第199話 逃亡中

ある程度走って、追手を撒くことに成功するしたけど……

この後、どうするかなぁ


このまま物陰に隠れて、諦めてくれるの待つしかないかなぁ


「こんな所で何してるんですか?」

と背後からいきなり声をかけられた!?

バッと振り返ると、俺に声をかけたのは一人の女子だった

見た感じ、年下か

問題は、よりにもよって……なんで名前持ちなんだよ!?


俺「何って、隠れてるんです」


「犯罪者?」


俺「違うからな?」


「じゃあ……有名人?」

こんな名前無しの冴えない有名人なんていねーよ!!


俺「それも違う!」

てか、ほんと誰なの⁉


「じゃあ、何で隠れてるの?」


俺「ちょっとしたトラブルに巻き込まれたんだよ!」


「へぇ、そうなんだ!面白そう!!」


俺「面白くないから、そろそろどっか行ってくれないかな?」

面白半分で死にそうになるとか、イカレてるだろ!


「もっと君とお話ししたいな~」

俺はしたくないよ!!


俺「話すことなんてないよ」

むしろ、あの男達にこの場を見られたら変な誤解を生むだろ⁉

ただでさえ、南城さん達と来てるだけで恨まれてるってのに……!


「ねぇねぇ、君って名前無しだよね?」

見てわかるだろ⁉


俺「そうですが、何か?」

今そんな事関係あるか!?


「何で名前無しなのにトラブってるの?」


俺「そんなのアナタには関係ないです。いいから早くどっか行ってください」

そろそろ移動しないと、此処も見つかるだろうな


「実はね、私も今逃げてるんだ~」

何から!?

それ、俺巻き込まれないよね!?

自己解決できるよね!?


俺「アナタが行かないなら、俺が移動します。それじゃ、さようなら」

こんな危険人物と一緒にいられるか!!

さっさと逃げるに限る!!


「待ってよ~。もっとお話ししようよー」

そう言って俺の腕にしがみ付く(水着で)

意外にあるな……ってそうじゃない!!


俺「離してください!てか、離せよ!」

この痴女が!


「え、聞いてくれるの!?やったー。あのね」

そんな事言ってない!!

何も聞きたくないっ!!

勝手に話し始めるな!!


「あ、それじゃまずは自己紹介からするね。私の名前は東に雲って書いて」


俺「東雲しののめさんか」


東雲「え、何で!?」

そんなのよくいる名前だろ?

まぁ、二次元ではだけど


俺「それで、東雲さん。俺は今、名前持ちの人と一緒にいるとマズイ状況なんだよ。だからお願いだからどっか行くか、手を離してくれないかな?」


東雲「え~、何?何?もしかして修羅場?」

違ーーう!!


俺「そんなんじゃないから。てか手離してよ」

そろそろ誰か来る気がするんだよ


東雲「やだ!何でいやがるの?役得ってやつでしょ?」

この状況、俺にとって損しかないからな!?

それにしても、修羅場だの役得だの……

耳年増かよ


俺「いい加減にしてくれ……もしかして迷子?」

それなら迷子センターとかに連れて行くか


東雲「違うよ!?逃げてるって言ったでしょ!?」

だから誰から逃げてるんだよ!?


東雲「私を追ってるのは、私専属のメイドなのよ」

それ、全くもって俺に関係ないよな!?

それも専属メイドとか……お嬢様かよ!


俺「それは大変ですね」

メイドさんが


東雲「そうなの!だから君、ちょうどいいから私を助けなさい!」

それが人にものを頼む態度かよ!?


俺「謹んでお断りします」

東雲「そうそう…ってなんで断るのよ⁉」

当たり前だろ!?

むしろ、他になんて答えると思ってるんだよ


東雲「おかしいじゃない!この超絶可愛い東雲アゲハちゃんがお願いしてるのに⁉」

自分で超絶可愛いとか……ねぇーわ

そもそも、可愛いから助けるとかどうなの?

可愛くなかったら助けないの?

それは可哀そうだろ?

よって、俺の結論は


俺「可愛かろうとそうでなかろうと関係ない!自力で頑張れ!以上!」


東雲「ちょっ、あんた頭おかしいんじゃないの⁉」

お前には言われたくねーよ!!


俺「あーはいはい。もうそれでいいです。なので頭のおかしい俺の事はほっといてどっか行ってください」

これ以上関わりたくないんだよ!!


東雲「いいえ!そうはいかないのよ!」

なんでだよ!!


もう、ほんと、なんなの?


東雲「アンタには協力してもらうわ」

さっき断ったよね⁉



「お嬢様!見つけましたよ!!」

物陰に隠れててもこんだけ騒いでれば、そりゃ見つかるよなぁ

この子の保護者到着だな


俺「ほら、保護者来たぞ」


東雲「保護者じゃない!メ・イ・ド!!」


「お嬢様、そちらの方は?」


東雲「この方は……私の運命の人です」

はぁ~!?

ヤバイ……こいつマジで頭イカレてやがる!!


「ほう、お嬢様の運命の人…ですか」


俺「違います。人違いです」


「では、試させてもらいます!」

と唐突に殴りかかってくるメイドさん

いきなり何するんだよ⁉

この人も俺の話しを聞かない人だな⁉

咄嗟に避けて難を逃れたけど、当たってたらかなり痛そうだったよ⁉


「やりますね。ですが、まだまだ行きますよ!!」

更に続けて殴り掛かろうとしてくるメイドさん


俺「話しを、聞いて、ください!!」

って、危ねぇー⁉

問答無用かよ⁉

なんか、殴りかかるスピードが段々早くなってない⁉

これ以上は無理!!

いやマジで!!!


拳が当たる直前、俺は目を瞑ってしまう

だって怖いだろ!


痛みに備えて、身構えているが……何故か衝撃が来ない?

薄っすらと目を開けると、メイドさんは拳を振り上げた状態で固まっていた……?


な、何が起きたんだ⁉

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