第112話 南城さんと堀北さんのデュエット

俺「そろそろ南城さんか堀北さんの歌声聞きたいな!」

最近は自然に話題を逸らすのにも慣れてきたな!

さすが俺!


南城「そ、そう?」


堀北「なら、私が歌うわ」


南城「え~、私も歌いたい!」

どっちでもいいんだけどなぁ


堀北「それなら、彼に選んでもらいましょうよ」


南城「賛成!」

え?

俺が選ぶ?


堀北&南城「どっちの歌聴きたい⁉」

う、うん!?

どっちって……ぶっちゃけどっちでもいいよ!

でも、どっちでもいいなんて言ったら……ダメだよなぁ


俺「え~っと……」

南城さんと堀北さんからじーっと見つめられる……

つ、辛い……

え、どうする?

南城さんを選んでも堀北さんを選んでも、どっちもどっちの未来しかないよな……


ん?あ!そうだ!

俺「二人の、デュエット聴きたいな」

よし、コレで解決だ!


南城「デュエット?」


堀北「できるかしら……」


いや、付き合い長いんでしょ⁉

それならできるでしょ⁉


南城「あっ、あの曲やってみない?」

堀北「あ~、あの曲ね。いいわね、それでいきましょ」

二人はこそこそと相談し、歌う曲を決めたようだ

さて、どんな歌かなぁ


南城「まだ練習中なんだけど」

堀北「頑張って歌うわ」


練習中か……どんな歌だろうなぁ

目をつぶって真剣に聴く姿勢になる


ん……?

なんか聞き覚えのあるイントロだなぁ……

ってあれ?

コレって……もしかして……


二人が歌い始めたのは俺の良く知るアニメの作中歌だった!?

なんで二人がこの歌知ってるの⁉


ハモリも掛け合いも凄い完成度だ……

コレが、名前持ちの能力ちからなのかっ


あっという間に終わってしまった……もっと聴いていたかったな


南城「どうだった?」


俺「良かったよ、練習中って言ってたけどもう完璧じゃないかな」


堀北「ふふ、よかったわ。練習した甲斐があったわ」


俺「ていうか、何で今の曲を練習してたの?」


南城「なんとな~く、君が好きそうかなって」


俺「え⁉俺が好きそうだから!?」

どこでそんな情報を手に入れたんだ⁉

BかDの奴から聴取聞き出したのか⁉


堀北「好みじゃなかったかしら?」


俺「いや、俺の好きな歌だよ……」


南城「やったね!」

堀北「大成功ね」


小さくハイタッチする二人を茫然と眺める

ほんとに上手かった……

もしかして、俺が頼めば他の曲も歌ってくれるんじゃないか?

なら、掛け合いのあるアノ曲とか…いやアッチの曲も……あるいは


っは⁉

俺は今何を考えていた⁉

っく……俺としたことが、つい己を見失っていた

オタクたるもの、欲望に忠実なれ

しかし、欲望に呑まれるな!だ


うん、頼むのはダメだ

欲望に呑まれては道を踏み外すことになる!

俺は真っ当なオタクであり続ける!


すーーーーはーーーーー……

深呼吸もしたし、もう大丈夫だ


俺「二人とも凄く上手だったよ。歌ってくれてありがとうね」

よし、さりげなく…もう満足したよ

って伝わりそうな言い回しが出来たかな


「今の曲ってなんですか?」

「知らないアーティストさんだったよ」

「でも、感動したよね……」


妹「あれって…おにーのお気に入りの……もうっ、二人で歌うなんてズルい……」


南城「あはは……あんまり褒められると照れちゃうね」


堀北「そうね……」


俺「さて、それじゃ次は」


南城「リクエストしていいかな?」

り、リクエスト!?


堀北「千秋?」


南城「君に恋愛系の歌ってほしいなって、ダメかな?」

れ、恋愛系⁉

そんなの歌えないよ⁉

だって俺恋愛系の歌なんて全然知らないんだよ⁉

てか、それぐらい分かるでしょ⁉


「恋愛系かぁ」

「良い感じだったら文化祭用のリストに入れようかな」

「あ、ならこの曲いいんじゃないかな?はい、ポチっと送信」


あれ⁉

なんか勝手に次の曲入れられてる⁉

しかも入れた本人と思われる子がマイクを渡してくるのを、つい受け取ってしまった

入れたんだから自分で歌えよ⁉

「かわいーく、おねがいしますね、ふふ」

あぁ⁉お、おまっ、ふざけんなよ⁉

メロディーが始まり最初の歌詞が映る


しかし、誰も歌わない…いや、歌えない

きっとこの歌を知ってるのは入れた張本人と俺ぐらいだ

そして張本人はマイクを俺に押し付けた


南城「あれ?歌わないの?」


俺「この曲入れたのその子なんだけど?」


「お兄さん、知ってますよね?全力でお願いします」

てめぇ、後で妹にお前の事聞き出してやるからな⁉


堀北「恋愛…計算器?やっぱり知らない歌ばっかりね……そっちの分野ももっと勉強しないと……」


俺「あ~くそ……」

「踊ってくれてもいいんですけど」

ふ、ざ、け、る、なぁーーー!


しかし、どうすっかな……

このまま歌わなくても、恋愛ソングを歌わされる流れは変えられそうにないし……

あの子には後で報復するとして…………


しかたねーな……とりあえず南城さんのリクエストでもあるし……歌うか

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