第215話 いざ、ステージへ

イベント会場のステージに着くと、ちょうど始まるところだった


マイクを持った司会の人がステージの中央で手を振り上げる

「ようこそお越しくださいましたーーーー!!」


観客の人数もそれなりに多く、ところどころで変な盛り上がりを見せている


「今年の夏も残すところあと数日ですが!!毎年恒例!!」

へぇ、毎年やってたのか

相当な人気企画なのかな


「ミス・水着コンテスト!!開催しま~~~~~~~~~す!!!!」

「うおぉぉーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」


ミス・水着コンテスト……?


「今年も事前エントリーで申し込みされた方々と、当日の飛び入り参加の方々で『今年の夏、一番の美女』を決めていきます!」


「まずは事前エントリーをされた方々の入場です!」

司会が大きな身振りで合図をし、ステージの袖からぞろぞろと水着姿の女性たちが現れる


「さぁ、ご来場の皆様の中で「私こそ!」と思われる方はステージへお上がりください!参加資格はたった1つ、水着を着用された女性です!!」

こんなの事前エントリーの人が優勝するに決まってるんだろうし、たまたま今日来た人は参加しないだろ……

案の定、誰一人ステージへ行こうとする観客はいない


「本日のテーマは……ズバリ“愛”です!!愛する人、家族、ペット、キャラクター、なんでもありです!アナタの愛が、どれだけ大きいか証明するチャンスです!!」

諦めて進行し始めたな

終わりの時間も決まってるだろうし、観客から参加者がいなくても進めるしかないんだろうな

残念そうだけど……


ぼーっとステージを眺めていると、誰かがステージの方へ上がろうとしていた!?

物好きもいたもんだなぁ

なんか……見覚えある後ろ姿だなぁ……ハハハ、そんなバカなこと……


どうみても、南城さんだ

なんで参加してんの!?

誰も止めなかったの!?


堀北さんとか仁科さんは止めてくれると思ったのに!?


声をかけようと横を見るが……そこには堀北さんも仁科さんもいなかった。

いや、誰もいなかった……妹さえ居ないとは、どういう事だ⁉

辺りを見回して探すが、どうやら近くにはいないみたいだ


「おおっと!飛び入り参加者だ!!しかも名前持ちネームドの方が3人も!!そして、もう一人名前無しmobの少女だ!」

ん!?3人って、まさか……

ステージを見て、心底後悔した


ステージの上には南城さん、堀北さん、仁科さん

そして妹まで上っていた……


「飛び入り参加の方々に拍手を!」

観客によって大きな拍手の音が響く


「ではこれより、第23回ミス・水着コンテスト開催します!!」


その宣言で、またもや会場には拍手の音が響き歓声が上がった






その中で、俺一人だけが立ち尽くしていた


このコンテストが終わるまで、ここに居なきゃいけない


という事実に心が折れかけてしまう


俺の予想が正しければ……

南城さんは、ステージの上からでも俺に声をかける

そんな事になれば、観客の人達からどんな視線を向けられるか……

想像しただけで胃が痛くなる


これは避けようがないことだろう


そして、もっと最悪の事態がある



それは……

堀北さんや仁科さん、妹も俺に声をかけてくる可能性がある!!


これは、できれば避けたい!回避したい!!

何とかして、俺がみんなの意中の人だという事を隠さなければ


嫉妬にかられた男達から、襲われかねない!

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