第202話 東雲さん再び

何故か、東雲さん達が居た!?


俺「何してんの!?」


東雲 「君に会いにきたのよ。嬉しいでしょ?」

飲み物片手に何言ってんだ?


俺「全っっっ然、嬉しくない」


東雲「なんですって!?私がわざわざ会いに来たのに嬉しくないですって!?」


俺「むしろ誰が喜ぶんだよ!?」


東雲「そんなの決まってるじゃない!私のファン達よ!!」

こんな奴にファンがいるのか!?


俺「俺はファンじゃないんだから、喜ぶわけねーだろ」


東雲「なら、今すぐなりなさい!私のファンとして、認めてあげるわよ」

認めるも何も……


俺「ヤダよ」

なりたくないもん


東雲「なんでよ!?」

なんで、ってそんなん


俺「何もメリット無いだろ?」

むしろこれ以上名前持ちと関わるとデメリットにしかならないんだよ


東雲「メ、メリットですって!?あんたアイドル何だと思ってるのよ!?」

アイドル?


俺「アイドル?学園のアイドルとか、そういうのは学校内だけにしておけよ」

恥ずかしいやつだな


東雲「はぁ!?もしかしてアンタ、私の事知らないの!?」

今日初対面だぞ!?


俺「知ってるわけないだろ」

何言ってんだよ


東雲「まさか……私の事を知らない男子がいるなんて……信じらんない!」

どんだけ自意識過剰なんだよ!?


東雲「いい?私はね、正真正銘のアイドル。東雲アイよ!」

誰だ、それ……?


俺「えっと……堀北さん、知ってる?」


堀北「いえ、知らないわ。それより、あんまり騒がないでくれるかしら?」


東雲「そんなっ……嘘よ、嘘に決まってるわ」

堀北さんは、そんな嘘吐かないよ


堀北「嘘じゃないわよ。それと煩いわよ」


東雲「な、ならアナタは!?」

仁科さんに声をかける自称アイドル東雲さん


仁科「一応は知ってるけど……」


東雲「ほら見なさい!ちゃんと私がアイドルだって知ってる人もいるのよ!」

そ、そうなのか……

まぁ、仁科さんが知ってるって事はアイドルなのか


仁科「今世紀最大の炎上アイドルって、呼ばれてる人よね」

何それ……


東雲「違っ、アレは私が悪いんじゃないの!勝手に周りが騒いだせいなの!」

炎上したのは事実なのか……


仁科「それで、何で炎上さんがここに来てるの?また炎上したいの?」

もう、そっちが名前みたいなモノなのか


東雲「炎上って呼ばないで!今日はオフだから泳ぎに来ただけなの!もう炎上したくないの!」


仁科「もう手遅れじゃない?」

既に、大声で自分の身元を叫んだ後だ

野次馬やらファンやらがかなりの数集まってきている


東雲「え?……はっ!?」

やっと気づいたのか……

人が集まり過ぎて、南城さんと妹は戻って来れそうにないな

という事は、仁科さんと堀北さん頼みだな


東雲「やっほー♪みんなのアイドル!東雲アイだよー!」

営業スマイルを振りまく東雲さん

そんな東雲さんをパシャパシャとカメラのフラッシュが照らす


本当にアイドルなのか……


仁科「なるほどね。こうやって炎上するのね」


俺「どういう事?」

普通に挨拶してただけに見えたけど……


仁科「コレ見て」

スマホの画面を見せてくる仁科さん

そこには呟く系のSNSの画面が表示されていた


鉄ンチ

プールで東雲アイを発見!

一般人に絡んで、怒鳴りつけている!

