出る


仁科「えーっと、私は……二人ほどその人の事好きかって言われると、自信ないかな……でも、彼は私の趣味と将来の夢を理解してくれて。そんな彼の事を好きになって、この気持ちを大事にしていこうって……そう決めたから、だから二人に負けないように頑張ってみるね」

会場にいた人の約半分は仁科さんの言ってることを理解できていない、と思う

でも、察しのいい人は……気がついただろうな

この名前持ちの3人が好きな奴は同一人物だということを……!

もし、それが俺だとバレたら……ヤバイな


仁科「大好きだよ!もし、私を選らんでくれるなら……世界で一番甘い未来をプレゼントするよ!!」

仁科さんなりに考えて、精一杯の言葉を送ってくれたんだろう


顔を真っ赤に染めて下がっていき、最後の参加者……妹の出番が回ってきた


妹「…………おにぃが、大好き!たとえ名前持ちネームドの先輩達だろうと、絶対に渡しません!私は名前無しだし、妹だけど……今までおにぃの一番近くにいたのは私です!これからもそれは変わりません!おにぃの一番は……私です!!」

うん……全員、分かっててやってるだろ⁉

実は全員俺の事嫌いなんじゃないの!?

殺しにきてるよね!?


妹「例え兄妹でも、私は一番おにぃが好き!!誰も選ばないで、私をそばに居させて!妹としてでもいい!家族愛でもいい!だから、遠くに行かないで!ずっと一緒にいてよ、おにぃ!」

…………少しは俺の言ってること、理解してくれたみたいだな

俺にとって妹はあくまで妹だ。大事な家族だ


それを理解してもなお、俺を好きだと言うのか

絶対に苦しいだけだろ、辛いだけだろ

たとえずっと一緒に居ても、その愛は報われない


それを理解できない程、愚かではないはずだろ

なのに、何でそこまでするんだよ




こんな冴えない、優柔不断でダメな兄を

どうしてそこまで想えるんだよ?


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