第137話 最近多い絶体絶命

校長が出て行って暫く経った……

なぜか、校長は戻ってこない

この隙に逃げ出せればいいんだけど、拘束された手足は動かない


遺言、かぁ……

そういえば、妹との約束果たせそうにないなぁ

一緒に勉強しようって言ったのにな……


妹のことを考えていたら

プシューっという音ともに、校長が戻ってきやがった

くそぉ……ここまでか


校長「はぁはぁはぁ……ふ、フハハハハハ!逃げきった!逃げきってやったぞぉ!!」

逃げ切った?

誰かから逃げながら戻ってきたのか?

ってことは、もしかして……助けが来るのか?

俺に出来る事は⁉

何か無いのか⁉

無力な俺にもできる事は、何か……

今自由に使えるのは、足りない思考力と口……口!!

そうだよ!!俺、喋れるじゃん!


俺「校長先生ともあろう方が、誰から逃げてきたんですか?」

BやDと遊んで身に着けた煽りスキルを使って、時間稼ぎさせてもらうぞ!


校長「ふん。私を追える存在など、決まっているだろ、忌々しい四季島健太郎だよ」

四季島の奴本当に親父さんに連絡してくれたのか……

そして迅速に行動に移す親父さんって、フットワーク軽いな

社長ってそんな自由に動いていいもんなのか……?


俺「四季島の親父さんか……」


校長「だが、ここまで来てしまえばコッチのものだ。ここは私しか知らない、完全なプライベート空間だからな」

甘い……甘すぎる!!

その程度の認識で、四季島たち名前持ちネームドを欺いたり騙したりできるわけないだろ⁉


校長「なんだね、その呆れた表情は!私を馬鹿にしてるのかね⁉」

あれ?

顔に出てた?

無駄に怒らせちゃったかなぁ


俺「とんでもございませーん。ただ、楽観的だなぁと…そう思っただけでぇす」

無駄に語尾を伸ばすことで、相手を煽る

煽りスキル、初歩中の初歩!!


校長「君は私を怒らせて何がしたいのかね⁉」


俺「別にぃ~、怒らせてなんていませーん」

どうだ⁉


校長「フゥーフゥー……楽観的と、そう言ったね?」

あ……少し落ち着いてきちゃったか……

もっと煽るか?


俺「そんな事言ったかなぁ?」


校長「何が楽観的だと、言うのかね?ここは私以外知らない隠された部屋なんだぞ⁉いくら名前持ちだからと言って、すぐにここが発見できるわけない!!……そうか、そういう事か!分かったぞ。君は私を怒らせて、時間稼ぎでもするつもりなんだろう?そうだろう?」

くそ、バレたか……


校長「やはりそうか!!ハッ!小賢しい真似をするんだな、君は」

さて、バレたならしょうがない

せめて何で俺を解剖するのか聞かせてもらうか


俺「校長先生、質問いいですか?」


校長「今度は質問攻めで時間稼ぎかな?」

そーだよ


俺「どうせ、助けが来ないなら……死ぬ前に少しくらい質問してもいいじゃないですか」

今度は顔を伏せて表情を見られにくくする

どうやら、俺は表情に出やすいみたいだ

なら、見られないようにすればいい


校長「ようやく、覚悟が決まったようだね。良いだろう、答えてあげよう。言ってみなさい」

よしっ!


俺「俺をこんな見た目にしたあの男とは、どういった関係なんですか?」


校長「関係?ああ、あいつか……あいつとは、一種の利害関係で契約を結んでいたんだよ」


俺「利害、関係?」


校長「そうとも!私が学校ココ解剖バラした生徒を、あいつに処理させていたのさ。あいつは多くの遺伝子サンプルを欲していたからね。まさにwin-winの関係だったよ」

おぞましい……

こいつ、本当に人間か?


校長「なのに、あいつときたら……君みたいな面白いサンプルを独り占めしようとするなんて……裏切り行為も甚だしい!!いつもみたいに私に情報を渡して、私がバラしてからお零れを貰うのが決まりだったのに!!」

ダメだ……大家のあいつも頭おかしいと思ったけど

上には上がいた……校長この男はもっとイカレてる……

根本的な……別次元の狂気に取り憑かれてる……

対話なんてしても……相互理解は絶対不可能だ

ヤバすぎる!!


俺「今まで何人くらいの生徒を手にかけてきたんだよ……」


校長「それも質問かね?ならば答えよう!ざっと36人ほどだよ!つまり君は37人目ということだ!」

さ、36人!?

なんでそんな人数を殺しておいて捕まってないんだよ……⁉


校長「他に質問はあるかな?無ければ準備を進めるが」

解剖されてたまるかよ!!


俺「お、俺の死体はどうするつもりなんだ⁉」

もう処理してくれる奴はいないんだぞ⁉


校長「そんなもの、校舎裏の焼却炉で燃やせば問題ないんだよ。昔はよく燃やしていたからね」

そんな良い想い出みたいに言うなよ!!


俺「俺を連れて行く所を南城さん達に見られてる!!俺がいなくなれば怪しまれるぞ!!」


校長「そんなもの、私がやった証拠さえ出なければ問題ないね?」


俺「絶対に逃げられないぞ!名前持ちネームドの力を甘く見てお前には!!」

例え俺が死んでも……四季島や南城さん達が絶対にコイツの罪を暴いてくれる!!


校長「フハハハハハ!!君は本当に面白いサンプルだね!名前持ちネームドの力?そんなモノが何だと言うのだね?そんなご都合主義の不可思議な力なんて、存在しないんだよ!君は幻想を抱いてるようだね?」


俺「違う!名前持ちは特別な存在だ!お前みたいな名前無しが対抗できるわけない!!」


校長「それが、だというのですよ……いい加減その減らず口を封じましょうか?解剖前のデータももう十分ですし」

のこぎりや、何に使うか分からない道具が乗った台を持ってくる

そ、それ……解剖用の道具なの?

拷問用とかじゃなくて?


俺「……っ」

怖い!けど……

もう、どうする事もできない……!


校長「君にはイライラさせられたからね、麻酔は無しだ。意識のあるまま解剖するから、発狂死しないように耐えてね?」

そんな無茶な⁉

わざとゆっくりとした動作で、道具を持ち上げて見せびらかす


もうダメだっ……!!!

どんな痛みが襲ってくるのか分からない恐怖に目を閉じる

肌に金属が触れた感覚がした、その瞬間……


気密されたドアが爆音と共にこじ開けられた⁉⁉

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