やっぱアイドルじゃなくて、ヤンキーだったww

♯東雲アイ♯炎上


という呟きと俺達を写した画像が載っていた……


勝手に俺達まで巻き添え喰らってるんだけど⁉


俺「これ……」


仁科「毎回こうやって炎上するから、わざと炎上してるんじゃないかって、言われてるんだけど……」

わざとじゃなかったと、そういうことか


俺「東雲さん」

注意してあげよう

何か可哀そうになってきた


東雲「何ですか?」

営業スマイルを俺に向けても無駄だよ……


俺「また炎上してるよ」


東雲「う、そ……」

営業スマイルが若干崩れる

東雲さんは慌ててスマホを確認すると、深い深いため息を吐く


東雲「なんでこう、なるのかしら……普通にアイドルしたいだけなのに……」

普段の態度とか、そういう基本的なことに気を遣えてないからじゃないかな

なんて言ったら、泣くかもな


俺「とりあえず、ここ離れた方がいいと思うよ。これ以上騒ぎが大きくなる前に」


東雲「そ、そうね。一旦隠れましょう」

俺の手を取ろうとする東雲さんを咄嗟に回避して距離を取る


俺「何すんだよ!?」

危ねぇな!


東雲「何って、一緒に逃げるのよ」

何で!?


俺「いやだよ!一人で行け!」


東雲「私一人であの人達から逃げろって言うの!?」


俺「そうだよ!自分のファンなんだろ!自分で何とかしろよ!俺は関係ないだろ」


東雲「一人じゃ無理よ!」


俺「なら、あのメイドさん呼べよ!俺よりよっぽど適任だろ!?」


東雲「江藤は今は無理なの!」


俺「なんでだよ!?」

専属のメイドさんなんだろ⁉


東雲「今江藤は救護室で寝てるの!溺れかけて」

何じゃそりゃ!?

名前持ちのくせに溺れかけたのか⁉


俺「なら、なんで一緒にいてやらないんだよ!?」


東雲「私一人でも練習しないとダメなの……泳げるようにならないといけないの」

え……?

もしかして


俺「東雲さん、泳げないの?」


東雲「そ、そうよ!悪い!?」

悪くはないけど


俺「なんでこんなトコ来たの?」


東雲「練習よ!ちゃんと泳げるようになる為に」

普通だったら市民プールとか行くだろ⁉

なんでこんなレジャー施設来たんだよ!?


俺「話しがそれたけど、そもそも俺関係ないよね!?」


東雲「いいじゃない!協力してくれたって!」


仁科「そんな言い合いしてると、また炎上するよ?」


東雲「いやぁー!?もう炎上したくないの!!助けて!!」

無茶言うなよ!?


堀北「アナタ、えっと東雲さんだったかしら?」

疲れから復活した堀北さんが何か提案をするみたいだ


東雲「何?何かいい方法あるの?」


堀北「泳ぎの方は私達で何とかしてあげるから、一刻も早くこの場を立ち去りなさい」

えぇ!?

泳ぎ教えるの!?


東雲「ほんと!?ほんとのほんと!?ほんとに教えてくれるの!?」

ほんとほんと五月蠅いな


堀北「ええ、できる限り教えてあげるわ。だから早く離れなさい」

いいの?

折角遊びに来たのに?


東雲「わ、わかったわ。また後でね!」

意を決し、人込みの中でもまだ少ない方へ向かっていく


ギリギリで何とか人込みを突破し、見えなくなる東雲さん


俺「堀北さん、良かったの?」

あんな約束して


堀北「大丈夫よ。連絡取る手段もないし、もう会う事もないわ」

なるほど!

さすが堀北さん!!


俺「そっか。それじゃゆっくり休めるね」


堀北「ええ、そうね。やっと静かに休めるわ……」

よっぽど疲れてるのか、俯いて動かない堀北さん


そんな所に南城さんと妹が戻ってきた


南城「なんか凄い人だったけど、何かあったの?」


堀北「何もないわ。あ、飲み物貰うわね」

ひょいっと南城さんの持ってきたジュースを取りストローで吸う


堀北「美味しいわ……」


妹「なんか、春香先輩さっきより疲れてない?」


俺「あ、ああ。そっとしておいてやれ」


妹「うん」


それから、俺達は1時間ほど会話と食事を楽しみ


休憩を満喫した

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