第203話 行動再開!

さて、この後はどうするかな


南城「この後皆で流れるプール行こうよ!」

流れるプールかぁ

浮いてるだけでも気持ちいいし、食後には丁度いいかも


俺「いいね」

堀北「そうね」

仁科「さんせーい」

妹「はーい」


ゴミを片付けて、フードコートを出て流れるプールへ向かう






目的の流れるプールに到着すると、かなりの人が流れていた……

もうギチギチじゃないかってレベルで満員だ


コレ、入れそうにないなぁ


南城「混んでるね」


堀北「そうね……これじゃ無理ね」


仁科「う~ん。残念だけど、他行くしかないね」


南城「それじゃあ、波の出る方行ってみようよ!」


堀北「そうね。ここに居てもしかたないし、行ってみましょうか」


俺達一同は波の出るプールへ向かうことにした




歩いてすぐの所にある目的地波の出るプールに到着する

ここは、そこまで混んでないようだな

これなら遊べそうだな

ザブーンザブーンと人工的に作られた波が打ち寄せる音を聞き

居ても立っても居られないと言わんばかりに

南城さんが一番に突撃して行き、仁科さんと堀北さんも続いていく

うっかり取り残されたのは俺と妹の二人だ


妹「おにぃ、行かないの?」

どうやら妹も早く入りたいみたいだ


俺「いや、行くよ」

ただ、少し気がかりなことがあるんだよな

東雲さん……あの後、どうなったのかな


妹「じゃ、一緒に入ろ!」

少しだけ思案していた俺の手を取って、迫りくる波へ突撃する

最初に脛の辺りに波が来て、冷たさと弱く押し返す抵抗を感じる

これ、結構気持ちいいな……


楽しそうに妹はどんどん先へ進んで行く

進めば進むほど水深が深くなっていく造りになっているみたいで

あっという間に腰の辺りまで水に浸かっている

この調子で行くと、もうすぐ妹は足が着かなくなる位の深さだ

大丈夫なのか?


波が来るタイミングで跳ねて波を体感する

胸の辺りに波が当たり、水飛沫が顔にかかる

それが楽しいのか、妹は泳ぎながらまだ前へ進む


俺「そんな前行って大丈夫なのか」

足攣ったら大変だぞ?


妹「大丈夫だよ!ほら、おにぃもこっち来なよ!気持ちいいよ!」

振り返って俺に手招きをする妹

余裕そうだし、大丈夫みたいだな


俺「今行く」

うん。心配ばっかしてもつまらないよな

よーし、俺も少しくらいはしゃいでみるか!


妹の元へ行こうとした、その時

俺の方を見て余所見していた妹の背後から、波が来た


俺「前!前!」

そう声をかけたけど、少しばかり遅かったみたいだ……

頭から波を被り、強制的に一度水中へ潜らされる

妹はすぐに水面に顔を出したが、そのタイミングでまた波がやって来た!?


妹「ぷはっ……わぷっ……」

息継ぎが上手くできていない?

もしかして、コレ溺れるんじゃっ!?


俺「今行くからな!」

顔を出すタイミングで波が来て、また水中に潜り

また顔を出すと、そこに波が来る

波に押し戻されながら、なんとか妹の元へ辿り着く


妹「おにぃ……!」

伸ばした手を取り妹を引き寄せる

そのまま妹を抱きしめて一緒に波を越える

やっとループから脱した妹はゲホゲホと咳き込む


俺「大丈夫か!?」


妹「うん……でも、一旦出る」


俺「よし、それじゃしっかり掴まってろ。行くぞ」

妹を連れて、プールから出るために入ってきた方へ向かう

俺にしがみ付く妹は少しだけ震えていた

まさか、こんなプールで溺れそうになるとはな


出るまでに何度か波が来たが、そこはもう足がちゃんと着く深さだ

もう溺れる事はない


とりあえず近くのベンチにでも行って休ませるか


俺「ベンチ行くぞ」


妹「私は大丈夫だから、おにぃは先輩達のとこ戻って」

何言ってんだよ


俺「お前を置いて戻るわけないだろ。ほら行くぞ」

少し元気のない妹をベンチまで連れて行く


ベンチに妹を座らせて、正面にしゃがんで顔を合わせる


俺「少しここで休憩な」


妹「うん。おにぃ、ごめんね」

何謝ってんだよ

違うだろ?


俺「そこは“ごめん”じゃなくて、“ありがとう”だろ?」

何はともあれ、無事でよかった……

マジで少し焦ったからな


妹「……うん。ありがと、おにぃ」

よしよし

濡れた頭を撫でてやる


俺「ああ、無事で何よりだ」


妹「うん。まさか溺れるとは思わなかったよ……これからは気を付けないと」

そうだな


俺「よし、俺も少し休むかな」

妹の隣に腰をかける


妹「いいの?」


俺「いいんだよ。南城さん達は南城さん達で楽しんでるだろうからさ」

今はお前が心配なんだよ


妹が落ち着くまで、隣でプールを眺める





10分もすれば完全復活するだろ?

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