第152話 お、お化け!?

さて、どうしたものか……

まさか、本命のラブレターを妹から貰うとはな

人生初のラブレターが妹からとか、マジかよ


ぶっちゃけた話、妹の好意には応えられない

きっと妹もそれは分かってると思う

振られると分かってて、失恋する前提で

それでもこうして言葉に、文字にして伝えてきたってことは

妹にとってこれはなんだろうな


俺に好意を持ってくれてるのは、素直に嬉しい

だけど、俺たちは兄妹だ


俺にとって、血が繋がっていなくても父さんは父さんだし

妹は……妹だ

それは、どうあっても変わらない


どんな言葉なら、納得してくれるかな

断るのって、結構大変だよな……

相手の好意を受け取らないだけ、それだけなのに

なんでこんなに辛いんだろうな

どんなに言葉を尽くしても、誠意をもって話しても

傷付けてしまう


退院までにどう断るか決めないとな……





ぐぅ~~~~~~~~~……


真剣に考えごとしてても腹は減るもんだよな

飯食いてぇ……

ナイフは……ないよな

果物があっても皮が剥けなきゃ食えないじゃん!

はぁ……もういっその事、皮ごと齧りつくかな


血迷いはじめた時、誰かが部屋に入ってきた⁉


入ってきた人物は、白衣を着た男性だった

俺を見て、手に持っていたバインダーやノートを床に落とし動かなくなる


俺「あの」

反応がない……


俺「あの!」

やっぱり反応がない


俺「あの~~~~~!!!!!」


「っは⁉あれ、私は……?」

やっと反応した


俺「あの~、すいませ~ん。ちょっといいですか?」


「ははは、疲れてるのかな……幻聴が聞こえるな……ははは……」

どうしたんだろ……

もしかして、この人も病気なのかな?

白衣着てたからてっきりお医者さんかと思ったけど……

まぁいっか、それなら誰か別の人呼んでもらおう


俺「そこの白衣の人~、誰か呼んでくれませんか?」

できれば俺の状況が説明できる人を呼んでほしいんだけど


「え……、何か話しかけられた気が……おかしいなぁ……」

いい加減にしてくれ……

もういっその事、大声出して誰か呼ぶかな


俺「はぁ……」


「ん?やっぱりただの幻聴だった?もう聞こえない?」

周囲をきょろきょろ見回すが、決して俺に目を合わせようとしない


俺「ここですよー」


「ひぃ!?ま、また聞こえた⁉だだだだ誰なんだ⁉隠れてないで出てきなさい!!悪霊退散!!」

何言ってんだよ……別に隠れてないし、ここに居るだろ?

悪霊とか酷い言われようだな……

しかたない

ベッドから出て正面まで歩いて行くか


俺「あの~?」

流石に真正面に立てば気付くよな?


「……っ⁉」

あ、やっと目が合った


俺「さっきから声かけてるのに、なんで聞こえないふりするんですか?」

意味分かんないんだけど……


「あ、あれ?君は……誰だい?なんで名前無しがココに?」

それは俺が聞きたかったことなんだけど?


俺「俺は男子生徒Aです。なんで居るのかは、分かりません。目が覚めたらココにいたので」

状況教えてプリーズ


「は、はぁ⁉男子生徒Aだって!?」

そうだと言ってるでしょ


俺「なんでそんなに驚いてるんですか?」


「君は……薬の副作用で消えたはずじゃ……もしかして……やっぱり幽霊!?」

消えたはず……?

どういうこと?


俺「幽霊ではないです。現にこうしてアナタと会話してるじゃないですか」

幽霊と会話なんて、そんなこと普通できないでしょ?


「た、たしかに……で、でも……記録によれば、君は消えたと……」

消えた消えたって、さっきから何言ってんだか


俺「その記録、間違ってるんじゃないですか?」

ここに俺いるし


「そ、そうなのか?信じがたいことだが、しかし……」

まだ信じないのかよ……


俺「他の人呼んでみたらどうですか?」

今どんな状況か分からないから、俺自身は動きようがないし


「そ、そうだね。そうしよう」

胸ポケットから携帯を出してすぐに電話する

立ち聞きも悪いし、ベッドまで戻って腰掛けて待つかな


「すいません…確認なんですが……被験者は消えたんですよね?ええ、その少年です。………………そう、ですよね……いや、今目の前に男子生徒Aを名乗る名前無しの少年がいまして……ええ、あ、はい。では申し訳ないですが、こちらに来ていただいてもよろしいでしょうか?はい、ありがとうございます。では……」

うん……。

そんなに距離離れられてないから、ほとんど話してる内容聞こえちゃった


「今、主任が来てくださるから待っててほしい」

通話の相手は主任なのか

主任ってどれ位偉い人なんだろ……


俺「はい」

少し、緊張するなぁ


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る