第200話 南城さん!

目を開けて、状況を確認すると


南城「やっほー!やっと見つけたよ!」

メイドさんの手を止めたのは南城さんだった!


俺「えっと、助かったよ。ありがとう」

間一髪だった……


南城「この人、誰?」

誰……?

え~っと……


俺「そこにいる子のメイドさんらしいよ」


南城「へぇ~、そうなんだ。ねぇ、この人に手を引くように言ってよ」

東雲さんに言葉をかけるも、東雲さんは答えない


俺「東雲さん?」

どうしたのんだ?


東雲「な、なんで……何で名前持ちが来るのよー⁉」

は?


「お嬢様!?」


東雲「なんでこの冴えない見るからに名前無しmobの男を名前持ちが助けにくるのよ!!おかしいじゃない!!」

そんな俺に絡んできたお前には言われたくないと思うよ!


南城「ねぇ、今さ。彼の悪口、言ったよね?」

悪口じゃなくて、事実なんだけどさ……


「う゛っ!?あ゛っ!!」

突然メイドさんが悲鳴を上げる!?

どうしたのかと思って見てみると、南城さんが掴む力を強めたみたいだ


南城「ねぇ、なんで彼に近付いたの?」

必死に痛みを堪えるメイドさんと、狼狽える東雲さん

そして、問いかける南城さん

カオスだな……やっぱり名前持ち達って、個性強すぎるよな


東雲「り、理由なんて無い!ただ目に付いただけで」

そんなチンピラみたいな理由なの⁉


南城「それだけ?本当に?」


東雲「本当!その、悪かったって……まさか彼女持ちとは思ってなかったんだって」

悪かったって思ってるの!?

それと、彼女じゃないからね!?


南城「か、彼女!?」

東雲さんの発言に驚きメイドさんから手を離す

って、離しちゃダメだよ!?

また殴りかかってきたらどうするの!?


東雲「なんで驚いて……まさか恋人同士じゃないの⁉」

驚愕に目を見開く東雲さん

そんな驚く事!?


「お嬢様、コレはどういう事か説明を」

もう、何が何だか訳分かんねぇ……

メイドさんは今度は東雲さんへ詰め寄ってるし


東雲「は?えっと……ちょっとしたジョーク、だよ?」

ちょっとしたジョークのせいで殴られそうだったのかよ……


「世の中、言っていい冗談と悪い冗談がございます。お嬢様は、まだお勉強が足りないようでいらっしゃる」

勉強でどうにかなるのかな……


東雲「え……?」


「明日より、今まで以上に厳しい教育をしていきますよ。よろしいですね?」


東雲「え、いや、それは」


「よろしいですね?」


東雲「はい……」

なんか丸く収まった、のかな?


「先ほどは大変なご無礼を、申し訳ございませんでした」


俺「いえ、そんな」


「わたくし、東雲家でメイドをしております。江藤えとうと申します。」

江藤さんか

多分二度と会わないから、覚えることもないか


南城「えへへぇ、彼女…彼女~」

もう誰の声も届いてないな……


俺「どうも」


江藤「それでは、わたくしどもはこの辺でお暇させていただきます」


俺「あ、はい」


東雲「えっと……またね!」

もう二度と会いたくないんだけど……


俺「


江藤「お嬢様、早く泳ぎの練習をしますよ。何のためにわざわざプールまで来たんですか」


東雲「はーい……別に泳げなくてもいいのに」


江藤「何か?」


東雲「なんでもないわよ!」






嵐のような人達だったな


俺「南城さん」

そろそろ正気に戻ってくれないかな


南城「な、何!?あれ?さっきの人達は?」


俺「もういないよ。それより、さっきは助けてくれてありがとね」


南城「ううん、それはいいんだけど。いきなり居なくなったらビックリするじゃん!」

あの時は声かけても聞こえて無かったでしょ……


俺「ごめんごめん」

さて、そろそろ男達も諦めた頃かな

南城さんが一人でいても囲まれてないし


南城「みんな探してたんだよ。早く合流して、いっぱい遊ぼ!!」

ふぅ……とりあえず、みんなと合流しても大丈夫そうかな


俺「そうだね」




南城さんと合流し、皆に連絡を入れ

目立つという理由でウォータースライダーの前で待ち合わせる事に





ウォータースライダーまでの道中、南城さんは軽くスキップを踏んでいた

そのせいで、少しだけ目立っていたけど


本人は一切気にしていないみたいだ……



南城さんってメンタル強いなぁ……

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